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ベルネロンやダニエル・ロート、レジェピといった小規模ブランドからの新作が、

この若い時計師たちはSJX Watchesを運営するスー・ジャーシャン(JX Su)氏と同席し、彼らが初めて手がけたインディペンデントウォッチ、アインザー(Einser)を見せるために私を呼んだのだ。彼らはA.ランゲ&ゾーネでキャリアをスタートさせその後独立したが、その背景の一部にはグラスヒュッテが独立系ウォッチメイキングの拠点となりうることを証明したいためでもある。
 アインザーを発表したあと、カリニッヒ・クレエは瞬く間に30本すべてを売り切った。まだあまり知られていない時計師としては見事な成果である。Geneva Watch Daysでは新作の発表はそれほど多くはなかったが、カリニッヒ・クレエはダニエル・ロートやベルネロンなどEditors' Picksで取り上げたブランドと並んで、私が印象に残った存在のひとつだった。今後数週間でさらに多くの記事を掲載する予定だ。

若き時計師カリニッヒ氏とクレエ氏による見事な仕事ぶりは目を見張るものがある。彼らはほぼすべての部品を自分たちで製造しており、とりわけムーブメントの設計が印象的だ。伝統的な4分の3プレートを採用しているが、ムーブメントの最も興味深い特徴が見えるように露出している。たとえばテンプ受けには、ランゲの元マスターエングレーバーによってエラのような模様が刻まれており、さらにヒゲゼンマイと連動するレギュレーターがテンプ受けのシェイプに沿って配置され、スワンネックに似た機能を果たしている(下図参照)。

 その一方で、スイスの時計業界は多くの報道によると苦境に立たされている。Geneva Watch Daysのあと、ブルームバーグのアンディ・ホフマン(Andy Hoffman)氏は、“スイスの高級時計メーカーは、需要減退に対応するため政府に財政支援を求めている”と書いている。ブルームバーグによると、ジラール・ペルゴとユリス・ナルダンを所有するソーウィンドグループは、従業員の約15%を短時間労働や一時帰休にするため、この国のプログラムを利用していることを初めて明らかにしたブランドである。このプログラムでは企業が一時的にシフトを削減するあいだ、政府が一時帰休中の労働者の給与の一部を負担する。最近の報道によれば、時計部品サプライヤーが多く集まるジュラ地方では、この夏に約40社がこのプログラムに申請しているという。
 カルティエ、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタンなどのブランドを傘下に持つリシュモンのトップでさえ、自社ブランドが生産を抑制し、“ただ単に量を追求するのではなく、慎重になるべきだ”と述べている。 
 これらふたつの対照的な話を、ひとつのすっきりした物語にまとめるのは難しいかもしれない。一方でまだあまり知られていないドイツの時計師ふたりでは処理しきれないほどの需要があり、また彼らのような状況にあるブランドはほかにも存在する。他方では、何世紀もの歴史を持つGPやUNといったブランドが、工場をフル稼働させるほどの需要を確保できていない。この“対照的な話”の一部こそが、どんな業界でも健全さを保つ要因である。好みは変化し、古いブランドは遅れをとったり適応できなかったりする一方で、新しいブランドがその穴を埋めるのだ。結局のところ、先に挙げた小規模なブランドの新作に熱狂し、ジラール・ペルゴのラ・エスメラルダ トゥールビヨン “シークレット” エタニティ エディション(税込6295万3000円、世界限定18本)についてはほとんど触れないのには理由があるのだ(私たちはこのモデルのターゲット層ではない)。
 中国経済の減速がこの停滞の主要な原因として挙げられている。確かに、時計業界は経済的不確実性の犠牲となっているが、Geneva Watch Daysのような時計展示会は、政治集会や高校の壮行会のようなものであり、意図的に興奮を煽り、実際の時計に焦点を当てるために設計されている。
 新作の発表はそれほど多くはなかったものの、それぞれ秋の新作発表やオークションなどに向けて準備を進めるなか、業界を盛り上げるには十分な内容だった。ここでは私がジュネーブで目にしたハイライトをいくつか紹介する。これらについては、今後数週間でさらに詳しく取り上げる予定だ。
全体のムード

新設されたオルタナティブ・オロロジカル・アライアンス(Alternative Horological Alliance)のタンタル製ブレスレット。
 ほかの展示イベントに比べて、Geneva Watch Daysは緩やかで分散型の雰囲気を持っており、とくに小規模のインディペンデントブランドに焦点が当てられている(パテック、ロレックス、リシュモンなどは不参加)。実際、この独立系の精神こそが、業界全体に最も大きな活気をもたらしているのだ。
 それを最も象徴していたのは、新作発表ではなく、私が週の始めに参加したオルタナティブ・オロロジカル・アライアンスの発表だったかもしれない。これは、ミン、フレミング、J.N.シャピロが共同で立ち上げた取り組みであり、インディペンデントウォッチメイキングを“既存の枠を超えた新しい基準”に向けて推進することを目的としている。マークの説明によれば、この取り組みでは資源を共有し、伝統的な時計製造のサプライチェーンの一部を再考することも含まれている。このアライアンスの発表とともに、ミンがデザインし、シャピロが製造した印象的な新作のタンタル製ブレスレットも披露された。
 彼らの製品は常に独立性の価値を示しているが、長期的に持続可能な独立系ブランドを築くことは難しい。AHAのような取り組みが、その助けとなることを願っている。
オークション

11月に開催されるサザビーズの“トレジャー・オブ・タイム”オークションの注目ハイライト。ブレゲ数字を採用したRef.1563が目玉となっている。
 現行品の市場と同様に、オークションやセカンダリーマーケットも減速している。これは時計に限った話ではなく、サザビーズは最近、上半期の収益が大幅に減少したと報告した。大手オークションハウスは秋のシーズンが好調になることを期待しており、すでに11月のセールプレビューを行っている。
 まず最初にプレビューしたのは、サザビーズのシングルオーナーによる“トレジャー・オブ・タイム”オークションだ。11月に行われる同オークションは、パテック フィリップを中心に30本の時計が出品される。目玉はRef.1563のスプリットセコンドクロノグラフだ。現存するものはわずか3本しか確認されておらず、そのうちの1本は有名なジャズミュージシャン、デューク・エリントン(Duke Ellington)が所有していたもので、現在はパテック フィリップ ミュージアムに収蔵されている。1563はイエローゴールドケースと“タスティ・トンディ”と呼ばれるRef.1463と同じプッシャーが特徴だが、このモデルを際立たせているのはブレゲ数字である(ちなみにエリントンのモデルにはこのブレゲ数字はなかった)。このコレクターはブレゲ数字に強いこだわりを持っていたようで、Ref.130 クロノグラフや、ブラックダイヤルの2499、さらにはRef.1436のスプリットセコンドクロノグラフにもそれが見られる(しかもハードエナメルで!)。Ref.1563のスプリットセコンドクロノグラフは、推定落札価格が100万スイスフラン〜300万スイスフラン(日本円で約1億6640万~4憶9900万円)とされており、2013年に記録した150万スイスフラン(当時の相場で約1億5800万円)を超えるかどうかが注目される。近日中に詳しいプレビューをお届けする予定だ。なおサザビーズ“トレジャー・オブ・タイム”の全カタログはこちら。

ジュルヌが製作した2本目の腕時計であり、初めて販売されたトゥールビヨン・スヴラン。11月に開催されるフィリップスのリローデッド(Reloaded)オークションに出品予定だ。
 一方、フィリップスはリローデッドオークションのプレビューを行った。同オークションは1980年から1999年の時計を中心に取り扱っており、フィリップスはこの時代を“機械式時計製造の再興”と呼んでいる。ブレゲ、ブランパン、ダニエル・ロート、デレク・プラットなど、この時代を象徴する時計師たちの幅広いコレクションが揃っているが、特に注目すべきは初代ロレックス レインボー デイトナと、ジュルヌが製作した2本目の腕時計であるトゥールビヨン・スヴランだ。今年1月のマイアミアンティークショーの特集を振り返れば、リローデッドに出品されているほかの時計を思い出すかもしれない。
 私はジュルヌファンではないが、トゥールビヨン・スヴランはまさに見事な職人技の結晶だ。“クラフトマンシップ”という言葉は今ではすっかり使い古されているが、この時計にはその真の意味が込められている。素朴なダイヤルかつ手彫りで、インクが湿ったノートのように滲んでいる。レインボー デイトナは“300万スイスフラン(日本円で約4憶9900万円))を超える見積もり”だが、ジュルヌは“200万スイスフラン(日本円で約3億3260万円)を超える”見積もりとなっている。個人的には、ジュルヌのほうが響くものがある。繰り返すが、私はジュルヌファンではない! フィリップスオークションについては、今後さらに詳しく取り上げる予定だ。ちなみに、プラチナ製のデュフォー デュアリティにはまだ触れていないが、オークションのレベルが高いことはこれでお分かりいただけるだろう。オンラインカタログはこちら。
 それでは、新作時計の紹介に移ろう。
新作発表: A(アルビスホルン)からX(ジェブデ)まで

