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ロレックスからリシャール・ミルまで、歴代マスターズ優勝者のベストウォッチを紹介。

マスターズ・サンデーは、全スポーツカレンダーのなかでも最高の日のひとつだ。私は子供の頃からゴルフをやっていたが、今は時計が仕事になっている。そしてマスターズ・サンデーには優勝者の時計を見分けるという、もうひとつのスポーツもある。時計ブランドが、ゴルフのスポンサーになることに全力を挙げているのだ。ロレックスは男子4大メジャー大会のすべてを後援しており、ロレックス、オーデマ ピゲ、ウブロなどのブランドは、ラウンド後に素早く時計を身につけ、ラウンド後の活動やインタビュー、そして願わくばトロフィー授与の際にカメラ前でつけてくれるアンバサダーを数多く抱えているのである。

 今年は嵐の影響でマスターズの終了が遅れているため、過去のマスターズ優勝者のお気に入りの時計をいくつか振り返ってみることにした。私たちは少なくとも2012年以降、グリーンジャケット受賞者の時計を観察してきたが、彼らはブランドアンバサダーであり、いくつもの素晴らしい時計を見てきた。ここではマスターズで優勝した7人の選手(合計22回のマスターズで優勝した)らが身につけている時計を紹介しよう。

タイガー・ウッズ
タイガー・ウッズ
 もちろん私たちはマスターズで5回の優勝を収めたタイガー・ウッズから始めなければならない。2019年、最新のグリーンジャケットに袖を通したとき、ロレックス ディープシー Dブルーを着用しているのを目撃した。ウッズのキャディを務めるジョー・ラカワ(Joe LaCava)氏によると、2019年の優勝後、ウッズは同氏に派手すぎて箱から出せないほどのロレックスを贈ったという。

 2011年、ロレックスはウッズとテスティモニー(ロレックス独自の用語。アンバサダーという意)を契約している。それ以来、彼がディープシーを身につけている姿は、あちこちで目撃されている。さらに数年前、ウッズは寝ているあいだにもそれを装着していることまで発覚している(そしてキーガン・アレン/Keegan Allen が自身もそうだと言ったことを覚えているだろうか?)。

ロレックス ディープシー Dブルー
 私の好きな時計エンドースメント契約のひとつに、1990年代、若き日のタイガー・ウッズがチューダーのアンバサダーに就任したというのがある。このパートナーシップでもたらしたのが、“タイガー”クロノグラフのラインナップに注目が集まったということだ。当時のチューダーのスタンダードなクロノグラフに似ているが、文字盤に“Tiger”の文字があるほか、(マスターズと同じグリーンを含む)多彩なカラーバリエーションも用意されていた。2000年代の大半をタグ・ホイヤーとともに過ごしたウッズは、2011年からロレックスと契約したのだ。

スコッティ・シェフラー
スコッティ・シェフラー
ロレックス エバーローズ GMTマスターII、“ルートビア”
 昨年のマスターズ優勝者であるスコッティ・シェフラーも、ロレックスのテスティモニーである。勝利のあと、2018年に発売されたGMTマスターIIのツートンカラーバージョンである、ロレックス エバーローズ GMTマスターII、“ルートビア”を腕に巻いている姿を捉えている。

 ウッズとシェフラー合わせると、ロレックスは過去4回行われたマスターズのうち、3回を制覇したことになる。なお松山英樹は2021年、ロレックス サブマリーナー デイト“ブルーサブ”を腕に巻いてグリーンジャケットを羽織っており、ウブロのダスティン・ジョンソン(Dustin Johnson)は2020年に優勝している。

アダム・スコット
アダム・スコット
 またもやグリーンジャケットを羽織る、ロレックスのテスティモニーだ。2013年にアダム・スコットがマスターズを制したとき、彼もまたグリーンジャケットのセレモニーでロレックスのディープシーを着用しているのを確認した。それ以来、彼は完全に時計マニアになったといっていいだろう。彼は2018年のHODINKEE Radioに登場し、時計とゴルフの話について語っている(この日のリストショットは、シェフラーがマスターズ優勝時に着用していた、エバーローズのGMTマスターIIだった)。その頃、彼はヴィンテージロレックスにどっぷりハマっていたという。そしてロレックスの工場も“何度か見学”したことがあるそうだ。かの人はスイスに住んでいるくらいだ!

 今では自身のInstagramにリストショットを投稿している。最近ではミルガウスをつけてポーズまでとっている(よっぽど生産終了になったのが悔しかったようだ)。


バッバ・ワトソン
バッバ・ワトソン
リシャール・ミル RM038
2011年に実際に使用していた、草の汚れがついたバッバ・ワトソンの腕時計の写真。

2013年のマスターズに優勝したアダム・スコットは、バッバ・ワトソンの2度のマスターズ優勝に挟まれたものだった。ワトソンは2011年からリシャール・ミルのアンバサダーに就任している。RMのなかには、RM038とRM038-1トゥールビヨン、RM055など、彼の名を冠したモデルがいくつか登場している。そして2012年と2014年の優勝の際に、ワトソンはRM038を着用していた。しかし、ロレックスのテスティモニーとは異なり、ワトソンはゴルフラウンド中にリシャール・ミルを着用している姿をよく見かける。RM038はトゥールビヨンであること、ケースはオールホワイトでできており、89%がマグネシウム製であるなど、RMに求められているものはだいたい揃っている。また同モデルは50本しか製造されず、2011年のSIHHで発表されたとき、当時は52万5000ドル(当時の相場で約4190万円)で販売された。まさにドレイクがラップするような時計である。

金無垢のロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー
今年のマスターズは、2007年以来、ニック・ファルドがアナウンサーブースにいないため少し違った雰囲気になりそうだ。アナウンサーとして活躍する前のサー・ニックは1989年、1990年、1996年の計3回、マスターズで優勝を収めており、現役のキャリア時代に獲得した6大メジャー大会の半分を占めている。

ニック・ファルド
In-Depth: オーデマ ピゲ ロイヤル オーク シングルトーン&バイメタルモデルのストーリー

2018年、カーラはシングルトーン&バイメタルモデルのロイヤル オークを徹底的に深堀りした。すべては、1990年に発売されたニック・ファルドの“チャンピオンシップ”SS&タンタルから始まった。

ファルドは長年、オーデマ ピゲのアンバサダーを務めていた。1990年に全米マスターズ、全英オープンの2冠を達成した際に、APがそれを祝して、ロイヤル オークの“チャンピオンシップエディション”を限定生産したこともある。それはわずか2000本しか生産されなかった33mm径のロイヤル オーク(クォーツ仕様)で、AP社が初めてステンレスとタンタルを使用したことでも当時注目されたモデルだ。さらにキーホルダー、ロイヤル オークのカフリンクスとペンダント、ベルト、ピルケース、ベルト、タンタル×SSブレスレットを含んだ、かなり気合の入ったボックスで販売していた。なおAPは2003年にも、ロイヤル オーク ニック・ファルド リミテッドエディションを発売した。だが、これはファルドのサインが入ったゴルフボール型のローターが特徴的な、チャンピオンシップエディションには到底及ばないものだった。

これらの写真でニック・ファルドは、自身の大勝を記念してつくられた、ロイヤル オーク チャンピオンシップエディションを着用しているように見えないが、実は1枚目の写真の時計のほうがもっとすごい。ゴールドでできたロイヤルオーク パーペチュアルカレンダーを身につけているのだ。2枚目の写真ではグリーンジャケットとクラレットジャグ(全英オープンの優勝トロフィー)を持って、より落ち着いたツートンカラーのロイヤル オークのようなものをつけてポーズをとっているように見える。

ジャック・ニクラス
彼のことはHODINKEEの読者ならよくご存じだろう。メジャーでの優勝を18回(マスターズ優勝6回)果たしたジャック・ニクラウスと我々で、2017年にTalking Watchesを行っている。彼は1967年以来、ずっと同じロレックスのデイデイト Ref.1803 イエローゴールドを所有していた。つまり、18回のメジャー優勝のうち、12回はこの時計とともにしていたことになる。そしてそれを手にしてコースに向かい、小さなバッグに忍ばせたあとゴルフバッグに入れ、18番グリーンを歩きながら手首に装着し直す。その数年後、ニューヨークのフィリップスで122万ドル(当時の相場で約1億3300万円)で落札され、売り上げの100%がニクラス・チルドレン・ヘルスケア財団に寄付された。

このデイデイトを売ったあと、今度はジャックはブラック文字盤のものを購入し、今はそこに落ち着いたようである。

アーノルド・パーマー
最後に、最もスタイリッシュなゴルファーであるアーノルド・パーマーについて紹介しよう。彼は1967年にロレックスと契約し、選手にとって時計のエンドースメント契約を主流にした張本人である(実際、パーマー、ニクラス、ゲーリー・プレーヤーは、多くのアスリートのエンドースメント契約のあり方を変えた、スポーツエージェンシーの先駆者であるIMG/インターナショナル・マネジメント・グループ の最初のクライアントだった)。今でこそ時計の契約を取ることこそ、若いゴルファーの通過儀礼になっているのだが、それはアーニーから始まったことなのである。

