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2025年08月の記事は以下のとおりです。

オーデマ ピゲ 「ロイヤル オーク ミニ」が放つスウィンギング60'sの新作情報です。

強く、しなやかに。新時代に臨む現代女性の腕元に似合う23mm径のロイヤル オーク。

1997年にオーデマ ピゲスーパーコピー時計が発表したケース径20mmの「ミニ ロイヤル オーク」を現代的に解釈したロイヤル オーク ミニ フロステッドゴールド クォーツが登場。女性でも大ぶりな時計を選ぶ潮流があるなかで、大胆に小径化へと舵を切り、鮮烈な新風を吹き起こすこのモデルは、時代を自由に謳歌する現代女性のライフスタイルを彩ってくれるだろう。

あの小さなロイヤル オークがケース径23mmとなってカムバック

1997年に誕生した20mm径モデルミニ ロイヤル オークから、長い時を経てふたたび20mm台として登場したロイヤル オーク ミニ フロステッドゴールド クォーツ。何より目を引くのは、23mm径と小ぶりになってなお変わらぬ強烈な個性だろう。ロイヤル オーク誕生から50年余りの歴史のなかで磨かれてきた八角形ベゼルを持つケースとタペストリーダイヤルの組み合わせがなせる業だ。

ケース素材は、18Kイエローゴールド、18Kピンクゴールド、18Kホワイトゴールドの3種類で、それぞれ同色にまとめられたタペストリーダイヤルを備えることでモノクロームの世界を演出。ダイヤモンドダストのようなフロステッドゴールドの煌めきに加えて、八角形を縁取る鏡面仕上げやその他のサテンフィニッシュ、またはブレスレットのリンク、さらにはタペストリーの凹凸や立体的なアワーマーカーなどがそれぞれ影響しあい、角度を変えながら異なる表情の輝きを映し出してくれる。

もちろん、それらは34mm径のモデルでも感じられるものだが、23mmという小径化にともなってギュッと濃縮された印象を与え、実にジュエリー的な魅力をいっそう際立たせているようだ。

ムーブメントにはクォーツキャリバー2730を搭載。電池寿命も7年以上と長いだけでなく、リューズを引くと、電池接続を切って「スイッチオフ」できるという極めて実用的なものだ。裏蓋の中こそ見ることは叶わないが、このムーブメントにも伝統の装飾が施されている点は言わずもがなだろう。

新しいロイヤル オーク ミニを見る
 
レガシーに軸足を置いた未来志向のミニウォッチ

歴史背景を探れば、この時計が時代を拓く新鮮な一本であることがさらに見えてくる。

オーデマ ピゲが1972年に発表したロイヤル オークだが、1976年には2番目のモデルとして女性に向けてリデザインした29mmのロイヤル オークを登場させた。当時デザインを手がけたのは、ブランドのデザイン部長を務めたジャクリーヌ・ディミエだ。時計ファンの間では、“ラグジュアリースポーツウォッチ”の元祖と目されるシャープな腕時計を、女性の手元にも似合うように再構成した彼女の功績は小さくないだろう。その後、ロイヤル オーク誕生25周年という節目の1997年に、20mm径のミニ ロイヤル オークが登場。当時の世界最小クォーツムーブメントを搭載し、ミニマル化がここに極まった。

元来、レディスウォッチの開発に余念がないこのマニュファクチュールが、ムーブメント製造技術の高まりと同時に精度を保ちながらの小径化を見せ、ディミエによって“小さくても美しい”端正な美を表現。マニッシュでありながらグラマラスな魅力をも兼ね備えたモデルが、一連の小径ロイヤル オークということになる。

新作のモダナイズという側面においては、フロステッドゴールドがそのアイデンティティを担っている。これは、ブランドとの関わりが深い宝飾デザイナー、キャロリーナ・ブッチによって2016年にブランドで初めて導入された加工で、ダイヤモンドチップのついたツールでハンマリングする職人の繊細な手作業は、機械技術が高まる現代において、いっそう価値あるものだ。

イラリア・レスタCEOは、「これらのミニクリエーションは オーデマ ピゲのミニチュア化とジュエリーウォッチの長い伝統だけでなく、ブランドの歴史に名を残した女性たちへのトリビュートでもあります。そのなかにはロイヤル オークのレディスモデルをデザインしたジャクリーヌ・ディミエ、フロステッドゴールドをブランドに導入したキャロリーナ・ブッチがいます」と、小径モデルに関連する女性クリエーターへ賛辞を贈る。

マニッシュなロイヤル オークを、レガシーに基づきながら先端的なレディスウォッチとして見事に進化させたロイヤル オーク ミニ フロステッドゴールド クォーツ。ジェンダーの垣根を越えることにポジティブな現代において、先進的な女性の腕元に似合う未来志向の腕時計と言って過言ではないのだ。
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しなやかに新風を纏うなら、シックスティーズの気分で

時刻を示す道具である一方で、軽やかなファッションを飾るジュエリーともなりうる腕時計だからこそ、軽やかに、しなやかに、時代を纏いながら楽しんで身につけたい。

このところ、モードの世界でも徐々に注目を浴びているのが、シックスティーズのムード。当時、それまでのオートクチュール全盛だった女性の服飾界にストリートからの新風が吹き込み、大人のモード服も様変わりした時代だ。スウィンギング・ロンドン、ミニスタイル、マッシュルームカット。象徴的なキーワードを耳にするだけでも、当時のカウンターカルチャーが服飾に与えた大きな影響を感じることができる。

今もエディ・スリマンなどを筆頭に、こうした時代のムードを取り込んでいるデザイナーも多く、オーセンティックなチェックジャケットや明るいカラーブロックの配色、ラップドレスなどを現代的に解釈して、新たな潮流を生み出しているのだ。1960年代も、混沌とした世情である点は現代とも共通しているようも思える。そうした時代の荒波のなかでも、強くしなやかに生きる人のライフスタイルに、こうしたシックスティーズを意識した先端スタイルはよく似合う。

その腕元には、もちろん同じように強くてしなやかに映るロイヤル オーク ミニ フロステッドゴールド クォーツが輝くはずだ。

クォーツ技術は、1970年代の時計美学の進化に大きく寄与した。

パテック フィリップを含むスイスの高級時計メーカーは、新技術に直面して実験的なデザインに取り組むしかなかった。また、HODINKEEの元エディターであるジョー・トンプソンが以前“ファッションウォッチ革命”と呼んだ現象の出発点でもあった。電池式時計の登場から10年で、ウォッチメイキングの大部分は計時機能よりも外見に重点を置くようになり、ついには時間を知らせるだけのファッションアクセサリーへと進化した。
 日本から輸入されたこの技術は、大手で非常に有名なファッションブランドによる時計会社とのライセンス契約の増加を生んだ。クリスチャン・ディオール、グッチ、イヴ・サンローランといったブランドは、安価なクォーツウォッチのダイヤルに自社のロゴを付けて、大衆市場での利益を上げることができるようになった。
イヴ・サン=ローラン(1936年~2008年)、1982年1月にパリのスタジオにて。