アルビスホルンのマキシグラフは、存在していたかもしれないヴィンテージレガッタウォッチを、遊び心たっぷりに再解釈したモデルだ。
 アルビスホルン(Albishorn)は、セリタ社のイノベーションおよびマーケティング責任者であるセバスチャン・ショルモンテ(Sébastien Chaulmontet)氏によって立ち上げられた新ブランドだ。ショルモンテ氏は筋金入りのヴィンテージクロノグラフ愛好家であり、彼のコレクションの一部を紹介する素晴らしい動画も公開されている。長年彼の存在を知っていただけに、ついに本人と直接会えたことがとてもうれしかった。
 アルビスホルンのマキシグラフはマッセナLABとのコラボレーションによって誕生し、1930年代に作られていたとしたらどのようなモダンなレガッタクロノグラフになっていたかを想像してデザインされた時計だ。デザインは見事に仕上げられており、典型的なレガッタタイマーとは一線を画す、いくつかの巧妙な技術的イノベーションが盛り込まれている。同僚のジョナサンはEditors' Picksで、この時計をGeneva Watch Daysで最も気に入ったリリースとして挙げている。アルビスホルンからは今後も“ヴィンテージウォッチの再解釈”をテーマにしたモデルが登場する予定で、すべてがヘリテージのアイデアを遊び心いっぱいに表現している。またヴィンテージにインスパイアされたデザインが、必ずしも堅苦しいものである必要がないことも証明した。

スリム化されたM.A.D.1 S。マークのHands-Onレビューでも紹介されたモデルだ。
 1年以上ぶりにMB&Fの時計とじっくり向き合う機会を得たが、まるで動くアートのワンダーランドのようだった。レペとMB&Fのコラボ作“アルバトロス”、いわばチャイムを鳴らす飛行船型の置時計から、実際に装着可能となったM.A.D.1 Sまで、マックス・ブッサー(Max Büsser)氏の世界に足を踏み入れた瞬間から、その感覚に圧倒される。過去数十年間、彼ほど時計や置時計の目的そのものを根本から再考した人物はいないだろう。彼の作品を実際に手に取ることで、その独自性を改めて実感させられる。
 ジュネーブ中心部にあるジェブデ・レジェピ(Xhevdet Rexhepi)氏の工房は活気に満ちており、6人ほどの従業員が組み立てや仕上げのさまざまな工程に取り組んでいる。彼のアトリエの様子は、この動画で手軽に見ることができる。彼の手がけたミニット・イネルテは、インディペンデントウォッチメイキングの革新的な作品だ。秒針が毎分2秒間停止し、そのあと分針が一気に進むという仕組みで、これはスイスの鉄道時計を参考にしたものだ(実際の動作はここで確認できる)。この複雑機構を完成させるのには相当な苦労があったようだが、彼の工房ではグリーンとブルーのダイヤルを備えた実働モデルを見ることができた。

オクト フィニッシモ ウルトラは、驚くほど薄いにもかかわらず、依然として“時計”としての感覚を保っている。

...しかし、底知れぬ薄さだ。
 新作ではないが、ブルガリのオクト フィニッシモ ウルトラ COSCは、実物を見てもなおその薄さが信じがたい。わずか1.7mmだが、しっかりと時計としての感覚を保っている。“データマトリックス(ラチェット部分にあるQRコードのようなパターン)”は今でもあまり好みではないが、それ以外だと極端なオクト フィニッシモであり、それはまるでパスタローラーを何度もとおしたかのようだ。コンスタンチン・チャイキンのシンキングプロトタイプ(1.65mm)も見たかったが、彼は4月までに量産モデルを出すと約束している。今のところブルガリが依然として最薄量産時計であり、重要なのはフェラーリ×リシャール・ミルやチャイキンとは異なり巻き上げに鍵を必要としないことだ。
 “世界最薄”の称号を争う超薄型トリオのなかだと、今でもブルガリがお気に入りだ。実際の時計として見える点が大きな理由であり、しかもCOSC認定もされている! とはいえ、コンスタンチンの天才的な技術も否定できない。

ベルネロン ミラージュ 34はストーンダイヤルが特徴で、このイベントの主役となった。
 今週の主役は、おそらくベルネロンのミラージュ 34だろう。昨年38mmのミラージュを発表したシルヴァン・ベルネロン(Sylvain Berneron)氏は、非対称ケースを小型化し、より小さくて薄いムーブメントを採用した。しかし最大の変化はダイヤルにある。小型化されたミラージュでは、YGのモデルにタイガーズアイのダイヤル、ホワイトゴールドにはラピスラズリのダイヤルが使われており、どちらも驚くほど美しい。タイガーズアイは1970年代のシャギーカーペットと木製パネルのようなレトロ感を漂わせ、もうひとつのラピスラズリはクールでモダンな印象を与えている。近々ベルネロン ミラージュコレクション全体のハンズオンレビューもお届けする予定だ。

 最後に紹介するのは、先週のEditors' Picksでも触れたダニエル・ロートのローズゴールドトゥールビヨンだ。これが最大のサプライズだった。リローンチされたロートのトゥールビヨンを実際に見るのは初めてだったが、想像以上に素晴らしかった。1990年代のオリジナルトゥールビヨンに加えられた改良はわずかだが、しっかりと感じ取れる。サファイア製シースルーバックをとおしてムーブメントを確認した際、まず目に留まったのはブラックポリッシュ仕上げされたテンプ受けだった。完璧に仕上げられたそのディテールは、レンダリングやプレス写真では決して伝わらない美しさだ。全体の仕上がりは温かみがあり、ギヨシェ彫りも繊細で、すべてのパーツが見事に仕上げられている。ロートの美学は完全に自分好みではないが、実際に見たあとでは客観的に見ても美しいウォッチメイキング作品だと感じた。
 業界の苦境を伝える報道が続くなかでも、ベルネロン、ロート、レジェピ、さらにはアルビスホルンのような新作を見ると、機械式時計製造の未来は依然として明るいと感じさせてくれる。

第2次世界大戦直後、米国製腕時計の市場競争は熾烈となった。

エルジン、ブローバ、ハミルトンなどのメーカーは、消費者にアピールできる技術的に高度な腕時計の開発競争を繰り広げた。最も熾烈な競争のひとつは、従来のゼンマイ式ではなく電池式の腕時計を開発することだった。今回紹介するのは、その勝者であるハミルトン エレクトリック500だ。ハミルトンは電池式腕時計を消費者向けに開発した最初の企業だが、多大なコストを費やしつつ、最終的に勝者となった。

 電気式時計が登場したのはかなり昔であり、1814年にフランシス・ロナルズ(Francis Ronalds)卿が最初のモデルを発明した(ブレゲがトゥールビヨンの特許を取得したのがそのわずか13年前であることを考えると、これはかなり驚くべきことだ)。ただし、電池式腕時計をつくる上で克服しなければならない課題がふたつ存在した。ひとつ目は腕時計に対応できる電流を使用した発振器システムの開発。ふたつ目は時計ケースに収納できる小型電池の開発だ。当然ながら、このふたつの課題は密接に関連している。どのようなシステムを使用するにしても、小型電池を消耗させないだけの高い効率性が必要だったのだ。ハミルトンのエンジニアたちは、アーサー・フィリンガー(Arthur Filllinger)がハミルトン初の電気式ムーブメントを開発した1947年に、これらの課題に取り組み始めた。ただし1951年に初の実用モデルを作り上げたのはフレッド・ケーラー(Fred Koehler)で、最終的にはこれがモデル500ムーブメントの開発ベースとなった。このムーブメントの功績は、当時のハミルトンの主任物理学者だったジョン・ヴァン ホーン(John Van Horn)、そのチームメンバーの物理学者フィリップ・ビーミラー(Phillip Biemiller)、そして熟練技師のジェームズ・H・リース(James H. Reese)によるものだという声が多い。