アーノルド・パーマー
彼は長年にわたり、いくつかのロレックスの腕時計を身につけていることを確認できる。グリーンベイ・パッカーズのクォーターバックであるバート・スター(Bart Starr)、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領、野球選手のアル・ケーライン(Al Kaline)とともに写っている、1969年に撮影されたこちらの写真をご覧いただきたい。彼は手首に、ゴールドのデイデイトをつけている。現代の時計のエンドースメント契約の道を切り開いた人物としては悪くない顔つきだ。

これはロレックス1000万個目のクロノメーターを記念して、

ロレックスはユニークな時計をつくらない。少なくとも、その存在を我々が耳にすることはない。ただし、4月22日にモナコ・レジェンドで開催されるオークションに出品される、このプラチナ製ヨットマスターは、その点において極めて例外的なものだ。これは1992年に、父のアンドレからCEOを引き継いだロレックス前CEOのパトリック・ハイニガー(Patrick Heiniger)氏が依頼した、この世でただひとつのプロトタイプヨットマスターだ。

文字盤に“Dix Millionieme Chronometre”という表記があるように、ロレックススーパーコピー時計代引き1000万個目となるクロノメーター認定ムーブメントの製造を記念して、ハイニガー氏はこの時計をオーダーした。プラチナ製のケースとブレスレット、フリップロック式のクラスプに加え、ユニークなグレーの文字盤にはブルーサファイアとダイヤモンドをセット。全体としてのパッケージが素晴らしく、最高に豪華で華麗なのだ。ロレックスは、1992年にサブマリーナーに代わる高級モデルとしてヨットマスターコレクションを発表。サブは海を潜るダイバー向けのもの、ヨットマスターは海辺のクルージングをする人向けのもので、なかでもこのプロトタイプはヨットマスターのなかで最もヨットマスターらしいといえるだろう。

ロレックスは創業以来、精度とクロノメーターの製造を自社のアイデンティティとマーケティングの核に据えてきた。またチャーチルやアイゼンハワーといった歴史上の人物に記念すべき(例えば5万本目、10万本目のように)クロノメーターロレックスも贈っている。しかし1000万本目には、プラチナのヨットマスターをぶつけたのだ。

つまりロレックスが最もロレックスらしい記念日で祝杯をあげようとしたとき、これに似たような方法をとったのだ。この時計は一般向けではなく、ハイニガー自身に向けてつくられたのである。2010年、それは祝うに値する結果だったと旧友のジョー・トンプソン(Joe Thompson)氏が報告しているように、ロレックスは2000年から2010年にかけて700万本のクロノメーターモデルを製造し、それと同時期に230万本を突破したオメガを圧倒したという。

モナコ・レジェンド・グループのダビデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)氏によると、ハイニガー氏が1992年にイエローゴールドの新型ヨットマスターを発表したその日、彼の腕にはこのプラチナのプロトタイプが装着されていたそうだ。ハイニガー氏は2008年までCEOを務め、在任中に発表した唯一の新モデルが、このヨットマスターだった。1960年にハンス・ウィルスドルフが亡くなり、南米ロレックスを経営していた父親がCEOの座を引き継いだ(ウィルスドルフの死後、2年間はこの席が空いたままだった)あと、ハイニガー氏はロレックスのトップの座に就いた3人目の人物だった。

 モナコ・レジェンド・グループはこの時計の見積額を100万ユーロから200万ユーロ(日本円で約1億4675万円から、約2億9345万円)とした。ハイニガー家の末裔といわれる委託者に、この低い見積額を保証している。

ヨットマスターは本当に“コレクターズアイテム”なのか?
unique platinum rolex yacht-master
ハイニガー氏が証明するプラチナ製ロレックスが発見されたのは、この数年でこれが初めてではない。そして、それらの過去の時計はすでに記録を更新していて、現代のロレックスがオークションで達成できることの基準となっている。

 90年代後半、ハイニガー氏はプラチナのデイトナコレクションも依頼していて、4本がつくられ、そのうちの1本をハイニガー氏が自分用に保管していたと見られている。過去5年間に残りの3本がオークションで落札されているが、すべてリファレンスナンバーは16516で、それぞれがユニークな文字盤を備えていた。2018年、最初に登場したのは、プラチナ製のデイトナにブラックマザー・オブ・パールの文字盤を組み合わせたモデルだった。それはサザビーズで約87万2000ドル(当時の相場で約9630万円)で落札された。次いで2020年、ラピスラズリ文字盤の16516が、3.27万ドル(当時の相場で約3億4925万円)で落札された。これは自動巻きのデイトナに限ってではなく、現代のロレックスのオークションでの最高記録を樹立したのである。これに続くのが、2021年に314万ドル(当時の相場で約3億4465万円)で落札された3例目のターコイズ“ステラ(Stella)”、16516である。

platinum heiniger rolex daytona unique
ハイニガー氏が依頼したユニークなプラチナ製デイトナ。どちらも過去3年のあいだにサザビーズで300万ドル(約3憶万円)以上の価格で落札されている。

 しかし、このヨットマスターはそれらとは違う、完璧なるユニークピースだ。それにプラチナ製のフルブレスレットも付属している。そして特別なデイトナのうち、少なくとも数本は贈答品だったが、このヨットマスターはハイニガー氏が自身のために依頼したものだった。

「これぞまさにプロトタイプです」と、Loupe ThisとThe Keystoneのジャスティン・グルーエンベルグ(Justin Gruenberg)氏は言う。「あのデイトナとは違い、続けて生産されてきたものではないため、シリアルナンバーもモデルナンバーも記載されていないのです」。パルメジャーニ氏が説明してくれたように、ロレックスがプラチナ製のプロフェッショナルシリーズをつくるのは何年も先のことだ。プラチナのデイトナは、2013年にカタログに掲載されたばかりなのだから。

 デイトナは独自の伝説を築いているが、ヨットマスターは現代の基準において、少なくともまだ“コレクターズアイテム”とはいえない。好きか嫌いか、そのどちらかだろう。しかも特にヴィンテージコレクターのあいだでは、ヨットマスターを愛する人よりも嫌う人のほうが大多数だ。

unique platinum rolex yacht-master
「初代エクスプローラーII の1655やミルガウスなど、比較的人気のないモデルもそうですが、スタイルが進化するに伴い、ある時期から今以上にヨットマスターが評価されるようになるかもしれませんね」とグルーエンベルグ氏。

 一方でこのヨットマスターについて、すでに一部の人がすでに好意的な意見を持っているようだ。

 ディーラーであるゾーイ・アベルソン(Zoe Abelson)氏は、「このモデルは、今日のトレンドである“静かな贅沢 ”を体現しています。フルプラチナケースのクラシックなスポーティデザインと、ダイヤモンドをさりげなく見せるシルバーダイヤルが特徴です」と語る。プラチナのヨットマスターは現代ロレックスの最高峰かもしれないが、ダイヤモンドとサファイアのインデックスを備えているために、そう主張しているわけではない。確かに数は多いが、プラチナのロレックスにサファイアとダイヤモンドをあしらった比較的控えなデザインなのだ。

 その美的感覚が好き嫌いが分かれるところだが(あるいは好きだからこそ)、このヨットマスターはあのラピスラズリのデイトナが打ち立てたモダンロレックスの記録(327万ドル)を超えるはずだというのが、私が話を聞いたほとんどの人の意見だった。1990年代が過ぎ去り、ヴィンテージ、あるいはネオ・ヴィンテージと呼ばれるようになるにつれ、この時代のロレックスに興味を持つコレクターが増え、この時代の最もコレクターの多い時計がわかってきた。希少性という点ではこのモデル自体がまだ少し変わった存在であったとしても、ユニークなヨットマスターに勝るものはない。

unique platinum rolex yacht-master
 いや、ポール・ニューマンのポール・ニューマンでもなく、バオダイでもなく、マーロン・ブランドのGMTマスターでもないため、時計愛好家以外からの入札者を呼び込むこともできないかもしれない。パルメジャーニ氏は、もし大規模なオークションがこのヨットマスターを国際的なロードショーで紹介することができたなら、もっと大きな結果を得ることができたかもしれないと私たちに語っている。しかし彼は賢いコレクターが注目し、1点もののヨットマスターの価値を理解してくれると確信している。

 4桁のヴィンテージロレックスなら、1992年のヨットマスターにはない魅力があるが、このプラチナ製ヨットマスターは、ロレックスにとって歴史的に重要な、唯一無二のロレックスを購入できる初めての機会なのだ。その価値は大きく、オークション開催日には記録的な結果をもたらすかもしれない。