多くのファッションブランドがライセンサー/ライセンシーとして利益を追求するなか、イヴ・サン=ローラン(Yves Saint Laurent)を取り上げることは現代のファッション界を分析する上で最も明白な選択である。彼は既成のドレスコードに鉄槌を下した革新者であり、最終的に20世紀後半の女性ファッションを定義づけた。サンローランのメゾンは、1960年代にはパリの女性の服装を保守的で堅苦しいマンネリから解放し、“オピウム(香水)”や1970年代のセックスセールス戦略で世界を騒がせ、1980年代にはあらゆるものに自信を持ってその名を刻み込んだ。
 1983年にメトロポリタン美術館で開催された回顧展において、ファッションの女帝でありコスチューム・インスティテュートの大御所であるダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)によって“生きる天才”および“ファッション界の導師”として称えられたイヴ・サン=ローランは、ファッション界のエリートたちから“天才”やその類義語を与えられて絶えず称賛されてきた。これは現代の時計デザインの流れを変えた天才的な開拓者としてしばしば称えられる、ジェラルド・ジェンタ(Gerald Genta)に対する時計愛好家の賞賛の仕方に似ている。
1983年12月6日、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されたコスチューム・インスティテュート・ガラの“イヴ・サンローラン: デザインの25年”にて、ダイアナ・ヴリーランドとイヴ・サン=ローラン。
1957年にクチュリエの巨匠であるクリスチャン・ディオールが急逝したあと、若き見習いとしてキャリアをスタートさせたイヴ・サン=ローランは、わずか21歳でディオールの後継者となった。その3年後には、自身の名前を冠したブランドを設立する。その後は、モンドリアン・ドレス、ル・スモーキング、サファリ・ルック、そして1976年の“バレエ・リュス”ショーなど、多くの名作を生み出した。このショーは、「イヴ・サン=ローランが本日発表した秋のクチュールコレクションは、ファッションの流れを変えるだろう」とニューヨーク・タイムズ紙の一面を飾った。彼は1960年代から80年代にかけて、オートクチュール界の北極星となったのだ。
イヴ・サンローランのオートクチュール、春夏2002コレクションにて登場したモンドリアン・ドレス。イヴ・サンローランのレディ・トゥ・ウェア(プレタポルテ)レーベル、“リヴ・ゴーシュ”は1966年に設立。オートクチュールがお金を惜しまず、またオーダーメイドのワードローブのフィッティングに時間を費やせる社交界の人々のために存在する一方で、リヴ・ゴーシュはパリの若者やトレンディな人々が集まる左岸にて若者向けの既製アイテムを販売し、もう少し手ごろな価格でYSLの世界に足を踏み入れる方法を提供した。リヴ・ゴーシュの成功の原動力を理解することは、最終的に大量のライセンス契約によってその評判を確立した会社のビジネスモデルを理解する上で欠かせない。それはYSLの世界を拡大するための道筋でもあった。
パートナーであり共同創業者、そして後に社長となったピエール・ベルジェ(Pierre Bergé)は、60年代と70年代にイヴ・サンローランというブランドのイメージを築き上げた。ベルジェは、YSLが代表するライフスタイルを顧客に受け入れさせるという点で、時代を先取りしていた。パリのファッション界の舞台裏にある陰謀を利用し、ベルジェはクチュリエであるサン=ローランを中心に立て、ブランドの魅力的かつ強力な象徴に仕立て上げた。サン=ローラン自身も広告キャンペーンに登場しており、男性用香水のYSLプールオムの発売時にヌードで登場したことは有名な話だ。
1978年9月20日、ニューヨークのスタジオ54で開催されたオピウムパーティにて、左からホルストン(Halston)、ルル・ド・ラ・ファレーズ(Loulou de la Falaise)、ポタッサ(Potassa)、イヴ・サン=ローラン、ナン・ケンプナー(Nan Kempner)。Image: Getty.
化粧品とフレグランスは、さらに広範なグローバルライセンス契約の前兆に過ぎなかった。1975年には、シチズンが日本市場向けに限定してYSL(イヴ・サンローラン)とライセンスを結び、時計を製造・販売し始めた。YSLがデザインを担当し、シチズンが製造を行っていたのだ。最初の製品ラインは手巻きの2針式で、薄型の正装時計に対する需要に基づいてつくられた。初期のデザインは、YSLのエレガントな美学に緩やかに沿ったものであり、このコラボレーションの結果、スマートにデザインされ、金メッキが施された高品質のクォーツウォッチ(いくつかの機械式も含む)が誕生したのである。
YSL×シチズンのクォーツウォッチ。80年代頃に製造されたモデル。
スリムで洗練されたデザインは、リッチなブラウンやパープル、またはシンプルでクリーンなブラックのパレットで彩られ、正確に配置されたラインが実験的なテクスチャー(スネークスキン!)とカラーを引き立てていた。1970年代という“何でもあり”の時代にあっても、これら初期のシチズンYSLモデルはスムーズかつ控えめで洗練されていたのだ。時計に刻まれたファッションの影響は魅力的であり、威圧的ではなかった。
今日、シチズンは豪華さや華やかさのイメージを強く喚起しないかもしれないが、初期のシチズンYSLコラボレーションはデザインが優れており、品質もかなりよかった。70年代半ば、すべての日本の時計メーカーがこぞってクォーツ技術を採用し、手ごろな価格と高級感の融合を試みた。誰もが認めるリーダーはセイコーだったが、同じく東京のライバルであるシチズン(当時はセイコーの売上の約4分の1に過ぎなかった)もクォーツ美学革命の最前線に立っていた。それは大いなる実験の時代であり、時計を比較的安価につくることができたため、ひとつの正しい美学的解答は存在しなかったのだ。
社内向けのヴィンテージシチズンカタログ。Image: Courtesy of Citizen.
コラボレーションの開始当初と初期の数年は、YSLの世界観と、ある程度計算された美学的なクロスオーバーが少なからずあった。これらの時計はスリムでセクシーであり、1970年代の誘惑的な享楽主義(オピウムの香り)に満ちたサン=ローランの世界観と見事に一致していた。イヴ・サンローランのクチュール全体ではなく、手ごろな価格でYSLの一部分を楽しむことができたのだ。
1970年代の機械式YSL、“レベルソ”。Image: Courtesy of C4C Vintage Watch Store. 
機械式とクォーツの“レベルソ”。Image: Courtesy of a Portuguese watch collector.  
それでは、なぜオートクチュール、グラマー、カトリーヌ・ドヌーヴのようなフランスのイットガールたちで構成される世界観を持つ、グローバルに評価されるパリのメゾンであるYSLが、低価格帯の大衆市場向けウォッチを販売するライセンス契約に自らの名前を付けることを望んだのか? ベルジェは皮肉にも会社を宣伝することに成功した。彼は社長として単なるファッションハウスだけでなく、YSLロゴの力を利用し、グローバルなマスマーケット向け企業としても運営する。80年代から90年代にかけていたロゴマニアのはるか前から、同ロゴには販売力があったのだ。1998年のFIFAワールドカップ決勝戦(世界中17億人の視聴者が生中継を見ていた)前に、イヴ・サンローランはスタッド・ド・フランスで大規模なファッションショーを開催し、300人のモデルがピッチ上で巨大なYSLロゴを形成した。

ユリス・ナルダンとともにグループの一翼を成すジラール・ペルゴ。

ジャン=フランソワ・ボットが1791年に興した時計工房に端を発する。彼の死後も工房は長く続いたが、最終的に同じく時計職人だったコンスタン・ジラールが1852年に設立した時計会社に引き継がれ、1856年には妻のマリー・ペルゴの姓を取り、現在まで続くジラール・ペルゴの名が誕生した。

 ジャン=フランソワ・ボットが築いた工房では、当時はまだ珍しかった時計の設計から製造、組み立て、最終的な品質管理まで自社で行うマニュファクチュール体制を確立したことで成功を収めた。これはジラール・ペルゴにおいても引き継がれ、1906年にボットの工房を買収したことで現在のジラール・ペルゴのベースが築かれ、創業当初から今日まで自社製造にこだわる希有なマニュファクチュールとしての地位を今に伝えている。

 そんな歴史あるマニュファクチュールで2019年に執行委員会の最年少メンバーである製品責任者に任命され、2020年からはチーフ プロダクト& マーケティング オフィサー(CPO&CMO)として現在ブランドを牽引するひとりがクレマンス・デュボア(Clemence Dubois)氏だ。CPO&CMOは従来の役職としての枠を大きく超え、ブランドにとって重要なふたつの部門の監督を兼ねている。マーケティングおよびコミュニケーション戦略を策定する責任に加え、ジラール・ペルゴの主要な新製品発表の年間計画を決定し、デザイナー、テクニカルプロジェクトマネージャー、プロダクトマーケティングなどを含む、すべてのタイムピース開発を専門とするチームを管理する。またデザイン、R&D、製造、コミュニケーション、外部サプライヤーなど、あらゆる面で主要な関係者を監督し、社内で調整するのも彼女の仕事であり、重要案件の要旨からプロトタイピング、製造までの各重要なステップを確実に進める上で欠かすことのできないチームの極めて重要なメンバーとなっている。まさにジラール・ペルゴにおけるキーマンが先日来日を果たし、我々HODINKEE Japanのインタビューに答えてくれた。気さくに答えてくれる彼女の口からは、実に興味深いエピソードをいくつも聞くことができた。

クレマンス・デュボア(Clemence Dubois)

ジラール・ペルゴ チーフ プロダクト& マーケティング オフィサー(CPO&CMO)。2011年にHEC ローザンヌ、およびHEC パリのビジネススクールで経営学の学位を取得。2013年にマーケティングの修士号を取得したのち、ジラール・ペルゴで10年以上のキャリアを積み、2019年に製品責任者に任命される。2020年には製品開発、マーケティング、コミュニケーション活動を統括するチーフ・プロダクト・マーケティング・オフィサーに就任し、現在に至る。

キャスケット 2.0が、デュボア氏にとって最初のプロジェクトだった

2022年に発売されたキャスケット 2.0。
佐藤杏輔(以降、佐藤)
2020年にCPO&CMOに就任され、ジラール・ペルゴの製品およびマーケティング責任者として重要な役割を果たされていますが、現在のポストに就任して最初に手がけたプロジェクトはなんですか?
クレマンス・デュボア氏(以降、デュボア)
 実はたくさんプロジェクトがあったのですが、特に“キャスケット 2.0”はとても特別なプロジェクトでした。キャスケットは1976年に生まれたタイムピースでしたが、ジラール・ペルゴのマインドを見事に映し出している存在だと思います。そこでまずはそのような製品をリバイバルさせようというのがプロジェクトのスタートとなりました。レトロなルックスはキープしつつ、同時にとても未来志向なものにしたいと考えていましたね。

 ブランドの歴史を振り返っても、このようなプロジェクトはこれまでにもたくさんありました。私たちは非常に独立系らしい、マニファクチュールとしての取り組みをこれまでもやってきましたが、デザイナー、そしてウォッチメーカーも含めてブランドで働く人たちすべてがそのようなマインドを持って仕事をしています。

 ブランドではひとつの世代からまた次の世代へと必ずさまざまなノウハウが伝承されますが、それを担保していくこと、途切れることなく継承していくことが、CPO、CMOとしての私の1番大切な仕事ではないかと考えています。ただしそれは必ずしも過去に対する敬意だけでは成り立たず、やはり顧客のみなさんにワクワク感を届けることができるようなものでないといけないとも思っています。

 幸いなことにジラール・ペルゴには230年以上の長い歴史がありますので、そのなかで十分に“遊べる”ものがあるのです。そういった意味でもキャスケットはうってつけのプロダクトでした。230年以上も前に創業者のボットが、200人の職人たちを集めてひとつ屋根の下で時計づくりを始めようと考えたわけですが、時計づくりという点においてはもちろん、現在にも続くビジネス(スタイル)の始まりでもあり、非常に革新的な起業家精神を持っていてそれが今でも息づいているというのはジラール・ペルゴの魅力だと思うのです。 

オリジナル(1976年)