 モデル500ムーブメントには、ハミルトンとナショナル・カーボン・カンパニー(後にユニオン・カーバイド社と改名)が共同開発した電池が使用された。ナショナル・カーボン・カンパニーは、40社を超えるほかの電池メーカーがハミルトンの申し出を断ったあとで、ハミルトンとの提携に合意した。この電池は液漏れせず、非常に安定した電圧を提供できるように設計されていた。ハミルトンでは、コスト削減と単一サプライヤー依存からの脱却に向け、電池の自社製造というアイデアも一時検討されたが、大規模製造により電池価格が手ごろになったため、同社は電池事業への参入を断念した。
 モデル500ムーブメントにはゼンマイが存在しない。大型のテンプ(機械の運動率を規制する車輪)の動きによって、歯車と針を動かす力を得ており、テンプの振動で歯車を連動させているのだ。モデル500は、いわゆる“ムービングコイル”式の電気時計だ。テンプの片側はバランススクリューが付いた一般的な外観だが、その反対側には大型のワイヤーコイルが取り付けられており、このコイルが電磁石になっている。テンプ下にあるプレートには、円盤状の永久磁石がふたつ取り付けられている。テンプが揺れるとコイルがふたつの磁石の隙間に入り込み、テンプ下をとおる非常に細い2本の線バネの1本が、テンプのハブの接点を介してコイルに短い電流を流すのだ。
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 コイル内で発生した誘導磁場は、永久磁石の磁場と相互作用しながらテンプを揺らし続ける。ヒゲゼンマイは非磁性の合金で出来ているが、ハミルトンのエンジニアたちは磁場の漏れを最小限に抑えるためにかなりの工夫を強いられた。彼らはプラチナとコバルト製のバッテリー用に独自の配合を開発しなければならなかったのだ(ゼネラル・エレクトリック社の先行特許を侵害しないようにする工夫が必要だった)。細長い2本の線バネの2本目は、実際は“遮断用”だ。テンプのハブにある石によって電流が遮断され、電流が流れるバネ間の電気接触を切断する。これによりコイル内の磁場が遮断され、テンプは弧を描きながら自由に揺れることができるという仕組みだ。


 残念ながら、ハミルトンはこの時計の生産を急いでしまった。1957年1月3日にサボイ・プラザ・ホテルで開かれた発表記者会見には120人以上のジャーナリストが集まった。当初純金製だったこの時計の価格は175ドルだった。“この時計は477年の時計製造の歴史における初の基本的な改良だ”と誇らしげに説明する広告もつくられた(ピーター・ヘンラインが時計を“発明”したとされる1480年を、時計の歴史が始まった日とする説もあるが、この説はすでに否定されている)。ハミルトンのエレクトリックムーブメントは、リチャード・アービブ(Richard Arbib)設計のベンチュラやペイサーなど、数多くの時計に採用された。

ハミルトンの電動ペイサー。
 しかし、初代モデルの動作にはムラがあった。さらに時計職人や宝石商は正しい修理手順を理解できていなかったため、この時計の販売をためらうことが多かった。ハミルトンはあらゆる修理を実行する際は時計を工場に返送することを推奨したが、これが問題をさらに悪化させた。エレクトリックを実際に使用する上で生じた深刻な問題のひとつは、テンプハブの接触点が腐食しやすく、ごくわずかな腐食でも時計が止まってしまうということだった。

 1960年にブローバが電池式の音叉時計であるアキュトロンを発表したことは、ハミルトン エレクトリックに決定的な打撃を与えた。ハミルトンとは異なり、ブローバは最初からサービススタッフを徹底的に訓練して製品サポートを行った。しかしハミルトン エレクトリックと同様、アキュトロンも結局は行き詰まることとなった。1969年にセイコーがクオーツアストロンを発表し、そこから歴史上で初めて、本当にどこでも正確な時間が得られる時代が幕を開けた。最終的にハミルトン エレクトリック(1969年に生産終了)は失敗作となったが、この非常に独創的なエンジニアリングの産物には、今でもコレクターや時計職人のあいだにファンが存在している。

今週のコラムはよりクラシカルな内容となり、ネット上から厳選した時計を紹介する。

前回のエディションでは、ロジャー・スミス シリーズ2 オープンダイヤルが間違いなく注目の1本であった。その時計は“ホールド中”と表示され、新しいオーナーのもとに行く可能性があることが確認された。また、このロジャー・スミスを凌ぐ注目度を誇ったのが、イギリスのFellowsで出品されたカルティエ ロンドン タンクL.C.(もしくはタンクJ.J.C.)である。この時計は熾烈な競り合いの末、4万4850ポンド(日本円で約955万円)で落札された。Fellowsは、この時計が同オークションハウスにおけるカルティエの時計として過去最高額での取引となったことを発表した。


それでは、今週のおすすめモデルを紹介しよう。


ロレックス エクスプローラー Ref.6610 RAFの証明付き、1957年製

1955年から1959年にかけて製造されたエクスプローラー第3世代のリファレンスである6610は、歴史的に重要であると同時に、後継モデルであるRef.1016よりも入手が難しい存在だ。しかし、6610はやや忘れられがちである。その要因のひとつは、36mmサイズのこのエクスプローラーが1016ではないという事実である。リファレンスナンバーが1016や5513のように象徴的な存在になると、それと近しいデザインや特徴を持つ6610や5512といったモデルは1016や5513ではない、という理由だけでやや評価が控えめになってしまう。この説明で意図が伝わることを願っている。


私はギルトダイヤルの1016を所有するエクスプローラーファンであり、Ref.6610にも強い愛着がある。正直なところ、6610はきわめて過小評価されていると考えている。状態が良好な6610、例えば今回のモデルのような個体には独特の魅力があるのだ。特に初期のディテールには、チャプターリングや6時位置のOCC表記、白い秒針といった要素があり、これが何とも言えない味わいを生んでいる。この個体はさらに、やや大きめのロリポップ秒針を備えており、これは微細な違いではあるものの、これこそ6610であって1016でないことを示す明確なサインである。

イギリスの小さなオークションハウスに出品されているこの初期のエクスプローラーには、軍事的な由来も添えられている。HODINKEEでは、ストーリーを持つ時計が特に魅力的と考えている。このRef.6610はイギリス空軍(RAF)の准士官であったレナード・ホール(Leonard Hall)が所有していたものである。ホールは中東に駐留していた際、ビッカース・ヴァレッタやヘイスティングス、ダコタといった輸送機を操縦しており、このロレックスはオマーンのシェイクから彼の輸送任務への感謝として贈られたものだという。この時計には、ホールのフライトログブック、写真、息子(このオークションの委託者)からの手紙など、物語を裏付けるさまざまな証明品が添えられている。エクスプローラーを所有するだけでも十分に魅力的だが、実際にその時計で探索を行った人物が身につけていたという背景が、この時計にさらに特別な価値を与えている。


この歴史的に重要なロレックス エクスプローラーは、11月8日(金)午前5時(アメリカ東部標準時)に開催されるHansons Hertfordshire'sのHanson Ross November Antiques, Collectables, Jewellery, Wine & Spiritsオークションのロット141である。事前見積もり価格は8000〜1万2000ポンド(日本円で約155万~235万円)だ。


ロレックス ゼファー Ref.1008 ボックスと書類付き、1967年製

ゼファーはロレックスのなかでも時の流れに埋もれてしまった存在であり、そのまま歴史に残り続けるだろう。もし21世紀にロレックスがゼファーを復刻したらとても驚く。しかし、それがヴィンテージロレックスとして優れていないというわけではない。私見では、いくつかのものはそのまま残されるのが一番であり、このニッチなスポーツロレックスもそのひとつだと思う。
 ロレックスは1950年代にRef.6582としてゼファーを発表し、その後すぐにRef.1008へと進化させた。このモデルは、基本的にはスタンダードなオイスター パーペチュアルにアレンジを加えたもので、ツートーンのデザイン、特徴的な面取り仕上げのベゼル、そしてクロスヘアダイヤルが特徴だ。その外観はほかのロレックスとは一線を画している。伝説的なレーサーでありデザイナーでもあるキャロル・シェルビー(Carroll Shelby)もゼファーを愛用し、1959年の『スポーツ・イラストレイテッド』の特集でも着用していた。これらの時計は年数が経っており、文字盤に広がるデッドスペースも多いため、良好なコンディションで残っているものを見つけるのは難しい。見てほしいのは単独で配置されたルミナスポイントだ。これらは腰の高さからのわずかな落下でも、いくつかが失われてしまう恐れがある。