 ロレックスが大きくなり、時計界の注目を集め続けるにつれて、ロレックスにまつわる神話もまた大きくなっていく。それに伴い、このような時計はより興味深いものになる。ロレックスの時計は、たとえ一般に公開されることを意図していなかったとしても、ロレックスが重要な時計として作ったという理由だけで重要な時計なのだ。

HBOのヒットシリーズが今夜で終わる。スクリーンに映し出される時計の舞台裏を紹介しよう。

HBO(ホーム・ボックス・オフィス)の大ヒットシリーズ 、『メディア王 〜華麗なる一族〜(原題:Succession)』のパイロット版で、未来の義理の息子であるトム・ワムスガンズ(Tom Wambsgans)が家長のローガン・ロイ(Logan Roy)にパテック フィリップを贈るエピソードを放映して以来、時計がたびたび登場するようになった(“信じられないほど正確だ。それを見るたびに自分がどれだけお金持ちなのかがわかる”。ロイの作中での冗談)。それ以来、このドラマのファッションはそれ自体がトレンドとなり、“静かなラグジュアリー(quiet luxury)”や“知る人ぞ知る贅沢(stealth wealth)”といった、独特の目を引くフレーズを世間に浸透させた。メディア王 〜華麗なる一族〜の象徴的なルックスやファッションは、たとえ手首につけるものであったとしても、キャラクターが身につけるものひとつひとつに、多大な配慮と努力を注ぎ込むことで実現したのだ。

ダニーは番組のプロップマスターと協力して、各キャラクターの個性に関する数ページの資料を用意。そのうえで彼らの候補となるウォッチリストを提供した。
GQは、なぜ今シーズンでロレックスのモダンな“ペプシ”GMTマスターIIをいとこのグレッグ(Greg)の腕に装着したのか、経緯も含めてその全プロセスをダニーに尋ねた。

 「彼らは彼のためにロレックスを欲しがっていた」と、ミルトンはGQのカム・ウルフ(Cam Wolf)氏に語った。ドラマの視聴者は、グレッグがすでにロレックスのサブマリーナーを所有していて、ケンダル(Kendall)から腕時計をアップグレードするように圧力をかけられたあと、ディーラーに過剰に支払っていたことを知っている。「だから彼の性格が、現代のロレックスにはまっているような気がした」とミルトン。「私の頭のなかですぐにジュビリーブレスレットのペプシGMTが浮かんだだけだ」と続けて話す。またミルトンはセラミック製のデイトナも提案したが、ドラマチームはGMTがいいと即座に判断した。「それが彼の欲しいものだから、できるだけ早く送ってくれと言われたのを覚えている」(ミルトンは“ハリウッドはすべてが非常に流動的で、すべてが土壇場だ。だからそれは消防訓練のようなものなんだ”と付け加えた)。

もちろん、この番組は時計であふれている。広報でありおべっか使いのヒューゴ(Hugo)はパネライをつけているし、ローマン・ロイ(Roman Roy)はロレックスとIWCの時計を切り替えて使っている。またケンダル・ロイはシーズン4の半分以上でリシャール・ミルのRM67を着用し、そしてシヴ・ロイ(Shiv Roy)はカルティエをよくつけていたが、彼女の夫がサントスをオーデマ ピゲ ロイヤル オーク クロノグラフと交換するまでそれは共通の習慣だった。
ダニーはGQ誌の取材に応じ、またメディア王 〜華麗なる一族〜のために選んだほかの時計(広報のヒューゴのパネライや同僚のカロリーナのヴィンテージ ヴァシュロン・コンスタンタンなど)について、“The Hollywood Reporter”で詳しく語っている。また彼は、ここで取り上げた映画『Confess, Fletch』のために、ヴィンテージ ロレックス 1680 サブマリーナーを調達したことがすべての始まりだったことも話している。さらに『セックス・アンド・ザ・シティ』のリブート版である『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』のシーズン2のために、彼が調達に協力した腕時計をこっそり紹介したほか、映画に登場する彼のお気に入りの腕時計や、いくつかの正体不明な有名映画の腕時計についても話していた。
どの時計をキャラクターにつけるかを決めるのに、ダニーがどのようにドラマチームを助けたかについて、その舞台裏の全貌については、GQの“How Succession Sourced the Perfect Watches for Its Absurdly Rich Characters(サクセッションは、とてつもない金持ちの登場人物にぴったりの腕時計をいかにして調達したか)”と、そしてThe Hollywood Reporterの“Why Kendall Is Wearing a Flashy Richard Mille Watch and Cousin Greg Rocks a Rolex “Pepsi” GMT(ケンダルが派手なリシャール・ミルを、いとこのグレッグがロレックス “ペプシ” GMTを身につけている理由)”を見てほしい。

セイコー 1965 メカニカルダイバーズ復刻デザイン 限定モデル SBEN003が発売される。

デザイン、スタイル、そしてサイズ感までオリジナルのファーストダイバーを見事に再現。だが、セイコーのロゴはなぜアプライドではなくプリントなのだろうか…?

価格は46万2000円(税込)、限定数は世界限定1965本、うち500本は国内向けで、セイコーが展開する4つのグローバルブランドであるキングセイコー、プロスペックス、アストロン、プレザージュなどを取り揃えたセイコーウォッチサロン専用として8月11日(金)から発売開始予定だ。

1965年にセイコーは国産初のダイバーズウォッチ(6217-8000/8001)を発売した。この時計はファーストダイバー、あるいは150m防水を実現していたことから150mダイバーと呼ばれているほか、62MAS(1965年7月号のセイコーニュースレターのほか、当時のカタログのなかでセイコーマティック カレンダー ダイバーズ ウォッチ 62MASとして紹介されていたため)の名でも知られているが、今回発売となる本作ではファーストダイバーのデザインが高い精度で表現されている。
本作において注目すべきポイントは主にふたつある。ひとつは現在のダイバーズウォッチの品質基準に準拠している点だ。当時150mだった防水性能は200mの空気潜水用防水へとスペックアップ。風防の素材はアクリルガラスからボックス型のサファイアガラスへと変更され、現代の高級時計にふさわしい美観と耐久性を獲得した。そしてストラップは、発売当時のオリジナルモデルに装着されていたファブリック調のラバーストラップを強化シリコン素材で表現。当時の意匠を可能な限り再現している。

そしてもうひとつは、サイズも含めてファーストダイバーのデザインが再現されているところだ。搭載するムーブメントはダイバーズウォッチ用に新開発した高い耐衝撃性を備えるCal.6L37を採用する。最大に巻き上げた状態で約45時間のパワーリザーブを確保。平均日差+15秒~-10秒の精度を誇る。

このムーブメントはセイコーの現行ダイバーズウォッチ専用メカニカルキャリバーのなかでも最薄で、径が小さいため小ぶりだったファーストダイバーと同じ38mm径というケースサイズの実現に寄与した。加えてスクリューバックの裏蓋には防水時計の証として1965年当時のオリジナルモデルにも施されていたイルカモチーフをマーキング。さらに数量限定の証として0001~1965までのシリアルナンバーも表記される。

時計そのものはもちろんのこと、本作はパッケージにもこだわっており、1960年代に使われていたセイコーのダイバーズウォッチ用ボックスを再現したオリジナルボックスに収められている。

ファースト・インプレッション
“ファーストダイバーのデザインを再現した復刻モデルってこれで何度目?” そんな風に思った人は少なくないだろう。筆者がこの時計に最初に抱いた感想もそうだった。過去に幾度となくファーストダイバーにインスピレーションを得たモデルが発売されてきたが、実は2種類に大別できる。ひとつはオリジナルをほぼ忠実に再現した“復刻デザイン”、そしてモダンなアレンジを加えた“現代デザイン”だ。このふたつがラインナップに共存していることが、既視感を強く感じる要因になっているのだが、後者に比べると、前者にあたるモデルはそれほど多くはない。

最初の“復刻デザイン”となったのは2017年に2000本限定で発売されたSBDX019(正式名称はセイコー プロスペックス ダイバースキューバ ヒストリカルコレクション 国産ファーストダイバーズ 復刻デザイン。…かなり長い)だ。次いで登場したのは2020年に1100本限定で販売されたSBEX009と1700本限定のSBDX039(この時計はセイコー プロスペックス コアショップ限定で投入された)。そしてビームス限定300本のみ作られたSBDX041が登場したのも2020年。これらはセイコーのダイバーズウォッチ誕生から55周年を記念して作られたモデルだった。そして“復刻デザイン”として久々に登場したのが本作、SBEN003だ。

文字盤カラーやケース素材、搭載ムーブメントなど細かな違いは挙げればいくつもある(その詳細は過去に公開した記事ご覧いただきたい;SBEX009とSBDX041)が、過去の復刻デザインと本作の最大の違いはサイズだ。過去の復刻デザインモデルはいずれも39.9mm径だったが、SBEN003ではオリジナルにほぼ忠実な38mm径を実現している。