キャスケット2.0(2022年)
佐藤
ジラール・ペルゴにはアイコニックな製品が過去に数多く存在していましたが、そのなかでなぜキャスケットを最初のプロジェクトに選んだのですか?
デュボア
 現在ブランドのコレクションとしては特にロレアートとブリッジが大きな柱になりますが、70年代を振り返ってみると非常に興味深いことが分かります。当時はフェイスだけで時計を判断しませんでした。どちらかというとブレスレットもひとつのものとして時計と考える時代で、そういった意味でキャスケットはまさに当時のトレンドのど真ん中と言えるプロダクトでした。

 研究開発においてもとてもおもしろい時期でした。ジラール・ペルゴでは1970年代に初めて研究開発部部門(R&D部)と呼べるものが立ち上がりましたが、そこではたくさんのムーブメントを開発することになりました。ご存じのとおり、現在のクォーツウォッチにおける周波数は、ジラール・ペルゴのR&D部が開発したムーブメントが基準になっています。私としてはそうした70年代を改めて賞賛することをやりたいという思いが強くあったのです。

 こういった時計(キャスケットのようなアイコニックな時計)が、ジラール・ペルゴにはほかにもたくさんあります。ディープ ダイバーもそうですね。この時計は1969年に登場しましたが、おそらくこれがロレアートの始祖と言えるのではないかと考えています。ベゼルが14角形なのですが、私たちはとても形状にこだわります。現在のロレアートもそうですね。この時計は円形リング上に配されたホールマーク入りの八角形ベゼルや、クル・ド・パリの文字盤などがそのいい例です。おっしゃるようにたくさんの時計のデザイン、アイコンが過去にあるわけですが、ブランドには従うべき原理原則があり、必ずオリジナルに対して敬意を払うこと、そしてそこから離れてはいけないとしています。

 ひとつには対称であること、非対称であってはいけないということです。厚みと直径の比率にもこだわりがあり、バランスがよくなければいけません。そして腕につけたときのつけ心地もよくなければならない。つまり人間工学的な要素がジラール・ペルゴにとってはとても大切な部分だということです。そして“ライト”という考え方にもすごくこだわっています。

 この“ライト”には、光、そして軽さという意味があります。まず光についてですが、キャスケットはまさに明暗のコントラストを表現しています。デジタルディスプレイ部分ですね。あとはキャスケットが使っているさまざまな素材も、この“ライト”で遊ばせてくれるものとして考えています。(軽量な)マクロロン、それから(重量のある)ステンレススティールの対比ですね。ロレアートにも同じことが言えるでしょう。さまざまな素材、さまざまな仕上げ、形状もそうです。光の表現を大切にしているのはもちろんですが、軽さ、軽量さということにも注意を払って表現しています。

佐藤
今でこそ1970年代の変わった時計や“シェイプドウォッチ”と呼ばれるさまざまなスタイルが市場で認められるようになりましたが、キャスケット 2.0が発表された当時(2022年)はまだそれほど注目されるものではありませんでした。発表当時、ヒットの確信のようなものはあったのでしょうか?
デュボア
 私はジラール・ペルゴの精神性を具現化させる立場にあるので、そういった意味では先進性、つまり人よりも先を行かなければいけないという意識はすごくありました。だからといって、単にトレンドを追うということではありません。世の中が納得するものであること、つまりプロダクトに合理性があればヒットするとは考えていました。そういった意味では、ジラール・ペルゴのキャスケットの復活は、おそらく市場としても非常に納得のいく組み合わせだと改めて思われるという確信はありました。

 私たちはとても幸運だと思っています。ジラール・ペルゴには、非常に強力なコミュニティが存在しているのです。実はその世界中のコミュニティが声を上げてくれてたんですね。私はこのジラール・ペルゴコミュニティのファンの声を聞き、アイデアが浮かびました。復活プロジェクトにチャレンジしよう、そしてムーブメントを新たに開発していくつかの機能を追加しようと考えたわけです。オリジナルのスピリットはもちろん継承していくのですが、もちろん21世紀にふさわしいものとして当然ながら再定義が必要でした。2、3年かけて開発したので、2019年にはすでにプロジェクトは動き出していたことになりますね。

キャスケット 2.0の詳細は、2022年に公開した記事「ジラール・ペルゴ キャスケット 2.0 再び光輝く永遠の名品」 のなかで詳しく解説しているので、ぜひ今1度読んでみて欲しい。すでに完売しているので、欲しくなっても購入できないのは残念だが・・・。
佐藤
ジラール・ペルゴにとって、コレクターコミュニティの声、意見を聞くことはよくあることなのですか?
デュボア
 そうですね。それが230年以上の歴史を紡いできたインデペンデントブランドのよさだと考えています。自分たちにとって何がいいか、何をすべきかということをファンの声からも探ることができるというのはとても素晴らしいことです。普段から楽しんでジラール・ペルゴの時計をつけて欲しいですね。(キャスケット 2.0の復活は)まさにコミュニティのおかげというところが多くあります。ですから、コミュニティの意見を聞くというのはとても大切で、できることならみなさんに工場へ来てもらいたいといつも考えているくらいです(笑)。

佐藤
ジラール・ペルゴはとても長い歴史を持っていますが、デュボアさん自身が思うブランドの強みとは、どんなものだと考えていますか?
デュボア
 ジラール・ペルゴの強みというのは…、まずは否定をさせてください。逆の言い方をしますと、たとえばすでにある機能に対して新しい機能を付け加えていくことがジラール・ペルゴではないと思っています。私たちがすでに持っているブランドのシグネチャー(ブリッジは150年以上前に誕生した最も古い機械式のシグネチャーである)、いわゆるサヴォアフェール(伝統的な匠の技)、自分たちの持っている知見というものの限界をどこまで押しげていくかを常に追求しているのがジラール・ペルゴなのだと思っています。

 そして一貫生産できること、オートオルロジュリー マニュファクチュールであるということは、やはり強みであると考えています。いわゆる“コンセプトウォッチ”を作るような会社ではないということです。身につけてもらうものを作ること、“本物”の時計にすることが大切だと考えているのです。例えば、ネオ コンスタント エスケープメント(その詳細はこちらの記事を読んでみて欲しい)はその好例だと思います。とても革新的な脱進機なのですが、その開発には20年間もかかりました。コンセプトウォッチとして発表して“どうですか? すごいでしょ!”というカタチで終わることもできたと思いますが、私たちとしてはそれをまた押し広げて、限界を広げて、みなさまに見てていただけるものとするために挑戦し続けたのです。1本のみのユニークピースではありません。もちろん何百本も作れるようなものではありませんが。
 

ベルネロンやダニエル・ロート、レジェピといった小規模ブランドからの新作が、

この若い時計師たちはSJX Watchesを運営するスー・ジャーシャン(JX Su)氏と同席し、彼らが初めて手がけたインディペンデントウォッチ、アインザー(Einser)を見せるために私を呼んだのだ。彼らはA.ランゲ&ゾーネでキャリアをスタートさせその後独立したが、その背景の一部にはグラスヒュッテが独立系ウォッチメイキングの拠点となりうることを証明したいためでもある。
 アインザーを発表したあと、カリニッヒ・クレエは瞬く間に30本すべてを売り切った。まだあまり知られていない時計師としては見事な成果である。Geneva Watch Daysでは新作の発表はそれほど多くはなかったが、カリニッヒ・クレエはダニエル・ロートやベルネロンなどEditors' Picksで取り上げたブランドと並んで、私が印象に残った存在のひとつだった。今後数週間でさらに多くの記事を掲載する予定だ。

若き時計師カリニッヒ氏とクレエ氏による見事な仕事ぶりは目を見張るものがある。彼らはほぼすべての部品を自分たちで製造しており、とりわけムーブメントの設計が印象的だ。伝統的な4分の3プレートを採用しているが、ムーブメントの最も興味深い特徴が見えるように露出している。たとえばテンプ受けには、ランゲの元マスターエングレーバーによってエラのような模様が刻まれており、さらにヒゲゼンマイと連動するレギュレーターがテンプ受けのシェイプに沿って配置され、スワンネックに似た機能を果たしている(下図参照)。

 その一方で、スイスの時計業界は多くの報道によると苦境に立たされている。Geneva Watch Daysのあと、ブルームバーグのアンディ・ホフマン(Andy Hoffman)氏は、“スイスの高級時計メーカーは、需要減退に対応するため政府に財政支援を求めている”と書いている。ブルームバーグによると、ジラール・ペルゴとユリス・ナルダンを所有するソーウィンドグループは、従業員の約15%を短時間労働や一時帰休にするため、この国のプログラムを利用していることを初めて明らかにしたブランドである。このプログラムでは企業が一時的にシフトを削減するあいだ、政府が一時帰休中の労働者の給与の一部を負担する。最近の報道によれば、時計部品サプライヤーが多く集まるジュラ地方では、この夏に約40社がこのプログラムに申請しているという。
 カルティエ、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタンなどのブランドを傘下に持つリシュモンのトップでさえ、自社ブランドが生産を抑制し、“ただ単に量を追求するのではなく、慎重になるべきだ”と述べている。 
 これらふたつの対照的な話を、ひとつのすっきりした物語にまとめるのは難しいかもしれない。一方でまだあまり知られていないドイツの時計師ふたりでは処理しきれないほどの需要があり、また彼らのような状況にあるブランドはほかにも存在する。他方では、何世紀もの歴史を持つGPやUNといったブランドが、工場をフル稼働させるほどの需要を確保できていない。この“対照的な話”の一部こそが、どんな業界でも健全さを保つ要因である。好みは変化し、古いブランドは遅れをとったり適応できなかったりする一方で、新しいブランドがその穴を埋めるのだ。結局のところ、先に挙げた小規模なブランドの新作に熱狂し、ジラール・ペルゴのラ・エスメラルダ トゥールビヨン “シークレット” エタニティ エディション(税込6295万3000円、世界限定18本)についてはほとんど触れないのには理由があるのだ(私たちはこのモデルのターゲット層ではない)。
 中国経済の減速がこの停滞の主要な原因として挙げられている。確かに、時計業界は経済的不確実性の犠牲となっているが、Geneva Watch Daysのような時計展示会は、政治集会や高校の壮行会のようなものであり、意図的に興奮を煽り、実際の時計に焦点を当てるために設計されている。
 新作の発表はそれほど多くはなかったものの、それぞれ秋の新作発表やオークションなどに向けて準備を進めるなか、業界を盛り上げるには十分な内容だった。ここでは私がジュネーブで目にしたハイライトをいくつか紹介する。これらについては、今後数週間でさらに詳しく取り上げる予定だ。
全体のムード