もちろん、ここでゼファーを紹介するのは、この個体が非常に優れた状態にあるからである。さらにオリジナルのボックスと書類もそろっており、これはコレクターにとってうれしいポイントだ。実際、この時計は“本物の”フルセットであり、クロノメーター証明書とロレックス保証書が両方そろっている。これ以上ない魅力的な一品である。


このロレックス ゼファーはLoupe Thisオークションに出品。記事公開時点での現在の入札額は4550ドル(日本円で約70万円)で、オークションは11月5日(火)午後12時15分(アメリカ東部標準時)に終了予定である。詳しくはこちら。


P.S. 今週のヴィンテージロレックス紹介はこれで以上だが、もしまだロレックスが足りないというなら、eBayに出品されているヴィンテージTシャツもチェックしてみて欲しい。
パテックフィリップ Ref.1491R カラトラバ ローズゴールド製スクロールラグ付き、1952年製

さて、ヴィンテージロレックスからヴィンテージパテックに話題を替えよう。私のお気に入りであるカラトラバ Ref.1491が、友人たちが運営するCollectabilityにリストされた。しかもRG仕様と、特別感が増している。


1491は1940年から1965年のあいだに約400本が製造された。これだけ長い生産期間にしては比較的少量の生産数である。今でこそこのリファレンス特有のスクロールラグに魅力を感じるが、当時のパテックの顧客層にはやや異質なデザインだったのだろう。この時計を選ぶのは、当時としても非常に個性的な買い手であったに違いない。その独特な魅力こそが、現代においてこの時計を特別な存在にしているのである。特にこの時期のパテックのデザインは非常に控えめでクラシカルなものであり、クラシックなRef.96 カラトラバや、洗練された複雑さを持つRef.1518などが象徴的だ。この時計が今の私たちにはさほど奇抜に見えなくとも、当時としては突拍子もないデザインだったに違いない。

このリファレンスをググったり検索したりすると、大多数の個体は6時位置にスモールセコンドを備えていることがわかる。ただ今回のモデルはセンターセコンドを採用しており、その点が希少価値を高めている。さらにパテックのアーカイブ抜粋にもCal.27 SC(SCはセンターセコンドの意)と記載されており、正規の仕様であることが確認されている。ただしひとつ“問題”がある。この時計の文字盤は、パテックによるサービスの際に交換されたものである。6時位置のSwiss表記の両側にあるシグマ記号がその証拠であり、これは1971年以降の一部の文字盤に見られる特徴である。この点を考慮すると、サービスダイヤルであることを理解したうえで価格が設定されているため、コレクターはこの欠点も注意することが重要である。
 販売者であるニュージャージー州Collectabilityのジョン・リアドン(John Reardon)氏とそのチームは、このパテックに2万4500ドル(日本円で約370万円)の価格を設定している。詳しくはこちら。
カルティエ パリ “ミドルサイズ” サントレ、1979年製

カルティエのサントレは、HODINKEE読者にとってすでにおなじみの存在であろう。ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏とのTalking Watches第2弾で惚れ込んだ方もいれば、最近になってこのモデルの魅力に気付いた方もいるかもしれないが、サントレは今やコレクターにとって象徴的なカルティエ タンクのひとつである。真にジャンボサイズのサントレはアイコニックな存在であり、オークションでも大いに注目を集めるが、私はそのひとつ下の“ミドルサイズ”にも独特の魅力があると感じている。このサイズのほうがクラシカルな印象が強く、カーブしたケースもバランスよく見える。手首全体を覆うことなく、ほかのタンクモデルと同じような自然なつけ心地が楽しめるのだ。サントレに関してはこのサイズのほうが好みと言ってもいいかもしれない。あるいは、実際に“ジャンボ”を手にする機会が訪れることはないだろうという現実を受け入れているだけかもしれない。ただいずれにせよ、このミドルサイズのサントレは決して“妥協”ではないのである。
 特に1920年代から1960年代にかけてのヴィンテージカルティエの時代を振り返ると、サントレのなかでもジャンボサイズのほうが一般的だったように思える。私の考えでは、当時のカルティエの顧客がサントレを選ぶ際、タンクL.C.やタンク オビュなどほかのモデルと競合する小型サイズよりも、より存在感のあるジャンボを好んだのではないかと思っている。ヴィンテージの出回り具合を研究するなかで感じるのは、実はミドルサイズのサントレはかなりレアであり、むしろジャンボよりも入手が難しい可能性があるということである。

このミントコンディションのミドルサイズサントレを販売しているのは、マイアミにあるMenta Watchesのアダム(Adam)氏とジョーダン(Jordan)氏で、価格は2万5000ドル(日本円で約380万円)となっている。詳しくはこちら。
オーデマ ピゲ “エリプス” ダイヤモンド&ルビー文字盤、1970年代製

先々週、私は少人数のグループでランチを楽しんだ。そのなかにはマイク・ヌーヴォー(Mike Nouveau)氏とフレッド・サベージ(Fred Savage)氏もいてなんとも贅沢な時間を過ごしたわけだが、ランチが盛り上がるなかフレッド氏がマイク氏にこんな質問を投げかけた。「“ジーザーウォッチ”ってどう定義する?」と。この問いはいい意味で場の空気を一瞬で変えた。TikTokアカウントを持っていない人のために補足すると、“ジーザーウォッチ”というのは、HODINKEEの古くからの友人でありライバルでもあるフィル・トレダノ(Phil Toledano)氏が作り出した言葉で、彼がマイクの動画に頻繁に登場することで広まった用語だ。最終的にマイク氏は、ジーザーウォッチを何か具体的な物ではなく“感覚的なもの”として表現し、“見ればわかる”というものだと説明した。まあ私も見ればわかると思うし、このオーデマ ピゲこそがまさにその“ジーザーウォッチ”である。しかもその源であるマイク・ヌーヴォー本人からの出品だ。


このジャンルの時計をどう呼ぶにせよ、このスタイルに魅力を感じるならば確実に価値がある。オーデマ ピゲのようなブランドから、ホワイトゴールドのケースにダイヤモンドとルビーをあしらったブレスレット付き時計が1万5000ドル(日本円で約230万円)未満で手に入る機会はほかにはまずないだろう。確かに、このデザインは特定の好みに向けたものであるが、手に入れるものは本物の価値と卓越した職人技の結晶だ。特に私が気に入っているのは、文字盤対角線状に配置されたジェムセットと、ケースの薄いベゼルに施された同じ角度のノーリング加工との相互作用だ。この時計には豊かなディテールが詰まっているが、もしこれをうまく身につけられるなら、その美しさは圧倒的である。


この1970年代製オーデマ ピゲを販売しているのは、先述したようにマイク・ヌーヴォー氏で、彼はニューヨーク市に拠点を置いている。この時計の価格は1万4000ドル(日本円で約210万円)。

“フィールド”と“ブラックバード”のふたつのモデルをラインナップに追加。

以前アエラについて取り上げた際、ひとつの核となるシルエットを軸にスイスでの時計製造を貫くマイクロブランドとして紹介した。共同創業者であるジャス・ミンハス(Jas Minhas)氏とオロフ・ラルソン(Olof Larsson)氏により、ブランドで最も複雑なモデルとなるC-1 クロノグラフが発表されたのも記憶に新しい。今回アエラは方向性を一転させ、これまでで最もシンプルなモデルとしてフィールドウォッチから着想を得たM-1シリーズを公開した。

 アエラはこの2本の現代的なタイムオンリーウォッチのデザインについて、“ダーティ・ダズン”からインスピレーションを得たと述べている。ダーティ・ダズンとは、第2次世界大戦中にイギリス国防省が兵装として製作を依頼した12のフィールドウォッチの総称だ。この歴史的な着想を出発点としながらも、最終的な製品はアエラの時計すべてに共通する独自のシルエットをしっかりと踏襲している。
 これらのモデルはアエラにとって初めてとなる40mm未満のケースを採用しており、直径39mmで厚さ13.14mm、ラグからラグまでの長さは47.6mmとなっている。ブランドの特徴的なデザイン要素はそのまま健在で、904Lステンレススティールを使用した小石のように丸みのある外観のケース、曲線的なラグ、そしてクイックチェンジストラップシステムが備わっている。M-1シリーズは、ヘアライン仕上げのSSケースを採用した“フィールド”と、PVDコーティングされた“ブラックバード”というふたつのモデルで展開されている。