なお、ケース厚はそれぞれSBEX009が14.7mm、SBDX039とSBDX041が14.1mmであったのに対し、SBEN003は12.5mm厚となった。かつてのモデルもギリギリ40mmを切るサイズでダイバーズウォッチとしては比較的厚みも抑えられてはいたが、筆者のなかでは大きく分厚いという印象がどうしても拭えなかった。きっとオリジナルモデルのサイズ感を知る方ならこの気持ちを理解してくれるのではないだろうか? それが本作でようやく大きさも厚みもほぼオリジナルに近い数字になったのである。

人それぞれに意見や好みのポイントはあると思うが、筆者がファーストダイバーに感じていた最大の魅力はダイバーズウォッチでありながら小ぶりなサイズ感を備えていたところにある。数字を見る限り、SBEN003は現代のダイバーズウォッチに準拠したスペックでありながらヴィンテージウォッチのサイズ感でつけられそうだ。まだ実機を見たわけではないが、これは非常に期待が持てる。

ただ、筆者にとって残念なポイントがひとつある。セイコーのロゴだ。オリジナルのファーストダイバーはアプライド仕様なのだが、SBEN003ではプリントなのである。サイズやディテールなど、オリジナルに近しいスタイルを再現しているのに、なぜこのロゴは再現されなかったのだろう? セイコー創業140周年記念で販売されたキングセイコー“KSK”復刻デザイン 限定モデルなどでは、極めてオリジナルに近いカタチでセイコーのアプライドロゴが再現されているだけに、どうしてもこの点が引っかかってしまった。

この変更にはもしかしたら相応の理由があるのかも知れないし、時計全体のバランスを見た場合プリントのほうがいいと感じる可能性もゼロではない。とはいえ、正直なところ写真だけではわからないため、最終的な善し悪しや、本作の印象については実機を手に取ったうえで判断したいと思っている。

基本情報
ブランド: セイコー プロスペックス(Seiko Prospex)
モデル名: 1965 メカニカルダイバーズ復刻デザイン 限定モデル(1965 Mechanical Diver’s Re-creation Limited Edition)
型番: SBEN003

直径: 38mm
厚さ: 12.5mm
ケース素材: ステンレススティール(ダイヤシールド加工)
文字盤色: グレー
インデックス: エンボスバトン
夜光: ルミブライト(針・インデックス・ベゼル)
防水性能: 200m空気潜水用
ストラップ/ブレスレット: ブラック強化シリコンストラップ、SS製尾錠

ムーブメント情報
キャリバー: 6L37
機能: 時分表示、センターセコンド、3時位置に日付表示
パワーリザーブ: 約45時間
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻つき)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
追加情報: 日差+15秒~-10秒(気温5℃~35℃において腕につけた場合の精度)

価格 & 発売時期
価格: 46万2000円(税込)
発売時期: 8月11日(金)
限定: 世界限定1965本(うち国内は500本)

ホイヤー スキッパー Ref.7764の画像と情報をご紹介。

ホイヤーのスキッパーは常に我々の心をとらえて離さないが、先日タグ・ホイヤーが最新作を発表したことでさらに注目度が高まった。限定のカレラスキッパー For HODINKEEと同様、タグ・ホイヤーの最新スキッパーはカレラケースの“スキッパレラ”からヒントを得ている。スキッパーは間違いなくホイヤーの歴史のなかで最も認知度の高いモデルのひとつだが、その特徴はアクアブルーとオレンジのアクセントだけではない。

OnTheDash.comのジェフ・スタイン氏が執筆したRef.7754 スキッパレラの“In-Depth”記事のなかで、知識欲旺盛で親切な彼は初代スキッパーが誕生した時代について詳しく説明している。時は1960 年代。当時はレクリエーションドラッグとロックンロールの時代だった。カレラケースのスキッパーは、ひと目見ただけで明らかにこの時代のフィーリングを反映している。時計のデザイン、特にスイスの時計デザインがこのような文化的な潮流に屈することは非常にまれで、それがスキッパレラのユニークさの一因となっている。

自由な恋愛や鮮やかな色彩とともに、60年代のスイス時計産業にはより深刻な側面もあった。技術革新、生産技術の向上、そしてデザインによって初めてプロフェッショナルやレクリエーション目的の冒険家たちが手に取りやすい価格で耐久性に優れた腕時計を製造し、販売することが可能になったのだ。当時は“スポーツウォッチ”とは呼ばれていなかったが、1960年代にはダイビング用のサブマリーナ、ドライビング用のスピードマスター(当初は)、フライト用のGMTマスターなど、現在では特定の目的のためにデザインされたことがわかっている伝説的なモデルが誕生し、爆発的な人気を博した。1960年代に定着した世代のスポーツウォッチは、今日私たちが“日常的な”時計として考えるものの多くを形作っている。私はビッグブランドの名を挙げたが、アクアスター、ゾディアック、ニバダ・グレンヒェン、そしてもちろんホイヤーといったブランドに至るまで、このトレンドは時計界の隅々にまで浸透していた。
スキッパーの話に戻ると、ホイヤーの最初のふたつのモデルは製作された時代の自由な精神と本格的なスポーツウォッチのデザイントレンドの完璧な縮図となっている。どちらも1年間しか製造されなかったが、1968年のスキッパレラはレクリエーションドラッグの楽しさを、1969年の7764は真面目なスイスの実用性を表現している。ロレックスでいえば、エキゾチックな“ポール・ニューマン”のトリコロールダイヤルや、スキッパーと同じ数年だけ製造されたRef.6239のブラックダイヤルの優れた視認性と似ていなくもない。
ホイヤーが本格的にターゲットとする市場の一角を見つけた証拠として、初代スキッパーから我々の7764へのカラーパレットの変化を見る必要はないだろう。スキッパレラは1967年のアメリカズカップで優勝したチーム・イントレピッドからインスピレーションを得ているが、7764では赤、白、青という、より標準的なヨットクロノグラフの配色に戻されている。この単純化された配色はイエマやギャレットなど、当時のほかのヨットウォッチにも採用されている。スキッパレラはカレラに斬新で派手な文字盤を追加したもので、7764はホイヤーがこの新しい市場で勝負しようとした本格的な試みである。

端的に言うと、ホイヤーはこの時期、世界で最もスポーツに特化したツール志向のクロノグラフメーカーだった。スキッパーはそのヨットクロノグラフのオプションとして機能し、7764はスキッパレラの風変わりなフィーリングを受け継ぎながら、より本格的で堅牢な時計へと進化させた。アウターベゼルを備えた大型の40mmオータヴィアケースに変更したことで操作性が向上し、3時位置の特大レガッタレジスターにより文字盤の面積が広くなっただけでなく、ケース構造もカレラより優れていた。エルヴィン・ピケレス社(EPSA)が供給する7764のコンプレッサーケースは、スクリューバックケースのカレラよりも防水性が高い。コンプレッサーテクノロジーではケース外側の水圧が高まるにつれてガスケットがさらに圧縮される仕組みになっており、ケースは(水深が)深ければ深まるほど防水性が高まる。
スキッパレラも7764も、それぞれ約200の狭いケースシリアル番号の範囲に見られる。この範囲のすべてのケースがスキッパーであったかどうかはわからないが、おおよそホイヤーは最初のふたつのスキッパーを同程度生産していたようだ。しかし市場で知られているスキッパレラが1モデルであるのに対して、7764は2モデル存在する。その上、7764の文字盤コンディションは概してずっとよくなっている。私はこれはEPSAとコンプレッサーケースのおかげであると考えている。スキッパーの購入者が明確な選択をし、しばしばその時計が作られた目的のために使用されたことを考えると、これらの時計は水辺で頻繁に使用されていたはずだ。Ref.7764は船上での(過酷な)使用にも耐えた。この時計の文字盤はその好例で、夜光部分には自然に経年変化したパティーナが見られ、ほぼ完璧だ。

私も同じことをしているのは明らかだが、この最初のふたつのスキッパーを常に比較することは7764の人気とコレクション性を明らかに後退させている。このふたつのモデルは同時期に製造され、文字盤のモデル名も同じだが、1960年代の時計デザインにおけるふたつの異なるトレンドを反映したまったく異なる時計なのだ。つまりセカンドスキッパーは、スキッパレラのような10万ドル近い時計であるべきなのだろうか? いや、しかしもう1度見直して価値はある。

モンタ(Monta)がクラシカルなフィールドウォッチをアレンジしたモデルに発表。

2017年に発表されたトライアンフは、モンタ(Monta)がクラシカルなフィールドウォッチをアレンジしたモデルで、このたびミリタリーにインスパイアされたオリーブグリーンのダイヤルを採用した限定モデルを発表した。モンタのこだわりが詰まったスペック、人間工学、仕上げに裏打ちされた使い勝手のよさが魅力のこのミリタリーグリーンのモデルはこのシリーズの最後を飾るものであり、個性的なカラーリングと超(超)限定生産という今作の持ち味を最大限に主張している。