新設されたオルタナティブ・オロロジカル・アライアンス(Alternative Horological Alliance)のタンタル製ブレスレット。
 ほかの展示イベントに比べて、Geneva Watch Daysは緩やかで分散型の雰囲気を持っており、とくに小規模のインディペンデントブランドに焦点が当てられている(パテック、ロレックス、リシュモンなどは不参加)。実際、この独立系の精神こそが、業界全体に最も大きな活気をもたらしているのだ。
 それを最も象徴していたのは、新作発表ではなく、私が週の始めに参加したオルタナティブ・オロロジカル・アライアンスの発表だったかもしれない。これは、ミン、フレミング、J.N.シャピロが共同で立ち上げた取り組みであり、インディペンデントウォッチメイキングを“既存の枠を超えた新しい基準”に向けて推進することを目的としている。マークの説明によれば、この取り組みでは資源を共有し、伝統的な時計製造のサプライチェーンの一部を再考することも含まれている。このアライアンスの発表とともに、ミンがデザインし、シャピロが製造した印象的な新作のタンタル製ブレスレットも披露された。
 彼らの製品は常に独立性の価値を示しているが、長期的に持続可能な独立系ブランドを築くことは難しい。AHAのような取り組みが、その助けとなることを願っている。
オークション

11月に開催されるサザビーズの“トレジャー・オブ・タイム”オークションの注目ハイライト。ブレゲ数字を採用したRef.1563が目玉となっている。
 現行品の市場と同様に、オークションやセカンダリーマーケットも減速している。これは時計に限った話ではなく、サザビーズは最近、上半期の収益が大幅に減少したと報告した。大手オークションハウスは秋のシーズンが好調になることを期待しており、すでに11月のセールプレビューを行っている。
 まず最初にプレビューしたのは、サザビーズのシングルオーナーによる“トレジャー・オブ・タイム”オークションだ。11月に行われる同オークションは、パテック フィリップを中心に30本の時計が出品される。目玉はRef.1563のスプリットセコンドクロノグラフだ。現存するものはわずか3本しか確認されておらず、そのうちの1本は有名なジャズミュージシャン、デューク・エリントン(Duke Ellington)が所有していたもので、現在はパテック フィリップ ミュージアムに収蔵されている。1563はイエローゴールドケースと“タスティ・トンディ”と呼ばれるRef.1463と同じプッシャーが特徴だが、このモデルを際立たせているのはブレゲ数字である(ちなみにエリントンのモデルにはこのブレゲ数字はなかった)。このコレクターはブレゲ数字に強いこだわりを持っていたようで、Ref.130 クロノグラフや、ブラックダイヤルの2499、さらにはRef.1436のスプリットセコンドクロノグラフにもそれが見られる(しかもハードエナメルで!)。Ref.1563のスプリットセコンドクロノグラフは、推定落札価格が100万スイスフラン〜300万スイスフラン(日本円で約1億6640万~4憶9900万円)とされており、2013年に記録した150万スイスフラン(当時の相場で約1億5800万円)を超えるかどうかが注目される。近日中に詳しいプレビューをお届けする予定だ。なおサザビーズ“トレジャー・オブ・タイム”の全カタログはこちら。

ジュルヌが製作した2本目の腕時計であり、初めて販売されたトゥールビヨン・スヴラン。11月に開催されるフィリップスのリローデッド(Reloaded)オークションに出品予定だ。
 一方、フィリップスはリローデッドオークションのプレビューを行った。同オークションは1980年から1999年の時計を中心に取り扱っており、フィリップスはこの時代を“機械式時計製造の再興”と呼んでいる。ブレゲ、ブランパン、ダニエル・ロート、デレク・プラットなど、この時代を象徴する時計師たちの幅広いコレクションが揃っているが、特に注目すべきは初代ロレックス レインボー デイトナと、ジュルヌが製作した2本目の腕時計であるトゥールビヨン・スヴランだ。今年1月のマイアミアンティークショーの特集を振り返れば、リローデッドに出品されているほかの時計を思い出すかもしれない。
 私はジュルヌファンではないが、トゥールビヨン・スヴランはまさに見事な職人技の結晶だ。“クラフトマンシップ”という言葉は今ではすっかり使い古されているが、この時計にはその真の意味が込められている。素朴なダイヤルかつ手彫りで、インクが湿ったノートのように滲んでいる。レインボー デイトナは“300万スイスフラン(日本円で約4憶9900万円))を超える見積もり”だが、ジュルヌは“200万スイスフラン(日本円で約3億3260万円)を超える”見積もりとなっている。個人的には、ジュルヌのほうが響くものがある。繰り返すが、私はジュルヌファンではない! フィリップスオークションについては、今後さらに詳しく取り上げる予定だ。ちなみに、プラチナ製のデュフォー デュアリティにはまだ触れていないが、オークションのレベルが高いことはこれでお分かりいただけるだろう。オンラインカタログはこちら。
 それでは、新作時計の紹介に移ろう。
新作発表: A(アルビスホルン)からX(ジェブデ)まで

アルビスホルンのマキシグラフは、存在していたかもしれないヴィンテージレガッタウォッチを、遊び心たっぷりに再解釈したモデルだ。
 アルビスホルン(Albishorn)は、セリタ社のイノベーションおよびマーケティング責任者であるセバスチャン・ショルモンテ(Sébastien Chaulmontet)氏によって立ち上げられた新ブランドだ。ショルモンテ氏は筋金入りのヴィンテージクロノグラフ愛好家であり、彼のコレクションの一部を紹介する素晴らしい動画も公開されている。長年彼の存在を知っていただけに、ついに本人と直接会えたことがとてもうれしかった。
 アルビスホルンのマキシグラフはマッセナLABとのコラボレーションによって誕生し、1930年代に作られていたとしたらどのようなモダンなレガッタクロノグラフになっていたかを想像してデザインされた時計だ。デザインは見事に仕上げられており、典型的なレガッタタイマーとは一線を画す、いくつかの巧妙な技術的イノベーションが盛り込まれている。同僚のジョナサンはEditors' Picksで、この時計をGeneva Watch Daysで最も気に入ったリリースとして挙げている。アルビスホルンからは今後も“ヴィンテージウォッチの再解釈”をテーマにしたモデルが登場する予定で、すべてがヘリテージのアイデアを遊び心いっぱいに表現している。またヴィンテージにインスパイアされたデザインが、必ずしも堅苦しいものである必要がないことも証明した。

スリム化されたM.A.D.1 S。マークのHands-Onレビューでも紹介されたモデルだ。
 1年以上ぶりにMB&Fの時計とじっくり向き合う機会を得たが、まるで動くアートのワンダーランドのようだった。レペとMB&Fのコラボ作“アルバトロス”、いわばチャイムを鳴らす飛行船型の置時計から、実際に装着可能となったM.A.D.1 Sまで、マックス・ブッサー(Max Büsser)氏の世界に足を踏み入れた瞬間から、その感覚に圧倒される。過去数十年間、彼ほど時計や置時計の目的そのものを根本から再考した人物はいないだろう。彼の作品を実際に手に取ることで、その独自性を改めて実感させられる。
 ジュネーブ中心部にあるジェブデ・レジェピ(Xhevdet Rexhepi)氏の工房は活気に満ちており、6人ほどの従業員が組み立てや仕上げのさまざまな工程に取り組んでいる。彼のアトリエの様子は、この動画で手軽に見ることができる。彼の手がけたミニット・イネルテは、インディペンデントウォッチメイキングの革新的な作品だ。秒針が毎分2秒間停止し、そのあと分針が一気に進むという仕組みで、これはスイスの鉄道時計を参考にしたものだ(実際の動作はここで確認できる)。この複雑機構を完成させるのには相当な苦労があったようだが、彼の工房ではグリーンとブルーのダイヤルを備えた実働モデルを見ることができた。

オクト フィニッシモ ウルトラは、驚くほど薄いにもかかわらず、依然として“時計”としての感覚を保っている。

...しかし、底知れぬ薄さだ。
 新作ではないが、ブルガリのオクト フィニッシモ ウルトラ COSCは、実物を見てもなおその薄さが信じがたい。わずか1.7mmだが、しっかりと時計としての感覚を保っている。“データマトリックス(ラチェット部分にあるQRコードのようなパターン)”は今でもあまり好みではないが、それ以外だと極端なオクト フィニッシモであり、それはまるでパスタローラーを何度もとおしたかのようだ。コンスタンチン・チャイキンのシンキングプロトタイプ(1.65mm)も見たかったが、彼は4月までに量産モデルを出すと約束している。今のところブルガリが依然として最薄量産時計であり、重要なのはフェラーリ×リシャール・ミルやチャイキンとは異なり巻き上げに鍵を必要としないことだ。
 “世界最薄”の称号を争う超薄型トリオのなかだと、今でもブルガリがお気に入りだ。実際の時計として見える点が大きな理由であり、しかもCOSC認定もされている! とはいえ、コンスタンチンの天才的な技術も否定できない。