 デザインの観点から見ると、アエラは視認性が高く、コントラストの効いたダイヤルをこれまでに引き続き提供している。ダイヤルの外周には白のプリントでレイルウェイタイプのミニッツトラックが施され、黒で縁取られたソード針が採用されており、そこにはスーパールミノバがたっぷりと塗布されている。ほかのモデルと同様に、アエラの文字盤には夜光として純白のグロボライトが数字やブランドロゴに使用されている。フィールドとブラックバードの2モデル間で見逃しがちな細かい違いとしては、後者にのみ追加されていた青いアクセントが挙げられる。具体的には12時位置の上部、リューズの夜光インサート、スモールセコンド針の先端部分が青で彩られている。またフィールドではスーパールミノバが緑に発光するのに対し、ブラックバードでは青く発光するという違いもある。

 ソリッドケースバックの内側には手巻き式ムーブメントであるセリタ SW216-1が搭載されている。このムーブメントは“エラボレ”グレードで、標準のグレードよりも仕上げや精度調整の面で優れている。時計の防水性能は100mで、両モデルともにクイックチェンジ仕様のストラップが2本付属し、さらにハンドメイドのレザートラベルポーチもセットになっている。価格はフィールドが1750ドル(日本円で約26万2000円)から、ブラックバードが1900ドル(日本円で約29万5000円)からとなっている。

我々の考え
ケースラインに見られるほぼ宇宙時代的なデザインを考慮すると、ダーティ・ダズンからのインスピレーションはややこじつけのように思えるかもしれない。しかしそれはむしろ好ましいことであり、M-1は依然としてアエラらしさを保っている。この時計が革新的かと問われれば、決してそんなことはない。しかし私はM-1はこそ、ブランドが初めに発表すべきだった時計であると考えている。オンライン販売専業ブランドにとって、スペックが潜在顧客との最初の話題となる世界では、このサイズは時計の装着感に不安を抱く人々にとってより魅力的に映るだろう。

 両モデルとも各300本の限定生産であり、アエラは段階的なリリース戦略を継続している。今年中に各100本をリリースし、残りは来年に数回に分けて展開する予定だ。ブランドの販売実績を内部から詳しく知るわけではないが、これは販売を通じて需要を測り、それに応じて生産する賢明な戦略であると考える。

基本情報
ブランド: アエラ(Aera)
モデル名: M-1

直径: 39mm(ラグトゥラグは47.6mm)
厚さ: 13.14mm
ケース素材: 904Lステンレススティール
文字盤色: ブラック
インデックス: グロボライト
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックレザーストラップ、タンレザーストラップ


ムーブメント情報
キャリバー: セリタ SW216-1(エラボレグレード)
機能: 時・分表示、スモールセコンド
パワーリザーブ:  42時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時

価格 & 発売時期
価格: フィールド 1750ドル(日本円で約26万2000円)/ブラックバード 1900ドル(日本円で約29万5000円)
発売時期: 発売中
限定: 各300本限定

大人気のスキューバ フィフティ ファゾムスに最新作が登場した。

オメガとのムーンスウォッチが大成功を収めた後、スウォッチは2023年、他のグループ傘下ブランドであるブランパンとの新たなコラボレーションを発表しました。それがブランパンの象徴的なダイバーズウォッチであるフィフティ ファゾムスの70周年を記念しつつ、スウォッチ独自のバイオセラミック製ケースと自動巻きムーブメントのシステム51を採用して誕生したスキューバ フィフティ ファゾムスです。

2025年新作のブランパン×スウォッチ スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャン。
その後、2024年1月には、使いやすいフルブラックのスキューバ フィフティ ファゾムス オーシャン オブ ストームを発表。さらに、少し時間を置いた2024年末にはターコイズブルーが印象的なスキューバ フィフティ ファゾムス ブルー ラグーンをリリースし、コレクションの幅を着実に広げ続けてきました。そして今年、シリーズ8作目となる鮮やかなピンクを纏った最新作、スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンが登場しました。

スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンは、これまでのモデルと共通の直径42.3 mm、厚さ14.4 mmのバイオセラミック製ケースが採用されています。

同コレクションのモデルはいずれも、ウミウシからインスパイアされたカラーリングが特徴ですが、本作のモチーフは、鮮やかなピンク色と特徴的な形で知られるセラトドーリス・ロザセアというウミウシ。ダイヤルは、中央から端に向かってピンクが濃くなるグラデーション仕上げが施され、ケースをはじめ、ベゼルインサート、リューズ、ダイヤル、そしてストラップに至るまで、ベビーピンクからマゼンタまでの多彩なピンクの色調が取り入れられています。

さらに、4時位置と5時位置の間に設けられた日付表示もピンクで統一されており、視界に映るすべてがピンク一色。その結果、これまでで最もポップな印象を持つスキューバ フィフティ ファゾムスに仕上がりました。

スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンには、さまざまなトーンのピンクが取り入れられている。

ローターには、色合いのインスピレーションとなったウミウシ、セラトドーリス・ロザセアがデジタルプリントされている。
ケース素材のバイオセラミックは、トウゴマの種から抽出されたヒマシ油を原料とするバイオプラスチックにセラミックを加えた、環境負荷の少ない特許取得済みの素材です(製造工程は「ムーンスウォッチとスキューバ フィフティ ファゾムス製造の舞台裏へ潜入」をご覧ください)。ストラップもリサイクルされた漁網を使用して作られた、環境に配慮されたピンクと白のツーピースのNATOスタイルストラップが採用されています。


ケース内部には、製造が完全に自動化された世界初のムーブメントであるシステム51を搭載。90時間のパワーリザーブや91メートル(50ファゾム)の防水性能など、技術仕様に変更はありません。スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャンは、数量限定ではなく、価格も他のモデルと同じく6万500円(税込)となっています。


ファースト・インプレッション
このモデルを手に取った瞬間、まるでバービーの世界からやってきた時計のようだと真っ先に感じました。元気になるようなピンクは、正直なところ僕が普段の服装に取り入れる時計ではないかもなと思いましたが、ちょうど妻(@watchgirltokyo)が日常使い用のダイバーズウォッチの購入検討をしていたため、彼女に試してもらうことにしました。

妻にトライしてもらう際、最も気になったのはサイズ感でした。スキューバ フィフティ ファゾムスは、直径42.3mm×厚さ14.4mmとメンズから見ても大きめな時計ですが、それに対し彼女の手首まわりは14cm。果たしてバランスが取れるのか心配でした。

しかし、実際につけてもらうと、軽量なバイオセラミック製ケースのおかげで意外と悪くない様子。さらに、ブルー ラグーンモデルから仕様が変更され、ストラップが引き通しタイプのNATOストラップではなく、ツーピース構造のNATOスタイルファブリックストラップに変更されたことも、つけ心地の向上に一役買っています。ケースバックの下で重なっていたストラップの厚みがなくなって、これまでよりもかさ張らない設計となり、ケース厚が14.4mmでありながら、より快適に着用できるようになっています。僕も実際に試してみましたが、以前レビューしたスキューバ フィフティ ファゾムス オーシャン オブ ストームと比較しても確実に改善されていることを実感しました。

なお、ストラップはリサイクルされた漁網を使用した環境に配慮した素材で作られていますが、敏感肌の妻は繊維の質感がわずかに気になると感じたようでした。僕はまったく気にならなかったのですが、店頭で試着してみるのがよいかもしれません。

さらに、新仕様のストラップにはもうひとつ大きな利点があります。それは、ストラップがケースバックに被らない設計のおかげで、システム51ムーブメントのブリッジに施された精緻なレーザー装飾や、透明なローターに描かれたウミウシのイラストを、ストラップを外すことなくそのまま鑑賞できる点です。わずか51個の部品で構成されたこの画期的なムーブメントを、いつでも眺められる楽しさは、初めて機械式時計に挑戦する方だけでなく、すべての時計愛好家にとって魅力的なポイントと言えるでしょう。