 現在のモンタ トライアンフは幅が38.5mm、ラグからラグまでの長さが47mm、厚さはわずか9.7mmのSS製フィールドウォッチである。フロントとケースバックにサファイアクリスタルを配し、150mの防水性能と時刻・日付表示を備えている。GMTを搭載した同社のアトラスが持つスポーティな要素と、ノーブルの素朴で実用的な要素を巧みに融合させたトライアンフは、機能、サイズ、スタイリング、そして価格においてミドルゾーンのまさに理想的なポジションにいる。
 モンタでは、ブラックダイヤルとシルバーグレーダイヤルの2種類のトライアンフも用意している。どちらにも赤い文字で“Triumph”のモデル名が入っているが、それ以外はミリタリーグリーンのトライアンフとメカニズム的には同様だ。この限定モデルの発表後、モンタはシルバーとブラックのモデルの再入荷はないと伝えており、ブラック、シルバー、そしてこの新しいグリーンのいずれが欲しいにせよ、トライアンフを手に入れるチャンスはブランドが次世代モデルを発表するまで(2年以内に登場すると発表している)はこれが最後となる。

 また、僕がトライアンフのミリタリーグリーンが超限定的だと述べたのは、モンタがこのバージョンを95本、2桁台までしか生産しないからだ。またモンタの黎明期を覚えている人は、これが最初のグリーントライアンフではないことを知っているだろう。同モデルでは2017年に、サンバーストグリーンのダイヤルバージョンが発表されている。
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 今作で、モンタはラッカー仕上げの温かみのあるオリーブグリーンを選択した。このカラーはかなりブラウンがかったイエローで、仕上げは完全なマット仕上げではなく、むしろ少しガラスっぽい(ラッカーの効果だ)。僕は、モンタがこの時計のためにほかの色を追加せず、ダイヤルデザインにホワイトメタルとホワイトペイントを選んだことは賢明だったと思う。

 12・3・9時の主要なインデックスには大型で光り輝くアプライドインデックスが採用されており、ホワイトメタルの縁取りで整然と囲まれた6時位置のデイト表示とマッチしている。大きめの針に対してインデックスは程よい重厚さがあり、視認性は抜群で、暗闇のなかで役立つ夜光塗料もしっかりと塗布されている。
 このトライアンフを身につけてしばらくすると、ケース、ブレスレット、ダイヤルの仕上げがだいぶ手の込んだものであるのに対し、ダイヤルの表示自体は画一的かつ機能的であることに気がづいてとても気に入った。フィールドウォッチという形式上、このようなレイヤリングはやや珍しく感じられるが、ヴィンテージのドレスウォッチに見られるような独特のミッドセンチュリー感がある。確かにスポーティだが、同時に少し洒落てもいる。



 その仕上げは、グリーンダイヤルとどのように調和するかという点を超えて注目に値する。モンタを実際に手にとって見たことがある人なら、いわゆるマイクロブランドの標準的な価格帯よりも高い金額を支払うことで、あらゆる面でデザイン的に考慮された時計が手に入ることを知っているはずだ。ベゼルの表面は放射状にサテン仕上げが、エッジ部分にはポリッシュ仕上げが施されている。同様にブレスレットは美しい(そしてフィールドウォッチにふさわしい)サテン仕上げだが、面取りされたエッジにはポリッシュがかけられている。ブレスレットがラグと接する部分をよく観察してみると、そこにもポリッシュが見られる。
 さらに12・3・9時のマーカーがダイヤルを囲む見返しに切り込まれているなどより細かい要素を加えると、ハミルトンのカーキ フィールド オート(デイト表示と38mm径ケースを備えているが厚さは11.5mm)のような既知モデルの2倍以上の価格を支払うのだとしても、フィールドウォッチとして期待されているよりもはるかに充実し、細部まで考え抜かれたどこかエレガントな仕上がりになっていると言える。

 トライアンフのケースの厚みについて話をするならば、薄いムーブメントなくして薄い時計は存在しない。今作ではムーブメントに、ETA2892のセリタ製クローンであるSW300にモンタ独自の装飾を施したCal.M-22を採用している。
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 幅広い価格帯の時計に自社製ムーブメントが採用され続けている一方で、Cal.SW300(コーアクシャル以前にオメガがCal.1120のベースとして使用していたCal.2892も同様)に僕が苦言を呈することはないだろう。Cal.SW300は、56時間のパワーリザーブにハック機能、手巻き機能を備えた2万8800振動/時で駆動するスイス製自動巻きムーブメントである。Cal.SW300の厚さはわずか3.6mmで、これによりトライアンフの厚さを10mm未満に抑えている。


 ケース、ムーブメント、ブレスレットなど総合的に見て、トライアンフは実に美しく腕になじむ。薄型でバランスがよく、太陽がポリッシュされたエッジを捉えたときにだけ光り輝く。ブレスレットは僕がこれまで体験してきたほかのモンタのものと同様、この価格帯で一般的に見られるものより優れているとともに、片側ねじ込み式のソリッドエンドリンクに加え、打ち抜きのSS製クラスプに工具不要の微調整機能を組み込むなど一線を画したものとなっている。
 ベゼルやプッシュボタンがないため、ブレスレットはトライアンフの主要なタッチポイントのひとつとなっている。これは、この時計をこの値段設定に見合うものとするための大きな心理的要素だ。さらにねじ込み式リューズは見事に仕上げられ、強度と使いやすさを兼ね備えている。フィット感、仕上げ、そして全般的な出来栄えにおいて、トライアンフに不満な点は見当たらない。そしてこのグリーンは、退屈に感じられるほど有能な時計に歓迎すべき個性を添えている(これはOP、アクアテラ、レンジャー、あるいは数多のグランドセイコーなど、フィールドに連なるあらゆる時計について僕が感じていることであり、モンタを非難しているわけではまったくない)。
 このグリーンのトライアンフと残り2本の兄弟モデルは、モンタから定価1700ドル(日本円で約24万5000円)で販売されている(グリーンは現在予約受付中で、今月からデリバリーが開始される)。このトライアンフは(わずかに違いはあるが)モンタのエントリーモデルであり、非常にオーソドックスな時計でありながら、マニアックなおもしろさを提供できるブランドの魅力を示す好例だと思う。

 確かにモンタというブランドを知らなかったり、あるいはハミルトンのように1000ドルほど安く買えるものとトライアンフを単純に比較するのであれば、1700ドルは難しい値段かもしれない。しかし、70ドル(日本円で約1万円)のSNK セイコー 5スポーツから3万9000ドル(日本円で約562万円)のパテック(そしてそれらの狭間にあるものすべて)に至るまで、さまざまな分野の時計に触れてきた僕の経験からすると、モンタはその価格帯に見合ったものであると感じる。
 その価格を踏まえれば、モンタのトライアンフはフィールドウォッチという比較的単純なコンセプトを並外れた仕上げに薄型で堅牢なムーブメント、優れたブレスレット、そして幅広い手首にフィットするプロポーションにより昇華したモデルと言える。グリーン、ブラック、シルバーのどれを選んでも、このクラシックなフィールドウォッチのフォルムを巧みに表現したモデルに間違いはないだろう。

ミリタリーテイストな手巻きアンティーク!】かつてチェコスロバキア軍に採用された軍用時計

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。

今回紹介するのは1940年代にエテルナが製造した手巻き腕時計、通称“ビッグクッション”だ。

エテルナと聞くと、一般的には認知度の低いブランドだが、アンティークウオッチ愛好家の間では、自動巻き腕時計のローター軸にいち早くボールベアリングを採用したメーカーとして知られている。そんな同社だが、第2次世界大戦中には各国の軍に軍用時計を納入しており、その堅牢さと高精度から、現在でも海外市場を中心に高い評価を受け続けている。

今回紹介する個体は、チェコスロバキア航空部隊用に採用されたモデルの民生品と思われるモデルであり、軍用モデルと共通する実用性の高さと意匠が魅力的なモデルだ。1940年代の時計としては非常に大きな38mmサイズのモデルであり、スクリューバックを採用したオールステンレススチール製の堅牢なケースが軍用時計らしさを感じさせる。

【写真の時計】エテルナ ビッグクッション。SS(38mmサイズ)。手巻き(Cal.852S)。1940年代製。49万5000円。

ケースは防水性や防塵性を意識した構造であり、高性能なムーヴメントを保護する目的があったと考えられる。もっとも、本個体を含め、当時の時計ではガスケットに鉛を使用していた場合が多いため、現状では水気や湿気を避けて使用しなければならない。

ムーヴメントには大口径の自社製ムーヴメントCal.852Sを搭載。懐中時計を思わせるブリッジや大径のテンプと香箱、丸穴車と各穴車を受け板で挟み込む構造など、精度と耐久性を両立させた、軍用時計にもふさわしいムーヴメントが採用されている。