ベルネロン ミラージュ 34はストーンダイヤルが特徴で、このイベントの主役となった。
 今週の主役は、おそらくベルネロンのミラージュ 34だろう。昨年38mmのミラージュを発表したシルヴァン・ベルネロン(Sylvain Berneron)氏は、非対称ケースを小型化し、より小さくて薄いムーブメントを採用した。しかし最大の変化はダイヤルにある。小型化されたミラージュでは、YGのモデルにタイガーズアイのダイヤル、ホワイトゴールドにはラピスラズリのダイヤルが使われており、どちらも驚くほど美しい。タイガーズアイは1970年代のシャギーカーペットと木製パネルのようなレトロ感を漂わせ、もうひとつのラピスラズリはクールでモダンな印象を与えている。近々ベルネロン ミラージュコレクション全体のハンズオンレビューもお届けする予定だ。

 最後に紹介するのは、先週のEditors' Picksでも触れたダニエル・ロートのローズゴールドトゥールビヨンだ。これが最大のサプライズだった。リローンチされたロートのトゥールビヨンを実際に見るのは初めてだったが、想像以上に素晴らしかった。1990年代のオリジナルトゥールビヨンに加えられた改良はわずかだが、しっかりと感じ取れる。サファイア製シースルーバックをとおしてムーブメントを確認した際、まず目に留まったのはブラックポリッシュ仕上げされたテンプ受けだった。完璧に仕上げられたそのディテールは、レンダリングやプレス写真では決して伝わらない美しさだ。全体の仕上がりは温かみがあり、ギヨシェ彫りも繊細で、すべてのパーツが見事に仕上げられている。ロートの美学は完全に自分好みではないが、実際に見たあとでは客観的に見ても美しいウォッチメイキング作品だと感じた。
 業界の苦境を伝える報道が続くなかでも、ベルネロン、ロート、レジェピ、さらにはアルビスホルンのような新作を見ると、機械式時計製造の未来は依然として明るいと感じさせてくれる。

第2次世界大戦直後、米国製腕時計の市場競争は熾烈となった。

エルジン、ブローバ、ハミルトンなどのメーカーは、消費者にアピールできる技術的に高度な腕時計の開発競争を繰り広げた。最も熾烈な競争のひとつは、従来のゼンマイ式ではなく電池式の腕時計を開発することだった。今回紹介するのは、その勝者であるハミルトン エレクトリック500だ。ハミルトンは電池式腕時計を消費者向けに開発した最初の企業だが、多大なコストを費やしつつ、最終的に勝者となった。

 電気式時計が登場したのはかなり昔であり、1814年にフランシス・ロナルズ(Francis Ronalds)卿が最初のモデルを発明した(ブレゲがトゥールビヨンの特許を取得したのがそのわずか13年前であることを考えると、これはかなり驚くべきことだ)。ただし、電池式腕時計をつくる上で克服しなければならない課題がふたつ存在した。ひとつ目は腕時計に対応できる電流を使用した発振器システムの開発。ふたつ目は時計ケースに収納できる小型電池の開発だ。当然ながら、このふたつの課題は密接に関連している。どのようなシステムを使用するにしても、小型電池を消耗させないだけの高い効率性が必要だったのだ。ハミルトンのエンジニアたちは、アーサー・フィリンガー(Arthur Filllinger)がハミルトン初の電気式ムーブメントを開発した1947年に、これらの課題に取り組み始めた。ただし1951年に初の実用モデルを作り上げたのはフレッド・ケーラー(Fred Koehler)で、最終的にはこれがモデル500ムーブメントの開発ベースとなった。このムーブメントの功績は、当時のハミルトンの主任物理学者だったジョン・ヴァン ホーン(John Van Horn)、そのチームメンバーの物理学者フィリップ・ビーミラー(Phillip Biemiller)、そして熟練技師のジェームズ・H・リース(James H. Reese)によるものだという声が多い。

 モデル500ムーブメントには、ハミルトンとナショナル・カーボン・カンパニー(後にユニオン・カーバイド社と改名)が共同開発した電池が使用された。ナショナル・カーボン・カンパニーは、40社を超えるほかの電池メーカーがハミルトンの申し出を断ったあとで、ハミルトンとの提携に合意した。この電池は液漏れせず、非常に安定した電圧を提供できるように設計されていた。ハミルトンでは、コスト削減と単一サプライヤー依存からの脱却に向け、電池の自社製造というアイデアも一時検討されたが、大規模製造により電池価格が手ごろになったため、同社は電池事業への参入を断念した。
 モデル500ムーブメントにはゼンマイが存在しない。大型のテンプ(機械の運動率を規制する車輪)の動きによって、歯車と針を動かす力を得ており、テンプの振動で歯車を連動させているのだ。モデル500は、いわゆる“ムービングコイル”式の電気時計だ。テンプの片側はバランススクリューが付いた一般的な外観だが、その反対側には大型のワイヤーコイルが取り付けられており、このコイルが電磁石になっている。テンプ下にあるプレートには、円盤状の永久磁石がふたつ取り付けられている。テンプが揺れるとコイルがふたつの磁石の隙間に入り込み、テンプ下をとおる非常に細い2本の線バネの1本が、テンプのハブの接点を介してコイルに短い電流を流すのだ。
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 コイル内で発生した誘導磁場は、永久磁石の磁場と相互作用しながらテンプを揺らし続ける。ヒゲゼンマイは非磁性の合金で出来ているが、ハミルトンのエンジニアたちは磁場の漏れを最小限に抑えるためにかなりの工夫を強いられた。彼らはプラチナとコバルト製のバッテリー用に独自の配合を開発しなければならなかったのだ(ゼネラル・エレクトリック社の先行特許を侵害しないようにする工夫が必要だった)。細長い2本の線バネの2本目は、実際は“遮断用”だ。テンプのハブにある石によって電流が遮断され、電流が流れるバネ間の電気接触を切断する。これによりコイル内の磁場が遮断され、テンプは弧を描きながら自由に揺れることができるという仕組みだ。


 残念ながら、ハミルトンはこの時計の生産を急いでしまった。1957年1月3日にサボイ・プラザ・ホテルで開かれた発表記者会見には120人以上のジャーナリストが集まった。当初純金製だったこの時計の価格は175ドルだった。“この時計は477年の時計製造の歴史における初の基本的な改良だ”と誇らしげに説明する広告もつくられた(ピーター・ヘンラインが時計を“発明”したとされる1480年を、時計の歴史が始まった日とする説もあるが、この説はすでに否定されている)。ハミルトンのエレクトリックムーブメントは、リチャード・アービブ(Richard Arbib)設計のベンチュラやペイサーなど、数多くの時計に採用された。

ハミルトンの電動ペイサー。
 しかし、初代モデルの動作にはムラがあった。さらに時計職人や宝石商は正しい修理手順を理解できていなかったため、この時計の販売をためらうことが多かった。ハミルトンはあらゆる修理を実行する際は時計を工場に返送することを推奨したが、これが問題をさらに悪化させた。エレクトリックを実際に使用する上で生じた深刻な問題のひとつは、テンプハブの接触点が腐食しやすく、ごくわずかな腐食でも時計が止まってしまうということだった。

 1960年にブローバが電池式の音叉時計であるアキュトロンを発表したことは、ハミルトン エレクトリックに決定的な打撃を与えた。ハミルトンとは異なり、ブローバは最初からサービススタッフを徹底的に訓練して製品サポートを行った。しかしハミルトン エレクトリックと同様、アキュトロンも結局は行き詰まることとなった。1969年にセイコーがクオーツアストロンを発表し、そこから歴史上で初めて、本当にどこでも正確な時間が得られる時代が幕を開けた。最終的にハミルトン エレクトリック(1969年に生産終了)は失敗作となったが、この非常に独創的なエンジニアリングの産物には、今でもコレクターや時計職人のあいだにファンが存在している。

今週のコラムはよりクラシカルな内容となり、ネット上から厳選した時計を紹介する。

前回のエディションでは、ロジャー・スミス シリーズ2 オープンダイヤルが間違いなく注目の1本であった。その時計は“ホールド中”と表示され、新しいオーナーのもとに行く可能性があることが確認された。また、このロジャー・スミスを凌ぐ注目度を誇ったのが、イギリスのFellowsで出品されたカルティエ ロンドン タンクL.C.(もしくはタンクJ.J.C.)である。この時計は熾烈な競り合いの末、4万4850ポンド(日本円で約955万円)で落札された。Fellowsは、この時計が同オークションハウスにおけるカルティエの時計として過去最高額での取引となったことを発表した。


それでは、今週のおすすめモデルを紹介しよう。


ロレックス エクスプローラー Ref.6610 RAFの証明付き、1957年製

1955年から1959年にかけて製造されたエクスプローラー第3世代のリファレンスである6610は、歴史的に重要であると同時に、後継モデルであるRef.1016よりも入手が難しい存在だ。しかし、6610はやや忘れられがちである。その要因のひとつは、36mmサイズのこのエクスプローラーが1016ではないという事実である。リファレンスナンバーが1016や5513のように象徴的な存在になると、それと近しいデザインや特徴を持つ6610や5512といったモデルは1016や5513ではない、という理由だけでやや評価が控えめになってしまう。この説明で意図が伝わることを願っている。


私はギルトダイヤルの1016を所有するエクスプローラーファンであり、Ref.6610にも強い愛着がある。正直なところ、6610はきわめて過小評価されていると考えている。状態が良好な6610、例えば今回のモデルのような個体には独特の魅力があるのだ。特に初期のディテールには、チャプターリングや6時位置のOCC表記、白い秒針といった要素があり、これが何とも言えない味わいを生んでいる。この個体はさらに、やや大きめのロリポップ秒針を備えており、これは微細な違いではあるものの、これこそ6610であって1016でないことを示す明確なサインである。