すべてがピンクのデザインに対する評価は人それぞれですが、妻は普段取り入れないカラーの時計として、新鮮さを楽しみ、気に入ったようでした。スティールケースやゴールドケースの時計よりも色の存在感が際立つ分、時計を起点にファッション全体のコーディネートを考える楽しみが増えたようです。

特に、明るいピンクがアクセントとなり、シンプルな服装にも遊び心や個性をプラスできる点が魅力的だったとのこと。カジュアルなデニムや白いシャツとの相性は抜群で、ピンクが華やかさを添えるだけでなく、意外にもパステルカラーやニュートラルな色合いの服とも調和していました。

そんな妻に触発され、僕も食わず嫌いではいけないと意を決して試してみることにしました。ピンク自体がそもそも自分の服装に合わせることがほとんどないため、正直なところ挑戦でした。試しにグレーのセーターやデニムジャケットに合わせてみたものの、これで合っているのかどうか自信が持てず、どこか落ち着かない気持ちが残りました。

やはり、自分にはオーシャン・オブ・ストームの落ち着いたトーンがしっくりきそうです。ピンク オーシャンのポップな魅力は認めつつも、カラーがもたらす印象やスタイルとの相性には、やはり個々の好みが影響するのだと改めて感じました。それでも少し冒険するなら、ターコイズブルーが美しいブルー ラグーンが僕には良いかもしれません。

もし妻がピンク オーシャン、僕がブルー ラグーンをつけることになったら、まるでバービーとケンの時計のようですね。そんなペアウォッチの楽しみ方も、このコレクションの魅力だと思います。

基本情報
ブランド: ブランパン×スウォッチ(Blancpain × Swatch)
モデル名: スキューバ フィフティ ファゾムス ピンク オーシャン(Scuba Fifty Fathoms PINK OCEAN)

直径: 42.3 mm
厚さ: 14.4 mm
ラグトゥラグ(全長):48.0 mm
ケース素材: バイオセラミック
文字盤色: ピンク
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 91m(50 ファゾム)
ストラップ/ブレスレット:使用済みの漁網をリサイクルして作られたツーピースのNATOスタイルストラップ、バイオセラミック製のバックル付き

ムーブメント情報
キャリバー: システム51
機構: 時・分・センターセコンド、日付表示
パワーリザーブ: 約90時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時

パテック フィリップは、レディスのノーチラス・ルーチェコレクションに新たなリファレンスである7010G-013を追加した。

この新作は、ホワイトゴールド製のケースに波模様をあしらったラッカー仕上げのアズールブルーダイヤル、そして同色のコンポジット製ストラップを組み合わせている。2023年にはパープルのラッカーダイヤルを備えたローズゴールド製のモデル(ストラップ仕様のRef.7010R-013およびブレスレット仕様のRef.7010/1R-013)が登場しており、今回のRef.7010G-013はルーチェシリーズの系譜に新たな彩りを添える存在である。本シリーズは2000年代初頭より、クラシックなノーチラスをベースにしつつ現代的でジェムストーンをあしらった女性向けモデルとしての役割を担ってきた。

Ref.7010G-013は、直径32mm、厚さ6.9mmのホワイトゴールド製ケースを採用し、ノーチラスの象徴である舷窓(ポートホール)構造を備えている。八角形のベゼルにはブリリアントカットのダイヤモンド46個(合計0.8ct)がセッティングされており、ケース全体にはポリッシュ仕上げとサテン仕上げが巧みに組み合わされている。防水性能は30m。搭載されているのは、パテック フィリップが1990年代初頭から使用しているクォーツムーブメント、Cal.E23-250 S Cである。時・分表示とセンターセコンドに加え、3時位置にはホワイトゴールドの枠で囲まれた日付表示を備える。

パテックフィリップ時計コピー 代引きダイヤルはラッカー仕上げのアズールブルーで、ノーチラス特有の“波”模様のエンボス加工が施されている。植字されたアラビア数字とオジーヴ(尖塔)形のインデックスはいずれもホワイトゴールド製で、アルファ型の針とともにホワイトのスーパールミノバが塗布されている。ストラップはファブリック調のパターンを備えたコンポジット素材で、ホワイトゴールド製のノーチラス用折り畳み式バックルによって装着される。なお、本リファレンスにはホワイトゴールド製ブレスレットを備えたバリエーション(Ref.7010/1G-013)も用意されており、フルメタル仕様を好むユーザーに向けた選択肢もある。

我々の考え
“ベビーサイズ”ノーチラスの物語は、1980年に登場したRef.4700から始まる。これはクォーツムーブメントを搭載した直径27mmのモデルで、オリジナルのRef.3700が登場してからわずか数年後のことであった。舷窓を模したケース、ケース一体型ブレスレット、水平エンボスのダイヤルといったノーチラスのDNAはそのままに、当時の嗜好に合わせてサイズだけがぐっと縮小されていた。当時の“レディス”ウォッチはより繊細な、あるいは控えめなサイズ感が主流であった。私の感覚では“カクテルパーティー寄り”な雰囲気に写ったのだ──ドラマ『ダイナスティ(現代:Dinasty)』のアレクシス・キャリントン・コルビー(Alexis Carrington Colby)を思い浮かべて欲しい。

しかしそれから数十年の時を経てコレクター市場が大きめのケースを受け入れ始め、女性たちがより存在感のある時計に引かれるようになると、レディスノーチラスもその流れに従ってゆるやかに、しかし着実に変化していった。ケース径は28mm、30mmと段階的に拡大し、2006年に登場したRef.7010ではついに32mmという現代の装いにふさわしいサイズにまで到達した。それでもなおパテックはノーチラスの核となるデザイン言語を守り続け、ダイヤモンドベゼルやカラーダイヤル、コンポジットストラップといったディテールを積み重ねてきた。これは革命ではなく、静かな進化だと言える。しかし、その進化はまさに現代のユーザーの手首に馴染むものだ。そしてレディスの製品バリエーションが拡充されてきたことで、明らかに商業的成功を収めている。メカニカルモデルの兄弟機にあたるRef.7118も、すべてのバリエーションにおいて非常に人気が高い。私自身、ダイヤモンドの有無を問わず、街で見かけることが実に多いモデルだ。

私には“ベビーノーチラス”に対するひそかな愛着がある。そして機械式ムーブメントを搭載した小型ノーチラスの登場を願ってやまないものの、このRef.7010G-013は役割を十分に果たしていると思う。高品質で仕上げの美しいクォーツ製スポーツウォッチであり、ノーチラスのデザイン系譜を力強く継承する1本だからだ。本機は、ムーブメントの形式にかかわらず、ノーチラスの本質的なデザインとそれを精緻に仕上げるパテックの手腕を愛するコレクターのための時計である。
Watches & Wondersからは、今後数日にわたってさらに多くの情報が届く予定だ。ショーで発表されるすべての新作は、引き続きここでチェックして欲しい。

基本情報
ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
モデル名: ノーチラス(Nautilus)
型番: 7010G-013

直径: 32mm
厚さ: 6.9mm
ケース素材: ホワイトゴールド製、ベゼルにはブリリアントカットダイヤモンド46個(計0.8ct)をセッティング
文字盤色: アズールブルーのラッカー仕上げ、“波”模様のエンボス加工
インデックス: ホワイトゴールド製でアプライドのアラビア数字およびアワーマーカー、ホワイトの蓄光コーティング
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブルーのファブリック調コンポジット素材、もしくはホワイトゴールド製ノーチラス折り畳み式バックル

ムーブメント情報
キャリバー: E 23-250 S C
機能: 時・分・秒表示、デイト表示
直径: 23.9mm
厚さ: 2.5mm

価格 & 発売時期
価格: ストラップ仕様 670万円/ブレスレット仕様 950万円(ともに税込)

IWC 映画『F1/エフワン』公開に向けたスペシャルモデルを発表

今年6月下旬に公開予定の『F1/エフワン(原題:F1)』を前に、IWCは同作に関連するコレクションを発表した。本作はジョセフ・コシンスキー(Joseph Kosinski)監督、Apple Original Films製作のもと、ブラッド・ピット(Brad Pitt)がF1ドライバーのソニー・ヘイズ役を演じる。現時点で映画の内容がうかがえるのはトレーラー(こちら)程度だが、IWCはこの映画とのつながりを強調するべく、さまざまなモデルを用意した。インヂュニア40の特別仕様、迫力のパーペチュアルカレンダー、さらには3種のパイロット・クロノグラフがラインナップされている。