スモールセコンドの設計をベースとしたムーヴメントであるため、3番車に出車を付けることでセンターセコンド化を実現している。秒カナにも受けを被せることで、安定した動力伝達を実現しようとしていたことがうかがえる設計だ。

深みのある黒文字盤には、シンプルなアラビアインデックスが採用されており、高い視認性を確保している。表面に劣化によるざらつきが見られるものの、各所のプリントはしっかりと残っており、年式の割には良好な状態を維持している。

クッション形のケースも、使用にともなう小キズやエッジのダレは見られるものの、割れや大きな打痕は見られない。

軍用時計ゆずりの実用に特化したスペックは、実用的なアンティークウオッチを求める愛好家必見の仕上がりだ。もちろん、アンティークウオッチをまだ買ったことがないという人にとっても、タフな軍用時計はおすすめの選択肢と言えるだろう。

 

レジェップ・レジェピ、クロノメーター アンチマグネティックを発表。

高い評価を受ける独立時計師が、今年のチャリティオークションに向けて、……そしておそらくその先に向けて、SSケースに鮮烈な新ムーブメントを搭載した。
クロノメーター アンチマグネティックはステンレススティール(SS)製で、アクリヴィア(Akrivia)が開発した手仕上げの新ムーブメントを搭載しており、ファラデーケージ(外部の電界を遮蔽する容器)で保護されている。ミッドセンチュリーに見られた耐磁時計へのオマージュでありながら、独立時計製造、とりわけレジェピの魅力である現代的なタッチをすべて備えている。

レジェピは1950年代に流行したサイエンティフィックな耐磁時計にインスピレーションを得た。例えば、ロレックスのミルガウス、IWCのインヂュニア、ジャガー・ルクルトのジオフィジック、パテック フィリップのRef.3417 アマグネティックなどである。科学者や探検家が新発見をするような場所(地球の極地や原子力発電所など)は磁場が強いことが多く、そのような磁場に影響されずに時を刻み続けるツールウォッチが必要とされたのだ。

ダイヤルは明らかに40年代と50年代にインスパイアされているが、その仕上がりはレジェピらしく現代的だ。
 

現在のほとんどの時計とは異なり、これらのムーブメントの素材は磁気を帯びやすかったため、磁場からムーブメントを保護するためにファラデーケージが使用されることが多かった。アクリヴィアは、ジュネーブの著名なケース職人であるジャン-ピエール・ハグマン(Jean-Pierre Hagmann)氏と再び協力し、本モデルでそれを再現したのだ。彼はパテックからブランパンまでありとあらゆるケースの製造に携わったたのち、2019年に引退を表明し、レジェップ・レジェピ クロノメーター コンテンポラン II(Chronomètre Contemporain II)のケース、そして言うまでもなくOnly Watch 2019版CCI(クロノメーター コンテンポラン I)のケースを製造した人物である。
 ハグマン氏には珍しくケースはSS製で、ムーブメントリング、ケースバック、そしてダイヤルプレートが一体となり、ムーブメントを磁気から守るファラデーケージを形成している。さらにうれしいことに、レジェップ・レジェピの時計がSS製ケースを採用するのは、2019年にかつてバーゼル・ワールドとして知られた展示会(安らかに眠れ)でレジェピ氏自身がCCIのSS製プロトタイプを着用しているのを目撃して以来である。

 外側のねじ込み式ケースバックを(ケースバックに刻印された稲妻がロックする特別なキーで)外すとサファイアケースバックが現れ、ムーブメントの仕上げを見ることができる。ケースには全部で30個のパーツが使用されており、ステップベゼルの採用や、ポリッシュとサテンが混在する仕上げなど、ハグマン氏のケースに期待されるディテールがふんだんに盛り込まれている。ラグのポリッシュ仕上げの面取りを見て、私は初めてエイミー・ワインハウス(Amy Winehouse)の曲を聴いたときのことを思い出した。繊細でオールドスクールなディテールが見事に表現されている。マルチステップベゼルもCCIIのすっきりとした外観と比べると際立って見えるが、写真よりも実物のほうがより繊細に見えるかもしれない。私が気に入っているディテールのひとつ、ラグ裏の“JHP”刻印にも最後に言及しておこう。
 レジェピはもっともエキサイティングな若手独立時計時計師のひとりだ。ゆえに、ムーブメントについても詳しく見てみたい。クロノメーター アンチマグネティックに搭載されたものは、単なるCCIやCCIIの耐磁仕様ではない。そう、アクリヴィアの工房はOnly Watch 2023のために新しいムーブメントを開発し、レジェピ作品の特徴である完璧なシンメトリーと仕上げを完成させたのだ。

外側のねじ込み式ケースバックをはずすと、サファイアケースバックが現れ、ムーブメントの仕上げを見ることができる。
 ムーブメントの中央にテンプがあり、センターセコンドの針を動かす輪列が収められている。また、CCIおよびIIと同じくゼロリセット機能を備えており、リューズを引き抜くと秒針はセンターセコンドを駆動する歯車の真上にあるハート型のカムによって、瞬時に12時位置に戻る(このメカニズムはクロノグラフのリセットとよく似ている)。しかし、クロノメーター アンチマグネティックでは、テンプの停止と秒針のリセットを1度に行う“オール・オア・ナッシング”システムを採用することで、アクリヴィアによるこれまでのリセット機構の改良を図った。リューズを引くとハンマーが作動し、ハート型のカムを押して秒針を12時位置にリセットするのだ。リューズを押し込むとクラッチレバーが戻り、再びテンプが動き始める。アクリヴィアによるとこのシステムによって、リューズを押し戻すと瞬時に秒針が動き出し、正確な時刻合わせと同期が可能になるのだという。
 ムーブメントの素材も注目に値する。レジェピでは初めてのことだが、一般的なムーブメントパーツである高炭素鋼の代わりに、すべての鋼鉄製パーツにSSを使用した。合金であるSSにはクロムが含まれるため、酸化や腐食に強くなっている。こうした特性は仕上げの難易度を高める要因にもなるが、アクリヴィアによれば、クロノメーター アンチマグネティックはほかのレジェップ・レジェピのムーブメントと同レベルに仕上げられているという。まだ実物は見ていないが、センターセコンドホイール用にブラックポリッシュが施されたブリッジはムーブメント全体に伸びており、私の琴線を刺激する。その一方で脱進機にはゴールドのアンクルが採用されている。これは確かに豪奢でもあるが、同時にパテックのようなブランドの初期のアマグネティックが、耐磁性を高めるために脱進機の部品の一部にゴールドを採用していたことを想起させる。
 さらにダイヤルは純銀製で、昔のサイエンティフィックなダイヤルにインスパイアされている。ダイヤルの製造工程でさえヴィンテージウォッチと同様だ。シルバーの下地にエングレービングを施し、ゴールドエナメルを塗ってオーブンで焼成することで色あせしにくいプリントが施されるのだ(これはパテックやほかの高級ブランドがかつて行っていたことであり、多くの硬質エナメルのパテック シグネチャーがダイヤルをクリーニングした後でもシャープに見えるのはこのためである)。最後に、3本の針は金無垢で仕上げられている。

ジュネーブ旧市街にある、レジェップ・レジェピのアトリエにて。Image, Janosch Abel, for Hodinkee Magazine, Vol. 10
ダイヤルのデザインとその完成度はレジェピのすべてを見事に表現しており、同ブランドがおそらくもっとも勢いのあるスイスの新鋭独立時計師であることを物語っている。古いサイエンティフィックな ダイヤルやセクターダイヤルからインスピレーションを得つつも、決してオマージュやコピーには感じられない。極めて現代的なのだ。ダイヤルのエングレービングやエナメル加工など伝統的な時計製造技術を用いながらも、それはすべてコンテンポラリーな感覚を生み出すためのものとなっている。
 仮にパテック フィリップがコレクション性の高いアマグネティック Ref. 3417の現代版を作るとしたら、こんな感じだろう。事実、この相似はかなり根深いものだ。エナメルダイヤルのCCIIはパテック Ref.2526の現代版のようであり、もっとも美しくエレガントな3針時計であることだけを追求したタイムオンリーウォッチだと言える。一方のクロノメーター アンチマグネティックは、より実用的でありながら科学に傾倒した、ちょっと変わった時計だ。昔のサイエンスウォッチのような機能的な役割は果たさないが、クロノメーター アンチマグネティックからはそうした時計が備えていた魅力が今なお感じられる。しかしながら、伝統的な時計作りを現代風にアレンジしたレジェップ・レジェピの時計は独自の価値も有している。