イギリスの小さなオークションハウスに出品されているこの初期のエクスプローラーには、軍事的な由来も添えられている。HODINKEEでは、ストーリーを持つ時計が特に魅力的と考えている。このRef.6610はイギリス空軍(RAF)の准士官であったレナード・ホール(Leonard Hall)が所有していたものである。ホールは中東に駐留していた際、ビッカース・ヴァレッタやヘイスティングス、ダコタといった輸送機を操縦しており、このロレックスはオマーンのシェイクから彼の輸送任務への感謝として贈られたものだという。この時計には、ホールのフライトログブック、写真、息子(このオークションの委託者)からの手紙など、物語を裏付けるさまざまな証明品が添えられている。エクスプローラーを所有するだけでも十分に魅力的だが、実際にその時計で探索を行った人物が身につけていたという背景が、この時計にさらに特別な価値を与えている。


この歴史的に重要なロレックス エクスプローラーは、11月8日(金)午前5時(アメリカ東部標準時)に開催されるHansons Hertfordshire'sのHanson Ross November Antiques, Collectables, Jewellery, Wine & Spiritsオークションのロット141である。事前見積もり価格は8000〜1万2000ポンド(日本円で約155万~235万円)だ。


ロレックス ゼファー Ref.1008 ボックスと書類付き、1967年製

ゼファーはロレックスのなかでも時の流れに埋もれてしまった存在であり、そのまま歴史に残り続けるだろう。もし21世紀にロレックスがゼファーを復刻したらとても驚く。しかし、それがヴィンテージロレックスとして優れていないというわけではない。私見では、いくつかのものはそのまま残されるのが一番であり、このニッチなスポーツロレックスもそのひとつだと思う。
 ロレックスは1950年代にRef.6582としてゼファーを発表し、その後すぐにRef.1008へと進化させた。このモデルは、基本的にはスタンダードなオイスター パーペチュアルにアレンジを加えたもので、ツートーンのデザイン、特徴的な面取り仕上げのベゼル、そしてクロスヘアダイヤルが特徴だ。その外観はほかのロレックスとは一線を画している。伝説的なレーサーでありデザイナーでもあるキャロル・シェルビー(Carroll Shelby)もゼファーを愛用し、1959年の『スポーツ・イラストレイテッド』の特集でも着用していた。これらの時計は年数が経っており、文字盤に広がるデッドスペースも多いため、良好なコンディションで残っているものを見つけるのは難しい。見てほしいのは単独で配置されたルミナスポイントだ。これらは腰の高さからのわずかな落下でも、いくつかが失われてしまう恐れがある。

もちろん、ここでゼファーを紹介するのは、この個体が非常に優れた状態にあるからである。さらにオリジナルのボックスと書類もそろっており、これはコレクターにとってうれしいポイントだ。実際、この時計は“本物の”フルセットであり、クロノメーター証明書とロレックス保証書が両方そろっている。これ以上ない魅力的な一品である。


このロレックス ゼファーはLoupe Thisオークションに出品。記事公開時点での現在の入札額は4550ドル(日本円で約70万円)で、オークションは11月5日(火)午後12時15分(アメリカ東部標準時)に終了予定である。詳しくはこちら。


P.S. 今週のヴィンテージロレックス紹介はこれで以上だが、もしまだロレックスが足りないというなら、eBayに出品されているヴィンテージTシャツもチェックしてみて欲しい。
パテックフィリップ Ref.1491R カラトラバ ローズゴールド製スクロールラグ付き、1952年製

さて、ヴィンテージロレックスからヴィンテージパテックに話題を替えよう。私のお気に入りであるカラトラバ Ref.1491が、友人たちが運営するCollectabilityにリストされた。しかもRG仕様と、特別感が増している。


1491は1940年から1965年のあいだに約400本が製造された。これだけ長い生産期間にしては比較的少量の生産数である。今でこそこのリファレンス特有のスクロールラグに魅力を感じるが、当時のパテックの顧客層にはやや異質なデザインだったのだろう。この時計を選ぶのは、当時としても非常に個性的な買い手であったに違いない。その独特な魅力こそが、現代においてこの時計を特別な存在にしているのである。特にこの時期のパテックのデザインは非常に控えめでクラシカルなものであり、クラシックなRef.96 カラトラバや、洗練された複雑さを持つRef.1518などが象徴的だ。この時計が今の私たちにはさほど奇抜に見えなくとも、当時としては突拍子もないデザインだったに違いない。

このリファレンスをググったり検索したりすると、大多数の個体は6時位置にスモールセコンドを備えていることがわかる。ただ今回のモデルはセンターセコンドを採用しており、その点が希少価値を高めている。さらにパテックのアーカイブ抜粋にもCal.27 SC(SCはセンターセコンドの意)と記載されており、正規の仕様であることが確認されている。ただしひとつ“問題”がある。この時計の文字盤は、パテックによるサービスの際に交換されたものである。6時位置のSwiss表記の両側にあるシグマ記号がその証拠であり、これは1971年以降の一部の文字盤に見られる特徴である。この点を考慮すると、サービスダイヤルであることを理解したうえで価格が設定されているため、コレクターはこの欠点も注意することが重要である。
 販売者であるニュージャージー州Collectabilityのジョン・リアドン(John Reardon)氏とそのチームは、このパテックに2万4500ドル(日本円で約370万円)の価格を設定している。詳しくはこちら。
カルティエ パリ “ミドルサイズ” サントレ、1979年製

カルティエのサントレは、HODINKEE読者にとってすでにおなじみの存在であろう。ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏とのTalking Watches第2弾で惚れ込んだ方もいれば、最近になってこのモデルの魅力に気付いた方もいるかもしれないが、サントレは今やコレクターにとって象徴的なカルティエ タンクのひとつである。真にジャンボサイズのサントレはアイコニックな存在であり、オークションでも大いに注目を集めるが、私はそのひとつ下の“ミドルサイズ”にも独特の魅力があると感じている。このサイズのほうがクラシカルな印象が強く、カーブしたケースもバランスよく見える。手首全体を覆うことなく、ほかのタンクモデルと同じような自然なつけ心地が楽しめるのだ。サントレに関してはこのサイズのほうが好みと言ってもいいかもしれない。あるいは、実際に“ジャンボ”を手にする機会が訪れることはないだろうという現実を受け入れているだけかもしれない。ただいずれにせよ、このミドルサイズのサントレは決して“妥協”ではないのである。
 特に1920年代から1960年代にかけてのヴィンテージカルティエの時代を振り返ると、サントレのなかでもジャンボサイズのほうが一般的だったように思える。私の考えでは、当時のカルティエの顧客がサントレを選ぶ際、タンクL.C.やタンク オビュなどほかのモデルと競合する小型サイズよりも、より存在感のあるジャンボを好んだのではないかと思っている。ヴィンテージの出回り具合を研究するなかで感じるのは、実はミドルサイズのサントレはかなりレアであり、むしろジャンボよりも入手が難しい可能性があるということである。

このミントコンディションのミドルサイズサントレを販売しているのは、マイアミにあるMenta Watchesのアダム(Adam)氏とジョーダン(Jordan)氏で、価格は2万5000ドル(日本円で約380万円)となっている。詳しくはこちら。
オーデマ ピゲ “エリプス” ダイヤモンド&ルビー文字盤、1970年代製

先々週、私は少人数のグループでランチを楽しんだ。そのなかにはマイク・ヌーヴォー(Mike Nouveau)氏とフレッド・サベージ(Fred Savage)氏もいてなんとも贅沢な時間を過ごしたわけだが、ランチが盛り上がるなかフレッド氏がマイク氏にこんな質問を投げかけた。「“ジーザーウォッチ”ってどう定義する?」と。この問いはいい意味で場の空気を一瞬で変えた。TikTokアカウントを持っていない人のために補足すると、“ジーザーウォッチ”というのは、HODINKEEの古くからの友人でありライバルでもあるフィル・トレダノ(Phil Toledano)氏が作り出した言葉で、彼がマイクの動画に頻繁に登場することで広まった用語だ。最終的にマイク氏は、ジーザーウォッチを何か具体的な物ではなく“感覚的なもの”として表現し、“見ればわかる”というものだと説明した。まあ私も見ればわかると思うし、このオーデマ ピゲこそがまさにその“ジーザーウォッチ”である。しかもその源であるマイク・ヌーヴォー本人からの出品だ。


このジャンルの時計をどう呼ぶにせよ、このスタイルに魅力を感じるならば確実に価値がある。オーデマ ピゲのようなブランドから、ホワイトゴールドのケースにダイヤモンドとルビーをあしらったブレスレット付き時計が1万5000ドル(日本円で約230万円)未満で手に入る機会はほかにはまずないだろう。確かに、このデザインは特定の好みに向けたものであるが、手に入れるものは本物の価値と卓越した職人技の結晶だ。特に私が気に入っているのは、文字盤対角線状に配置されたジェムセットと、ケースの薄いベゼルに施された同じ角度のノーリング加工との相互作用だ。この時計には豊かなディテールが詰まっているが、もしこれをうまく身につけられるなら、その美しさは圧倒的である。


この1970年代製オーデマ ピゲを販売しているのは、先述したようにマイク・ヌーヴォー氏で、彼はニューヨーク市に拠点を置いている。この時計の価格は1万4000ドル(日本円で約210万円)。

