【軍配はこっちだ】パネライ「ルミノール クロノ フライバック」PAM01296 評価|正統派“軍绿”が極める男のハードコア美学
- 2025/12/27 14:59
パネライ(Panerai)というブランドは、今も昔も変わらず「ハードコア」そのものです。
19世紀のフィレンツェ創業、イタリア王立海軍の精密機器供給という出自を持つ同ブランドは、「ラジオミール」と「ルミノール」という2大シリーズを通じて、時計史にその名を刻んできました。
今回注目するのは、そんなルミノールのエッセンスを余すところなく体現した「PAM01296」。軍事的血統を感じさせる「ヴェルデ ミリターレ(軍绿色)」と、プロフェッショナルな「フライバック計時」機能が融合した、まさに「王道」の一本です。
コンセプト:軍表の伝統と現代技術の融合
このモデルの名前「ルミノール(Luminor)」は、もともと夜光素材の名称に由来します。
1940年代末、高放射性のラジオミール配合からより安全なトリチウム系夜光素材へと変更され、1950年に正式に誕生したのがこのシリーズです。
そして現在のルミノールの象徴である「枕型ケース(クッションケース)」、「一体式ラグ」、そして何より「表冠ガード(保護橋)」。
PAM01296は、これらの伝統的ディテールを忠実に受け継ぎつつ、現代の実用性を備えた「44mm」サイズで現代に蘇らせたモデルです。
核心:フライバック機能がもたらす“プロフェッショナル感”
ただのクロノグラフではなく、パネライが得意とする「フライバック(Flyback)」機能を搭載している点が、この時計の最大の見どころです。
通常のクロノグラフ: 計測終了 → 停止 → リセット → 再スタート(3ステップ)
フライバック機能: 計測終了 → リセット&再スタート(1ステップ)
この機能は、航空機や船舶の精密なナビゲーションに必須の技術。8時位置のボタンを押すだけで、計時針が一瞬でゼロ位置に戻り、すぐに次の計測を開始できます。
この「効率性」こそが、パネライが求める「プロフェッショナル・ツールウォッチ」たる所以なのです。
視覚:軍綠(ミリターレ)とオレンジアクセントの絶妙なバランス
文字盤は、ブランドの軍事的ルーツを象徴する「ヴェルデ ミリターレ(Verde Militare)」。
この軍绿色は、単なる塗装ではなく、パネライの特徴である「サンドイッチ構造(三明治構造)」を採用。上層プレートに穴を開け、下層にSuper-LumiNova™を充填することで、文字と背景に立体感を生み出しています。
また、外周には「ナビゲーション測速計」が配され、船舶の速度を測定できるようになっています。
そして、この文字盤の見事なのが「カラーバランス」。
オレンジ色の指針: 中央に配置された計時秒針(先端のみオレンジ)と計時分針(全体オレンジ)。このポップな色使いが、重厚な軍绿色の文字盤を「古くさく」ならず、「カジュアルでスポーティー」な印象に仕上げています。
レイアウト: 3時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンドを配置。左右対称のデザインは、視認性の高さだけでなく、美意識をもくすぐります。
装着感:エレガントな一面も備えた“ハードマン”
素材は、AISI 316Lポリッシュステンレス。ケースやベゼルは鏡面仕上げが施されており、光を受けてキラキラと輝くその姿は、単なるタフネスウォッチではなく「ドレスウォッチとしての品格」も併せ持っています。
標準装着の「軍绿色アリゲーター(クロコダイル)ストラップ」も見逃せません。同色のステッチが施されたこのベルトは、ハードなイメージのルミノールに、意外な「上品さ」と「柔らかさ」をもたらしてくれます。
中身:自社製P.9100ムーブメント
裏蓋は、軍表らしい伝統を守る「シールド(密底)」仕様。
その下には、パネライ自社開発の「Cal. P.9100」自動巻きムーブメントが搭載されています。
構造: 導柱輪(カンバロック)と垂直クラッチ方式を採用。これは、高級スポーツクロノグラフに求められる構造で、「チカつきのないシャープなスタート」と「耐久性」を両立しています。
動力: 2つの主ぜんまい桶を備え、72時間(3日間)のパワーリザーブを発揮。週末を挟んでも安心です。
耐環境性: Glucydur®合金摆轮とIncabloc®防震装置を内蔵。実用防水性能は100mと、普段使いからスイミングまで幅広く対応します。
総括:なぜPAM01296が「王道」なのか?
表格
特徴
詳細
ケース径
44mm(枕型ケース)
文字盤
軍绿色(サンドイッチ構造)
機能
フライバック計時、測速計
ムーブメント
自社製 Cal. P.9100(72時間駆動)
防水
100m
限定性
オンライン精品店限定(世界110本)
「PAM01296」は、パネライが持つ「軍用工具」と「トuscanyの優雅さ」という、一見相反する2つの顔を、見事に融合させたモデルです。
フライバック機能という技術的裏付けと、軍绿色という情緒的なカラーリング。
2025年現在のスポーツウォッチ市場においても、これほどまでに「存在感」を放つ時計は、そうそうありません。