レジェップ・レジェピのCC1とRRCCIIに、スポーティでカジュアルなクロノメーター アンチマグネティックという兄弟機が生まれた。
 多くの小さなウォッチメーカーが、ヴィンテージのパテック フィリップや特に希少なSS製の時計にオマージュを捧げて話題を集めるのは、今やちょっとした成功への近道となっている。レジェピは同じ時代から、しかし決して陳腐には感じさせない方法でインスピレーションを得ることに成功している。
 クロノメーター アンチマグネティックは貴金属製のCCII(納品が始まったばかり)に続くモデルとしてふさわしいものであり、Only Watch 2019のプラチナ製CCIや2021年からのCCIIと同じように、異色かつ格別なものである。これらの時計と並んで、レジェピと成長を続けるアクリヴィア工房の次なる展開を感じさせる。

レジェップ・レジェピのシンプルな3針モデルがSS製ケースになったって? そう、私たちはこの時計に一定の需要があるかもしれないと考えている。
 “マーケット”について簡単に説明しよう。Only Watchはクロノメーター アンチマグネティックに10万~15万スイスフラン(日本円で約1660万~2490万円)の査定額をつけている。2021年、レジェピがOnly Watchのために製作したプラチナ製CCIIは80万スイスフラン(日本円で約1億3255万円)で落札された。今年5月にはフィリップスで初めて一般販売されたCC1に92万4000ドル(日本円で約1億3545万円)という高値がつき、先週はアクリヴィアのAK-06が54万9700ドル(日本円で約8060万円)で落札されたばかりだが、個人間でもっと高額で取引されていただけにこの結果に落胆した人もいたようだ(比較的マイナーなオークションハウスでの落札)。つまりこう言いたいのだ。クロノメーター アンチマグネティックが11月にジュネーブで開催されるオークションに出品された際、どれほどの高値がつくかわからない。また、この時計がいつ量産されるのか、あるいはされる予定なのかについては不明だが、レジェピの過去の実績から考えるに近しいモデルがすぐに製品化され、まあ、いつかは納品されると考えて間違いないだろう。
レジェップ・レジェピ クロノメーター アンチマグネティック for Only Watch。サイズは直径38mmで厚み9.9mm(ラグからラグまでは48mm)、ラグ幅は20mm。SSケースはジャン-ピエール・ハグマン製で、ムーブメントリング、ケースバック、ダイヤルプレートは、ムーブメントを磁気から保護するファラデーケージを形成している。サファイアケースバックとねじ込み式のアウターケースバックがあり、特別にデザインされた鍵を使って取り外すことができる。

手巻きムーブメントはゼロリセットセコンド機能を搭載。ムーブメントにはゴールドのホイールとアンクル、ブレゲヒゲゼンマイ、ジャーマンシルバーのブリッジとプレートを含む239個のパーツが使用されている。シングルバレルで72時間パワーリザーブ。すべての部品は手作業で仕上げられており、アングラージュ(面取り)にブラックポリッシュ、コート・ド・ジュネーブ、手作業による面取りが施された歯車とスポークなど、さまざまな仕上げが施されている。ダイヤルは純銀、針は金無垢。レザーストラップ付き。

ウブロ×アーシャム 99本限定コラボモデルを発表した。

スイスの高級腕時計ブランド“HUBLOT(ウブロ)”が、現代アーティストのダニエル・アーシャム氏とのコラボレーションモデル”MP-17 メカ-10 アーシャム スプラッシュ チタニウム サファイア”を発表した。

HUBLOT(ウブロ)
MP-17 メカ-10 アーシャム スプラッシュ チタニウム サファイア
ウブロの“アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)”と、アーシャムのユニークな架空の考古学的ビジョンが完璧に融合したタイムピース。

アーシャム氏がウブロのために初めてデザインした腕時計で、最も特徴的なのは、フロスト加工を施したサファイアクリスタル製のベゼルと文字盤上の印象的なスプラッシュ(水しぶき)型の開口部だ。

これは24年に発表された、“MP-16 アーシャム ドロップレット(水滴)”のインスピレーションから進化したもので、水の持つ透明感と流動的なフォルムから着想を得て生み出された。

ケースは42mmで、素材にはサファイアクリスタル(フロスト加工されたボックス型のベゼルに使用)とチタニウムを採用。異なる素材を組み合わせたケースはウブロが掲げる“アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)”の本質を裏付けたものだ。

ベゼルとケースバックにある六つのH型ビス、3時と9時の独特なラグ、チタニウム製のH型フォールディングクラスプなど、ウブロの特徴的な要素が存在しており、流れる水からインスピレーションを得たサファイアクリスタルの有機的な形状が目を引きつける。

インデックスや9時位置のスモールセコンド、3時位置のパワーリザーブインジケーターの各針には、鮮やかなアーシャムグリーンの蓄光塗料が塗布され、デザイン的なアクセントと実用性を両立させている。

ムーヴメントはスケルトン仕様の手巻きキャリバー“メカ-10”を小型化した自社製の新開発キャリバー”HUB1205”を搭載。二つの香箱を備えることで約10日間のパワーリザーブを備え、シースルーバックから水平にブリッジを配置したモダンかつメカニカルなムーヴメントの駆動を鑑賞できる。

なお、販売価格は904万2000円で、世界限定99本のみの希少モデルだ。

150万円の腕時計の魅力。

150万円という予算での腕時計選びは、多くの人にとって人生の節目となる重要な買い物です。一流ブランドの代表的なモデルから選択でき、長年愛用できる高品質な時計が手に入ります。

しかし、選択肢が豊富だからこそ「どのブランドがよいのか」「新品と中古のどちらを選ぶべきか」「本当に満足できる1本はどれか」といった悩みも生まれるでしょう。

この記事では、150万円前後で手に入る厳選されたおすすめモデルから、新品・中古の選び方まで、腕時計選びに必要な情報を詳しく解説します。自分にとって最適な1本を見つけるためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。

一般的な腕時計が数万円から数十万円である中、150万円は確実に高級時計の領域に入りながらも、最高級ブランドの数千万円という価格からすると手の届く範囲といえるでしょう。

150万円という価格帯では、ロレックスやウブロ、ブランパンといった世界的に認知された一流ブランドの代表的なモデルが選択肢に入ります。これらのブランドは長い歴史と確かな技術力を持ち、時計好きからの信頼も厚く、社会的なステータスシンボルとしても十分な存在感を発揮します。

また、精密な機械式ムーブメントや耐久性に優れた素材、洗練されたデザインなど、職人技が込められた工芸品としての側面が強く、所有する喜びや満足感は格別です。さらに、人気モデルであれば資産価値としての側面も期待でき、将来的なリセールバリューも考慮できる点は大きな魅力といえます。

この記事では、腕時計のレンタルサービス「カリトケ」で展開されている腕時計の中で、150万円で入手できるモデルを紹介していきます。実際に市場で流通しており、購入可能なモデルばかりなので、より実用的な情報としてお役立ていただけるでしょう。

150万円で買えるおすすめの腕時計
150万円前後の予算で手に入る腕時計は、どれも一流ブランドの技術力と美学が結集された逸品ばかりです。ここでは、信頼性と人気を兼ね備えた代表的なモデルを厳選して紹介します。どのモデルも150万円という投資に見合う価値と満足感を提供してくれるでしょう。

ロレックス GMTマスター(16700)

ロレックスのGMTマスター(16700)は、文字盤をブラックで統一したシックな外観が印象的なモデルです。このカラーリングは、ビジネスシーンからカジュアルな場面まで、あらゆるシチュエーションに自然に溶け込み、着用シーンを選びません。まさに日常使いから特別な場面まで活躍してくれる汎用性の高さが魅力です。

最大の特徴は、3つの異なる時間帯を同時に把握できるGMT機能です。国際的なビジネスに携わる人や海外出張の多い人にとって、実用性の面で大きなメリットとなります。また、耐磁性に優れたゼンマイが使用されており、現代生活で避けて通れない電子機器の影響を受けにくい設計となっています。

GMTマスター(16700)は、ロレックスの中でも特に実用性を重視したモデルとして知られ、堅牢性と精度の高さで多くのユーザーから支持されています。150万円という予算で手に入るロレックスとして、コストパフォーマンスの面でも優秀な選択肢といえるでしょう。

ロレックス GMTマスター(16700)の商品詳細

ロレックス サブマリーナ デイト(16610)

ロレックスのサブマリーナ デイト(16610)は、ダイバーズウォッチの歴史において語り継がれる名作です。ダイバーズウォッチの原点として位置づけられるサブマリーナは、今なお圧倒的な人気を誇っています。防水性能はもちろん、視認性の高い文字盤デザインや確実な操作感のベゼルなど、実用性を追求した設計が随所に見られます。

サブマリーナ デイト(16610)は、伝統を受け継ぎながら現代的な機能性を備えた完成度の高いモデルです。カジュアルなTシャツスタイルから、ビジネススーツまで幅広いコーディネートにマッチし、TPOを問わず着用できます。ロレックスの代表モデルとして、認知度も非常に高く、150万円の投資に見合う満足感を得られるでしょう。

ロレックス サブマリーナ デイト(16610)の商品詳細

ロレックス ミルガウス(116400GV)