“フィールド”と“ブラックバード”のふたつのモデルをラインナップに追加。

以前アエラについて取り上げた際、ひとつの核となるシルエットを軸にスイスでの時計製造を貫くマイクロブランドとして紹介した。共同創業者であるジャス・ミンハス(Jas Minhas)氏とオロフ・ラルソン(Olof Larsson)氏により、ブランドで最も複雑なモデルとなるC-1 クロノグラフが発表されたのも記憶に新しい。今回アエラは方向性を一転させ、これまでで最もシンプルなモデルとしてフィールドウォッチから着想を得たM-1シリーズを公開した。

 アエラはこの2本の現代的なタイムオンリーウォッチのデザインについて、“ダーティ・ダズン”からインスピレーションを得たと述べている。ダーティ・ダズンとは、第2次世界大戦中にイギリス国防省が兵装として製作を依頼した12のフィールドウォッチの総称だ。この歴史的な着想を出発点としながらも、最終的な製品はアエラの時計すべてに共通する独自のシルエットをしっかりと踏襲している。
 これらのモデルはアエラにとって初めてとなる40mm未満のケースを採用しており、直径39mmで厚さ13.14mm、ラグからラグまでの長さは47.6mmとなっている。ブランドの特徴的なデザイン要素はそのまま健在で、904Lステンレススティールを使用した小石のように丸みのある外観のケース、曲線的なラグ、そしてクイックチェンジストラップシステムが備わっている。M-1シリーズは、ヘアライン仕上げのSSケースを採用した“フィールド”と、PVDコーティングされた“ブラックバード”というふたつのモデルで展開されている。



 デザインの観点から見ると、アエラは視認性が高く、コントラストの効いたダイヤルをこれまでに引き続き提供している。ダイヤルの外周には白のプリントでレイルウェイタイプのミニッツトラックが施され、黒で縁取られたソード針が採用されており、そこにはスーパールミノバがたっぷりと塗布されている。ほかのモデルと同様に、アエラの文字盤には夜光として純白のグロボライトが数字やブランドロゴに使用されている。フィールドとブラックバードの2モデル間で見逃しがちな細かい違いとしては、後者にのみ追加されていた青いアクセントが挙げられる。具体的には12時位置の上部、リューズの夜光インサート、スモールセコンド針の先端部分が青で彩られている。またフィールドではスーパールミノバが緑に発光するのに対し、ブラックバードでは青く発光するという違いもある。

 ソリッドケースバックの内側には手巻き式ムーブメントであるセリタ SW216-1が搭載されている。このムーブメントは“エラボレ”グレードで、標準のグレードよりも仕上げや精度調整の面で優れている。時計の防水性能は100mで、両モデルともにクイックチェンジ仕様のストラップが2本付属し、さらにハンドメイドのレザートラベルポーチもセットになっている。価格はフィールドが1750ドル(日本円で約26万2000円)から、ブラックバードが1900ドル(日本円で約29万5000円)からとなっている。

我々の考え
ケースラインに見られるほぼ宇宙時代的なデザインを考慮すると、ダーティ・ダズンからのインスピレーションはややこじつけのように思えるかもしれない。しかしそれはむしろ好ましいことであり、M-1は依然としてアエラらしさを保っている。この時計が革新的かと問われれば、決してそんなことはない。しかし私はM-1はこそ、ブランドが初めに発表すべきだった時計であると考えている。オンライン販売専業ブランドにとって、スペックが潜在顧客との最初の話題となる世界では、このサイズは時計の装着感に不安を抱く人々にとってより魅力的に映るだろう。

 両モデルとも各300本の限定生産であり、アエラは段階的なリリース戦略を継続している。今年中に各100本をリリースし、残りは来年に数回に分けて展開する予定だ。ブランドの販売実績を内部から詳しく知るわけではないが、これは販売を通じて需要を測り、それに応じて生産する賢明な戦略であると考える。

基本情報
ブランド: アエラ(Aera)
モデル名: M-1

直径: 39mm(ラグトゥラグは47.6mm)
厚さ: 13.14mm
ケース素材: 904Lステンレススティール
文字盤色: ブラック
インデックス: グロボライト
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックレザーストラップ、タンレザーストラップ


ムーブメント情報
キャリバー: セリタ SW216-1(エラボレグレード)
機能: 時・分表示、スモールセコンド
パワーリザーブ:  42時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時

価格 & 発売時期
価格: フィールド 1750ドル(日本円で約26万2000円)/ブラックバード 1900ドル(日本円で約29万5000円)
発売時期: 発売中
限定: 各300本限定

オメガ スピードマスター ムーンフェイズ メテオライトが登場。

オメガがスピードマスター ムーンフェイズにまるで“別次元”のような(ダジャレが抑えられなかった)アップデートを加えた。今回の新モデルにはメテオライトダイヤルを採用し、ムーンフェイズのディスクにはルナメテオライト(月隕石)でつくられたカボションを使用したのだ。これは北半球と南半球、両方の月を表示するというユニークなデザインである。しかしこのモデルの進化は見た目だけではない。ケースは新たに直径43mm、厚さ13.6mmのステンレススティール製となり、さらなる薄型化を実現。ムーブメントには自社製の手巻きCal.9914を搭載し、約60時間のパワーリザーブを実現している。さらに、21mmから16mmへとテーパーしたブレスレットにはポリッシュおよびサテン仕上げを施し、工具不要のマイクロアジャストを搭載している。

オメガスーパーコピーn級品 代引きこのデザインのアップデートには、つい目を奪われてしまう。シルバーのメテオライトダイヤルにはブルーのアクセントが効いていて、ホワイトゴールド製の針やインデックス(夜光付き)、さらにセラミックベゼルが絶妙に調和している。一方、ブラックPVDコーティングが施されたメテオライトダイヤルは、ポリッシュ仕上げのWG製針とインデックスが特徴的だ。さらにシースルーバックをとおして、METAS認定のマスター クロノメーターキャリバーの美しい仕上げを楽しむことができる。
 スピードマスターでメテオライトダイヤルが使われたのは初めてではないが、2010年に発売された限定のアポロ・ソユーズモデル以来、最も印象的な1本かもしれない。3時位置のインダイヤルはクロノグラフの分と時間(最大12時間)を表示し、9時位置には日付が付いている。そしてムーンフェイズのインダイヤルには、月面着陸した1969年7月21日のスイス・ビール(オメガの本拠地)で見られた星空が描かれている。

オメガ スーパーコピー シーマスター ダイバー300M コーアクシャル マスタークロノメーター 210.20.42.20.03.001【VS工場出品】
どちらのバージョンも現在、オメガブティックや正規販売店で販売中だ。価格はともに264万円(税込)。

我々の考え
このスピードマスター ムーンフェイズは、オメガが本気でつくり込んだことが伝わってくる。真っ先にメテオライトダイヤルに目を奪われるが、細かいところにも見どころがたくさんある。個人的に一番のお気に入りは、ムーンフェイズに使われているふたつのルナメテオライトのカボションだ。大理石のような質感で、実物なのにフォトリアルなイラストのように見えるのがおもしろい。またダイヤルのみならず、ムーブメントの装飾も素晴らしく、細部までしっかりとこだわりが感じられる時計だと思う。

確かに、今回の価格は強気な感じがする。ブルーセラミックのムーンフェイズが232万1000円で、以前登場したSSモデル(ブレスレットタイプ)は178万2000円(ともに税込)だ。もちろん新モデルにはいろいろな違いがあるが、それを納得できると思うかどうかは買う人次第だ。


ムーンフェイズのインダイヤルが文字盤に対して少しアンバランスに見えて、全体的に下が重たい印象があるとも感じた。ただ写真を見直したり、ほかの人の意見を聞いたりしているうちに、オリジナルのオメガ スピーディームーン(Cal.3866搭載、ムーンフェイズとカレンダー付き)のよさが改めて分かってきた。初代のムーンフェイズ搭載スピードマスターで、12時位置にムーンフェイズがあるあのクラシックなデザインのほうが、自分にはしっくりくるかもしれない。

それでも、オメガがスピードマスター ムーンフェイズを進化させようと頑張ってるのは素直に評価したい。今回のモデルは、2016年のムーンフェイズとはまったく異なる雰囲気で、かなり力を入れてつくり込んでいるのが伝わってくる。個人的にはブルーよりブラックダイヤルが好みだ。ブルーは50周年記念のシルバー スヌーピー アワードウォッチを思い出すが、正直あの色の組み合わせはそこまで好きではなかった。ただどちらのバージョンを選んでも、選んだ人が満足できる時計だと思う。

基本情報
ブランド: オメガ(Omega)
モデル名: スピードマスター ムーンフェイズ メテオライト(Speedmaster Moonphase Meteorite)
型番: 304.30.43.52.01.001(ブラックダイヤル)/304.30.43.52.06.001(グレーダイヤル)

直径: 43mm
厚さ: 13.6mm
ラグからラグまで: 48.6mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: 3つのインダイヤルを備えたメテオライト
インデックス: ルナメテオライトを使ったムーンカボションに、ホワイトゴールド製の夜光インデックスと針
夜光: あり
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: SS製の5連ブレスレット(21mmから16mmへテーパー)、簡単に調整が可能なフォールディングクラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: 9914
機能: 時・分表示、スモールセコンド、クロノグラフ、ムーンフェイズ
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 45
クロノメーター: マスター クロノメーター認定、1万5000ガウスの耐磁性能、日差0~+5秒の精度
追加情報: コーアクシャル脱進機、コラムホイール、シリコン製ヒゲゼンマイ、ジュネーブウェーブ模様のアラベスク装飾

価格 & 発売時期
価格: ともに264万円(税込)