さっそく詳しく見ていこう。
IWCスーパーコピー時計 代引きインヂュニア・オートマティック 40、Ref.IW328908

ブラッド・ピットが『F1/エフワン』の劇中で着用する時計に着想を得た、この40mmサイズのインヂュニア・オートマティックは、インヂュニアSL 1832をベースにしつつ、ブラッド・ピット演じるソニー・ヘイズのシグネチャーカラーを表すグリーンダイヤルを採用している。温かみのあるオリーブグリーンのダイヤルはスティール製のケースおよびブレスレットと組み合わされ、ダイヤルと針にはゴールドのアクセントが加えられることでひと味違った表情を見せている。

標準仕様のインヂュニア40と同様に、IWC自社製のCal.32111を搭載し、約120時間のパワーリザーブを誇る。本作は限定1000本で展開され、価格は195万4700円(税込)に設定されている。
パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ・パーペチュアルカレンダー・デジタル・デイト・マンス、Ref.IW388801


次に登場するのは、より過激で、まさに現代のテクノロジーに取り憑かれたF1の世界観にふさわしい1本である。次にIWCが『F1/エフワン』の劇中に登場させる時計のひとつが、パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ・パーペチュアルカレンダー・デジタル・デイト・マンスだ。これはパフォーマンス・クロノグラフシリーズにおける初のQPモデルである。


この高度なまでに複雑なモデルは、ブランドのパフォーマンス・クロノグラフをベースに、ケース、プッシュボタン、リューズ、さらにはブレスレットに至るまでフルセラタニウム®で構成されるほか、自社製Cal.89802を搭載している。ムーブメントはデジタル表示による日付と月表示を備えたパーペチュアルカレンダー、12時位置にクロノグラフ用積算計(時間と分を表示)、そしてスモールセコンド付きの通常の時刻表示を備える。これらすべてが、43×16.5mmサイズのケースに収められ、セラミック製ベゼルで仕上げられているのだ。

Cal.89802は、シースルーバック越しにその姿を鑑賞することができる。自動巻きであり、2万8800振動/時(4Hz)で駆動し、約68時間パワーリザーブのパフォーマンスで発揮する。価格は1293万6000円(税込)。なおRef.IW388801は生産本数に制限のない通常モデルである。
パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41、Ref.IW388309/パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “APXGP”、Ref.IW378009とパイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 “APXGP”、Ref.IW388116

IW378009(43mm、左)、IW388309(41mm、中央)、IW388116(41mm、右)
最後に、もし1200万円超えの超複雑クロノグラフをF1シーズン中つけるつもりがないという方のために、よりベーシックなクロノグラフ3モデルをおすすめしよう。これらは劇中で、IWCがスポンサーを務める架空のチーム、APXGPのブランディングに合わせたモデルである。これらは劇中において、登場人物やチームメンバーの手首に実際に装着される。

まず紹介するのがパイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41(IW388309)。本作ではダムソン・イドリス(Damson Idris)演じるキャラクター、ジョシュア・ピアースの手首に登場する。ケース素材には18Kレッドゴールドを採用しており、直径41mm、厚さ14.7mm、100mの防水性能を備える。ラバーストラップが組み合わされ、ムーブメントは約46時間のパワーリザーブのIWC自社製自動巻きムーブメント、Cal.68385を搭載。価格は410万8500円(税込)だ。


続いてIWCが銀幕に向けて用意したテーマモデルは、2サイズ展開のクロノグラフだ。43mm径のパイロット・ウォッチ・クロノグラフ “APXGP”と、名前のとおり41mm径のパイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 “APXGP”である。どちらも映画『F1/エフワン』からインスピレーションを得たモデルだ。

両方のAPXGPクロノグラフはともにスティール製ケースを採用し、チームカラーであるゴールド、ホワイト、ブラックを配している。またいずれもティントカラーのAPXGPロゴ入りシースルーバックを備えるほか、100m防水、さらにIWCのEasX-CHANGE®システム(プッシュボタン式で工具不要のストラップ交換機構)を備えている。

あとはサイズを選ぶだけだ。43×14.9mmか、41×14.5mmの2種類で、いずれも2万8800振動/時(4Hz)のCal.69385を搭載し、約46時間のパワーリザーブと自動巻き機構を備える。価格は41mmのIW388116が105万2700円、43mmのIW378009が107万8000円(ともに税込)となっている。
 『F1/エフワン』は今夏の大作映画のひとつになることは間違いない(『トップガン マーヴェリック(原題:Top Gun: Maverick)』と同じ監督ということを考えれば驚きではないだろう)。長年にわたって、IWCがメルセデスAMG・ペトロナスF1チームを支援してきた姿を見てきただけに、今回ブランドが映画の一部となるのはうれしい限りである。現実がそのまま映画に投影されたような形だが、実際のところは6月27日を待って、劇場で確かめて欲しい。


これら新作モデルの詳細については、IWCの公式サイトを参照して欲しい。また『F1/エフワン』の世界や最新モデルの情報は、HODINKEEで引き続きお届けする。

リシャール・ミル、フェラーリのF1ドライバーとともに新作リミテッドモデルRM 72-01の新作情報です。

リシャール・ミル、フェラーリのF1ドライバーとともに新作リミテッドモデルRM 72-01の新作情報です。

リシャールミルコピー時計 激安の長年の友人が、数週間にわたりこの時計を着用していたものの、それに気づいた人はごくわずかだった。そして今、その全貌が明らかとなった。
 

マイアミ・グランプリの興奮冷めやらぬ週末を終えたばかりのタイミングで、リシャール・ミルからまたしてもF1に関するニュースが舞い込んできた。ブランドの長年の友人(すなわちアンバサダー)であり、フェラーリのF1ドライバーでもあるシャルル・ルクレール(Charles Leclerc)氏とともに、リシャール・ミルが新作をひっそりと発表したのである。新たに登場したRM 72-01 “シャルル・ルクレール”エディションは、ブランドの自動巻きフライバッククロノグラフをベースに、モナコ出身のF1ドライバーに向けて特別な仕様が施されたモデルである。

シャルル・ルクレール氏とカルロス・サインツ(Carlos Sainz)氏、マイアミでパドックをあとにする。Photo credit Kym Illman/Getty Images
もっとも目を引くのは、ホワイトのクオーツTPT®製ケースにレッドのストライプとケースサイドを組み合わせた外装であり、これはモナコ国旗へのオマージュとなっている。スケルトン仕様のクロノグラフ表示は、アワーマーカーに数字を用いず、スモールセコンドおよびクロノグラフ積算計にもレッドとホワイトのテーマを踏襲している。ブラックのリューズは、自動車の加速時にトルクでねじれるタイヤを思わせる造形となっており、デイト表示の小窓も同様にレッドとホワイトで縁取られている。

搭載されているのは、リシャール・ミル製のCal.CRMC-1。30分積算計と24時間積算計、スモールセコンドを備えたフライバッククロノグラフムーブメントである。制御機構にはコラムホイール方式とダブルスイングピニオン連動機構を採用している。ムーブメントには、リューズの位置(巻き上げ、時刻調整、日付調整)を示すファンクションインジケーターとセミ瞬間日送りのインジケーターも備わる。振動数は2万8800振動/時で、ベリリウム青銅(CuBe)製フリースプラング調整式テンプと、ハイトルク仕様の主ゼンマイ香箱を採用し、パワーリザーブは約50時間。自動巻き機構にはセラミックベアリング上に配置されたプラチナ製ローターを使用している。

本モデルはわずか150本限定で、すでに顧客へのデリバリーが始まっている。販売価格は33万ドル(日本円で約4870万円)だが、同じく数量限定だったRM 72-01 ル・マン クラシックの例を見れば、このモデルもセカンダリーマーケットでは相当な高騰が予想される。