ミルガウス(116400GV)は、ロレックスのスポーツウォッチコレクションの中でも特に個性的な存在です。最大の特徴は、ミルガウス専用に開発されたムーブメントを使用することで実現した、極めて高い耐磁性能にあります。現代社会では、スマートフォンやPCなど、磁気を発する機器に囲まれて生活しているため、この耐磁性能は非常に実用的な機能といえます。

デザイン面では、オレンジ色の稲妻をモチーフにした秒針が印象的で、これはミルガウスならではの独特な特徴です。この遊び心のあるデザイン要素が、他のロレックスモデルとは一線を画した個性を演出しています。文字盤のレイアウトも他のスポーツモデルとは異なる独自性があり、人とは違った時計を求める人には特に魅力的でしょう。

ロレックス ミルガウス(116400GV)の商品詳細

ウブロ ビッグバン ウニコ チタニウム(441.NX.1170.RX)

ビッグバン ウニコ チタニウム(441.NX.1170.RX)は、ウブロが4年の歳月をかけて開発した自社製ムーブメント「ウニコ」を搭載した技術的な傑作です。ウブロの時計製造技術の粋を集め、高精度なクロノグラフ機能を提供します。機械式時計の醍醐味ともいえる複雑機構を、現代的なアプローチで実現した注目のモデルです。

最も印象的なのは、スケルトンの文字盤から高級クロノグラフムーブメントの動きを贅沢に眺められることです。歯車やローターの精密な動きを肉眼で確認できる体験は、機械式時計ならではの魅力です。

チタニウム素材を使用したケースは、軽量でありながら高い強度を持ち、日常使いでも疲れにくい装着感を実現しています。ウブロ独特のモダンで力強いデザインは、従来の時計の概念を覆すインパクトがあり、個性的なスタイルを好む人には特に響くでしょう。

ウブロ ビッグバン ウニコ チタニウム(441.NX.1170.RX)の商品詳細

ウブロ ビッグバン メカ10(414.NI.1123.RX)

ウブロのビッグバン メカ10(414.NI.1123.RX)は、約10日間という驚異的なパワーリザーブを誇る手巻きムーブメントを搭載した技術的な挑戦作です。一般的な機械式時計のパワーリザーブが40時間程度であることを考えると、この10日間という持続時間は革新的といえます。

パワーリザーブの残量表示も巧妙に設計されており、通常時は6時位置で確認でき、残り3日になると3時位置に赤く表示される仕組みになっています。これにより、ゼンマイの巻き上げタイミングを適切に把握できます。機能美と実用性を兼ね備えた、ウブロらしい革新的なアプローチが光る設計です。

手巻きムーブメントは、毎日のゼンマイ巻き上げ作業を通じて時計との特別なつながりを感じられるのも魅力の1つです。機械式時計の伝統的な楽しみ方を現代的にアップデートした特別なモデルといえます。

ウブロ ビッグバン メカ10(414.NI.1123.RX)の商品詳細

ジラール・ぺルゴ ロレアート クロノグラフ 42mm(81020)

ジラール・ぺルゴのロレアート クロノグラフ 42mm(81020)は、ラグジュアリースポーツウォッチの美学を体現したモデルです。スポーツウォッチの機能性とエレガントな装いを見事に融合させており、まさにスポーツエレガンスという言葉がぴったりの時計といえます。

最大の魅力は、その汎用性の高さにあります。休日のカジュアルなTシャツスタイルから、平日のビジネススーツまで、どのような装いにも自然にマッチします。42mmのケースサイズも、存在感と着用感のバランスが絶妙です。

ジラール・ぺルゴは1791年創業の老舗ブランドであり、その歴史と伝統に裏打ちされた時計製造技術は高く評価されています。ロレアート クロノグラフ 42mm(81020)は、そうした伝統的な技術を現代的なデザインで表現した傑作といえるでしょう。

ジラール・ぺルゴ ロレアート クロノグラフ 42mm(81020)の商品詳細

ショパール アルパインイーグル ラージ(298600-3002)

ショパールのアルパインイーグル ラージ(298600-3002)は、アルプス地方の豊かな自然とそこに生息するワシ(イーグル)をモチーフにした、自然からインスピレーションを得たユニークなラグジュアリースポーツウォッチです。

文字盤の独特なざらついた質感は、ワシの虹彩を表現したもので、光の当たり方によって異なる表情を見せます。また、針のデザインはワシの羽毛を連想させる繊細で上品な仕上がりとなっており、細部まで徹底されたテーマ性が印象的です。このような自然をモチーフにしたデザインは、他のブランドでは見られない独創性があります。

ベルトとケースには、ショパールが4年の歳月をかけて独自開発した「ルーセントスティール」という革新的な素材が使用されています。この素材は従来のステンレススチールよりも金属アレルギーが出にくい特性を持ち、敏感肌の方でも安心して着用できます。

ショパール アルパインイーグル ラージ(298600-3002)の商品詳細

ブランパン フィフティファゾムス(5015)

ブランパンのフィフティファゾムス(5015)は、ダイバーズウォッチの先駆けとして時計史に名を刻む伝説的なモデルです。1953年に誕生したオリジナルモデルは、現代のダイバーズウォッチの原型となっており、この5015はその高貴な血統を受け継いだ現代版といえます。

設計の核心にあるのは、極限の環境にも対応する高い防水性能と視認性です。深海での使用を想定した堅牢な作りながら、日常生活でも違和感なく着用できるラグジュアリーな仕上がりを実現しています。

文字盤デザインは、視認性を最優先に設計されており、どのような環境下でも時刻を正確に読み取れます。しかし、機能性重視のデザインが逆に洗練された美しさを生み出しており、腕時計の本質的な魅力を感じさせます。

ブランパン フィフティファゾムス(5015)の商品詳細

ハリー・ウィンストン オーシャン トリレトロ ザリウム(400-MCRA44ZK)

ハリー・ウィンストンのオーシャン トリレトロ ザリウム(400-MCRA44ZK)は、3時、6時、9時位置にレトログラード機能を搭載した技術的に非常に珍しいモデルです。

レトログラードとはフランス語で「逆行」を意味し、通常の時計回りの動きとは異なり、反時計回りに動作する複雑機構です。指針が始点から終点に達すると瞬時に始点へ戻り、再び反復運動を行います。

ケース素材には、チタンよりも硬く丈夫なザリウムという特殊合金が使用されています。航空宇宙産業でも使用される高性能金属で、日常の使用における傷つきにくさと軽量性を両立しています。

デザイン面では、ベルトやケースのマットでスポーティーな質感と、文字盤から漂う高級感の絶妙な組み合わせが印象的です。この相反する要素の調和が、ハリー・ウィンストンらしい洗練されたセンスを感じさせます。

ハリー・ウィンストン オーシャン トリレトロ ザリウム(400-MCRA44ZK)の商品詳細

150万円の腕時計は新品と中古だとどちらがお得?

150万円という予算で腕時計を選ぶ際、新品購入か中古購入かという選択は重要な判断ポイントです。それぞれに明確なメリットとデメリットがあり、個人の価値観や購入目的によって最適な選択肢は変わります。両方の特徴を理解して、自分に合った選択をすることが大切です。

新品で買う場合
新品購入の最大のメリットは、メーカー保証による安心感です。正規代理店から購入すれば、通常2年から5年の保証が付帯し、初期不良や製造上の問題があった場合も無償で対応してもらえます。

また、最新モデルを所有できる喜びも新品ならではの特権です。最新の技術革新やデザインアップデートが反映されたモデルを、誰も使用していない状態で手に入れられます。箱や保証書、付属品もすべて揃った状態で購入できるため、将来的な売却時にも有利に働きます。

一方で、新品購入のデメリットは価格の高さです。150万円の予算では、選択できるモデルやブランドが限定される可能性があります。また、人気モデルの場合は入手までに時間がかかることもあり、すぐに欲しい時計が手に入らない場合もあります。さらに、購入直後から中古品としての価値になるため、資産価値の観点では初期の目減りは避けられません。

中古で買う場合
中古購入の大きなメリットは、同じ予算でより上位のモデルや憧れのブランドが手に入る可能性があることです。新品では手が届かない200万円クラスのモデルが、状態のよい中古であれば150万円で購入できる場合もあります。これにより、本来の予算を超えたグレードの時計を所有できる魅力があります。

また、すでに市場価格が安定している中古品は、購入後の価値下落リスクが新品に比べて小さいのも特徴です。人気モデルであれば、購入価格とほぼ同等か、場合によってはそれ以上の価格で売却できる可能性もあり、資産価値の観点では有利な場合があります。

しかし、中古購入には注意すべき点もあります。保証期間の短縮や保証なしの商品も多く、購入後のトラブルリスクは新品より高くなります。また、前の所有者の使用状況によっては、見た目では分からない内部の劣化や調整の必要性がある場合もあります。信頼できる販売店選びと、購入前の入念な状態確認が重要になるでしょう。

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