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)から、新作ウィメンズウォレット&レザーグッズが登場。

今回の新作は、天赦日、一粒万倍日、大安が重なる“スーパーラッキーデー”である2025年7月24日(木)に向けたコレクション。モノグラム・キャンバスをベースにポップなカラーを取り入れたコンパクトウォレットや、爽やかなイエローカラーが目を引く財布などをラインナップする。


ルイヴィトン コピーマヒナ・レザーのベージュウォレット
ポルトフォイユ・イリス コンパクト 151,800円
サイズ:W12×H9.5×D3 cm

注目は、マヒナ・レザーを採用したミニ財布「ポルトフォイユ・イリス コンパクト」。柔らかなベージュのレザーに、グラデーションカラーのモノグラム・パターンをパンチング加工で配した軽やかなデザインが特徴だ。明るいゴールドカラーの金具が華やかな印象を演出。コンパクトながらコインケースや6つのカードスロットを備えており、機能性も充実している。


イエロー際立つウォレットコレクション
ポルトフォイユ・カプシーヌ 236,500円
サイズ:W20×H11×D2.5cm

また、鮮やかなイエローが際立つレザーアイテムも登場。トニックレモンカラーのレザーに、エキゾチックなパイソンレザーのLV イニシャルを配した長財布「ポルトフォイユ・カプシーヌ」や、コンパクトながらも存在感を放つファスナー付きミニ財布「ポルトフォイユ・クレア」など、持っているだけで気分が上がりそうなウォレットを揃えた。


ポルトモネ・ロザリ 71,500円
W11×H8×D2.5 cm
そのほか、ベーシックなモノグラムウォレットの内側に、イエローやピンクなどの鮮やかなコントラストカラーを取り入れたジッパーウォレット「ポルトフォイユ・ノア コンパクト」や、キュートなパステルカラーが魅力のミニ財布「ポルトモネ・ロザリ」など、バリエーション豊富に展開する。


【詳細】
新作ウィメンズウォレット&レザーグッズ
展開店舗:全国のルイ・ヴィトン店舗、公式オンラインストア
アイテム例:
・ポルトフォイユ・ノア コンパクト 79,200円
・ジッピー・ウォレット 117,700円
・LV ヴェルティカル ウォレット コンパクト 181,500円
・ポルトフォイユ・カプシーヌ 236,500円
・ポルトフォイユ・クレア 124,300円
・ポルトフォイユ・イリス コンパクト 151,800円
・キーケース ミュルティクレ 37,400円
・ポルトモネ・ロザリ 71,500円

【問い合わせ先】
ルイ・ヴィトン クライアントサービス
TEL:0120-00-1854

大人気のスキューバ フィフティ ファゾムスに最新作が登場した。

オメガとのムーンスウォッチが大成功を収めた後、スウォッチは2023年、他のグループ傘下ブランドであるブランパンとの新たなコラボレーションを発表しました。それがブランパンの象徴的なダイバーズウォッチであるフィフティ ファゾムスの70周年を記念しつつ、スウォッチ独自のバイオセラミック製ケースと自動巻きムーブメントのシステム51を採用して誕生したスキューバ フィフティ ファゾムスです。

2025年新作のブランパン×スウォッチ スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャン。
その後、2024年1月には、使いやすいフルブラックのスキューバ フィフティ ファゾムス オーシャン オブ ストームを発表。さらに、少し時間を置いた2024年末にはターコイズブルーが印象的なスキューバ フィフティ ファゾムス ブルー ラグーンをリリースし、コレクションの幅を着実に広げ続けてきました。そして今年、シリーズ8作目となる鮮やかなピンクを纏った最新作、スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンが登場しました。

スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンは、これまでのモデルと共通の直径42.3 mm、厚さ14.4 mmのバイオセラミック製ケースが採用されています。

同コレクションのモデルはいずれも、ウミウシからインスパイアされたカラーリングが特徴ですが、本作のモチーフは、鮮やかなピンク色と特徴的な形で知られるセラトドーリス・ロザセアというウミウシ。ダイヤルは、中央から端に向かってピンクが濃くなるグラデーション仕上げが施され、ケースをはじめ、ベゼルインサート、リューズ、ダイヤル、そしてストラップに至るまで、ベビーピンクからマゼンタまでの多彩なピンクの色調が取り入れられています。

さらに、4時位置と5時位置の間に設けられた日付表示もピンクで統一されており、視界に映るすべてがピンク一色。その結果、これまでで最もポップな印象を持つスキューバ フィフティ ファゾムスに仕上がりました。

スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンには、さまざまなトーンのピンクが取り入れられている。

ローターには、色合いのインスピレーションとなったウミウシ、セラトドーリス・ロザセアがデジタルプリントされている。
ケース素材のバイオセラミックは、トウゴマの種から抽出されたヒマシ油を原料とするバイオプラスチックにセラミックを加えた、環境負荷の少ない特許取得済みの素材です(製造工程は「ムーンスウォッチとスキューバ フィフティ ファゾムス製造の舞台裏へ潜入」をご覧ください)。ストラップもリサイクルされた漁網を使用して作られた、環境に配慮されたピンクと白のツーピースのNATOスタイルストラップが採用されています。


ケース内部には、製造が完全に自動化された世界初のムーブメントであるシステム51を搭載。90時間のパワーリザーブや91メートル(50ファゾム)の防水性能など、技術仕様に変更はありません。スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンは、数量限定ではなく、価格も他のモデルと同じく6万500円(税込)となっています。


ファースト・インプレッション
このモデルを手に取った瞬間、まるでバービーの世界からやってきた時計のようだと真っ先に感じました。元気になるようなピンクは、正直なところ僕が普段の服装に取り入れる時計ではないかもなと思いましたが、ちょうど妻(@watchgirltokyo)が日常使い用のダイバーズウォッチの購入検討をしていたため、彼女に試してもらうことにしました。

妻にトライしてもらう際、最も気になったのはサイズ感でした。スキューバ フィフティ ファゾムスは、直径42.3mm×厚さ14.4mmとメンズから見ても大きめな時計ですが、それに対し彼女の手首まわりは14cm。果たしてバランスが取れるのか心配でした。

しかし、実際につけてもらうと、軽量なバイオセラミック製ケースのおかげで意外と悪くない様子。さらに、ブルー ラグーンモデルから仕様が変更され、ストラップが引き通しタイプのNATOストラップではなく、ツーピース構造のNATOスタイルファブリックストラップに変更されたことも、つけ心地の向上に一役買っています。ケースバックの下で重なっていたストラップの厚みがなくなって、これまでよりもかさ張らない設計となり、ケース厚が14.4mmでありながら、より快適に着用できるようになっています。僕も実際に試してみましたが、以前レビューしたスキューバ フィフティ ファゾムス オーシャン オブ ストームと比較しても確実に改善されていることを実感しました。

なお、ストラップはリサイクルされた漁網を使用した環境に配慮した素材で作られていますが、敏感肌の妻は繊維の質感がわずかに気になると感じたようでした。僕はまったく気にならなかったのですが、店頭で試着してみるのがよいかもしれません。

さらに、新仕様のストラップにはもうひとつ大きな利点があります。それは、ストラップがケースバックに被らない設計のおかげで、システム51ムーブメントのブリッジに施された精緻なレーザー装飾や、透明なローターに描かれたウミウシのイラストを、ストラップを外すことなくそのまま鑑賞できる点です。わずか51個の部品で構成されたこの画期的なムーブメントを、いつでも眺められる楽しさは、初めて機械式時計に挑戦する方だけでなく、すべての時計愛好家にとって魅力的なポイントと言えるでしょう。

すべてがピンクのデザインに対する評価は人それぞれですが、妻は普段取り入れないカラーの時計として、新鮮さを楽しみ、気に入ったようでした。スティールケースやゴールドケースの時計よりも色の存在感が際立つ分、時計を起点にファッション全体のコーディネートを考える楽しみが増えたようです。

特に、明るいピンクがアクセントとなり、シンプルな服装にも遊び心や個性をプラスできる点が魅力的だったとのこと。カジュアルなデニムや白いシャツとの相性は抜群で、ピンクが華やかさを添えるだけでなく、意外にもパステルカラーやニュートラルな色合いの服とも調和していました。

そんな妻に触発され、僕も食わず嫌いではいけないと意を決して試してみることにしました。ピンク自体がそもそも自分の服装に合わせることがほとんどないため、正直なところ挑戦でした。試しにグレーのセーターやデニムジャケットに合わせてみたものの、これで合っているのかどうか自信が持てず、どこか落ち着かない気持ちが残りました。

やはり、自分にはオーシャン・オブ・ストームの落ち着いたトーンがしっくりきそうです。ピンク オーシャンのポップな魅力は認めつつも、カラーがもたらす印象やスタイルとの相性には、やはり個々の好みが影響するのだと改めて感じました。それでも少し冒険するなら、ターコイズブルーが美しいブルー ラグーンが僕には良いかもしれません。

もし妻がピンク オーシャン、僕がブルー ラグーンをつけることになったら、まるでバービーとケンの時計のようですね。そんなペアウォッチの楽しみ方も、このコレクションの魅力だと思います。

基本情報
ブランド: ブランパン×スウォッチ(Blancpain × Swatch)
モデル名: スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャン(Scuba Fifty Fathoms PINK OCEAN)

直径: 42.3 mm
厚さ: 14.4 mm
ラグトゥラグ(全長):48.0 mm
ケース素材: バイオセラミック
文字盤色: ピンク
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 91m(50 ファゾム)
ストラップ/ブレスレット:使用済みの漁網をリサイクルして作られたツーピースのNATOスタイルストラップ、バイオセラミック製のバックル付き

ムーブメント情報
キャリバー: システム51
機構: 時・分・センターセコンド、日付表示
パワーリザーブ: 約90時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時

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