我々の考え
ちょっとした裏話をしよう。今回は人生で初めて、犬のおかげで新作を発見した瞬間だった。多くのブランドは、F1やアンバサダーとのつながりを活用して時計のローンチを最大限アピールしようとするものだが、リシャール・ミルはこのモデルについて一切何も発表していなかった。代わりに届いたのは、F1界の人気者レオ・ルクレール(シャルル・ルクレールの愛らしいダックスフント)がマイアミ・グランプリ後にシャルルと戯れる、なんとも微笑ましい動画だった。そのとき、シャルルがつけていた時計が見覚えのないモデルであることに気づいた。見た目はバッバ・ワトソン(Bubba Watson)選手のピンクとホワイトのクオーツケースにも近いが、明らかにRM 72-01だった。気になって彼のInstagramをさかのぼってみると、自分の好物(犬、犬、そしてまた犬)ばかりの投稿の合間に、実はこの時計を以前から着用していたことが分かった。

そこで少し調べてみることにした。火曜日の早い段階で見つかった唯一の情報は、ドバイのディーラーによる投稿であり、実物の写真が掲載されていた。ところがこの時計、シャルルがバーレーンGPのころからつけていたにもかかわらず、誰も気づいていなかったようなのだ。このことから、その時計は単なるプロトタイプではなく販売用の製品である可能性が高いことが判明した。幸運にもリシャール・ミルから正式な情報を得ることができたため、ついにこのRM 72-01 “レオ・ルクレール”、いや“シャルル・ルクレール”エディションの詳細が明らかになったわけだ。そして個人的な感想を言えば……とても気に入っている。自分には似合わないかもしれないが、ルクレールには間違いなくふさわしい1本だ。

リシャール・ミルの価格について議論しても意味はない。このブランドの時計はきわめて限定的であり排他的、そして途方もなく高価であること自体が存在意義なのだ。多くのモデルが非常に目立つデザインを持っているのだから、今回も同様にその方向性を突き詰めたというのは自然な流れである。とりわけブランドにとって親しい存在である人物のためであればなおさらだ。どこか“ペパーミントキャンディケイン”を思わせる雰囲気はあるかもしれない。だがそんなことはどうでもいい。個人的には、もっと控えめなブラックのRM 67-02のようなモデルを選ぶだろうが、モナコ出身のフェラーリドライバーにとってはこれ以上ないほどぴったりの時計である。

基本情報
ブランド: リシャール・ミル(Richard Mille)
モデル名: RM 72-01 “シャルル・ルクレール”(RM72-01 'Charles Leclerc')

直径: 幅38.4mm×全長47.34mm
厚さ: 11.68mm
ケース素材: ホワイトクオーツTPT®(レッドのアクセントおよびストライプ入り)
文字盤: スケルトン
インデックス: タキメーター付き見返しリングおよびプリント表示
夜光: あり、針とインデックスに夜光塗料
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ラバーストラップ

ダイヤルマニュファクトリーが誕生したことを記念し、新色のダイヤルが発表された。

この新工房の稼働開始を祝し、パノルナ・トゥールビヨンのリミテッドエディションがブランドから発表された。これは、ブランドの代表作であるパノマティックルナにさらなる複雑機構を加えたモデルで、オフセンターのスモールセコンドを大型のフライング・トゥールビヨンへと置き換えている。
 もちろん、パノルナ・トゥールビヨンそのものはブランド初の試みではない。しかし、今回注目すべきはそのダイヤルとそのインスピレーション元である。ブランドによれば、このダイヤルの色合いはグラスヒュッテ周辺にある鉄鉱石から着想を得たものとされている。まあ簡潔に言えば、“サーモンカラー”とも表現できるだろう。インデックス、針、ムーンフェイズディスク、そしてブランドの象徴であるビッグデイトなどには、鮮やかなブルーのアクセントが加えられている。この“Iron ore(鉄鉱石)”色のガルバニック加工が施されたダイヤルに加え、シルバーの星をあしらったムーンフェイズディスクもまた、グラスヒュッテ・オリジナルの新工房で製造されている。

 パノルナ・トゥールビヨンは直径40mmのプラチナ製ケースに収められており、ケース本体はサテン仕上げを中心に、ベゼルおよびラグ上面にはポリッシュ仕上げが施され、洗練されたコントラストを演出している。ラグ・トゥ・ラグは47mm、ケースの厚さは12.7mmであり、ムーンフェイズと2枚のディスクからなるデイト表示を備えたコンプリケーションウォッチでありながら、ドレスウォッチとしても十分に実用的なサイズ感に収まっている。

 内部には、自動巻きのCal.93-03を搭載。シリコン製のヒゲゼンマイを採用し、2万1600振動/時で駆動、60時間のパワーリザーブを誇る。このドイツにある時計製造の町で生み出される時計にふさわしく、ムーブメントにはグラスヒュッテ リブ、ペルラージュ、面取り加工といった伝統的な装飾が施されており、特にトゥールビヨンケージの曲面に見られる面取り仕上げは目を引く。左右非対称のローターは、ダイヤル側の黄金比に基づいたレイアウトと呼応するようにデザインされている。

 トゥールビヨンは60秒で1回転する構造となっており、自然とスモールセコンドとしての役割を果たしている。トゥールビヨンケージのスポークのひとつには、青焼きされた秒針の先端が取り付けられており、その周囲を囲むスネイル仕上げの秒目盛と美しく重なり合う。また、トゥールビヨンには透明なジュエルパーツが設けられており、視線をこの秒針の先端へ自然と導く工夫がなされている。
 本作は50本限定で、今月よりグラスヒュッテ・オリジナルのブティックおよび一部正規販売店にて展開される予定である。アリゲーターストラップまたはシンセティック(ファブリック)ストラップのいずれかを選択可能で、鉄鉱石カラーのダイヤルを備えたこのパノルナ・トゥールビヨンの価格は1716万円(税込)だ。

我々の考え
パノルナ・トゥールビヨンに加わった新たなローズカラーのダイヤルは、実に好印象である。色の組み合わせ自体は決して革新的とは言えないが、定番色にはそう呼ばれるだけの理由があり、今回のモデルもそうした王道にしっかりと寄り添っている。既存のコレクションに新たな魅力を添える1本として、十分に意味を持つモデルだ。ブランドのカタログには現在2種類のバリエーションしか掲載されておらず、それを踏まえるとこの新作の追加は歓迎すべき変化である。特に、現在展開されているホワイトダイヤル×ローズゴールドケースのモデルと比較すると、私の目には格段に魅力的に映る。

 新たなダイヤルマニュファクトリーを立ち上げることは、決して容易なことではない。近日中にHODINKEEでその内部に迫る取材記事を公開予定なので、ぜひ注目して欲しい。この町では多くの名だたるブランドが自社一貫製造の技術力を誇りとして掲げており、グラスヒュッテ・オリジナルにとっても、今回の工房設立はその技術力をアピールするうえで大きな優位性となるだろう。今回のダイヤルはその第一歩として上々であるが、個人的には、この新工房の始動にふさわしい、より高度な技術力を示すような1本も見てみたいと感じる。確かなことは言えないが、今年中にグラスヒュッテ・オリジナルとこの新工房からさらなる展開があるとしても、まったく不思議ではない。

基本情報
ブランド: グラスヒュッテ・オリジナル(Glashütte Original)
モデル名: パノルナ・トゥールビヨン
型番: 1-93-03-01-03-61 (レザーストラップ)/1-93-03-01-03-64 (シンセティックストラップ)

直径: 40mm
厚さ: 12.7mm
ケース素材: プラチナ
文字盤色: ガルバニック・ローズ仕上げの"Iron Ore"
インデックス: アプライド
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: ルイジアナアリゲーターストラップまたはシンセティックストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: 93-03
機能: 時・分、秒表示、フライングトゥールビヨン、ムーンフェイズ、パノラマデイト
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 50
クロノメーター認定: なし

価格&発売時期
価格: 1716万円(税込)
発売時期: 発売中
限定: 世界限定50本

ブランパン 5100A-1127-W52A フィフティファゾムス バチスカーフ38mm “VALENTINE’S DAY 2023” 99本限定が新登場。

ブランパン 5100A-1127-W52A フィフティファゾムス バチスカーフ38mm “VALENTINE’S DAY 2023” 99本限定が新登場。

レディースモデルの38mm、バレンタインデーモデルでは初のフィフティファゾムス・バチスカーフ38mmが選ばれました。

来年2023年はフィフティファゾムス誕生70周年になりますので、その一環でもあるのでしょう。

 

5100-1127-W52A自体はレギュラーモデルでも使われる型番ですが、さて何が違うのかな?

 

並べて見てみます、インデックスのピンク色、秒針のハート、BATHYSCAPHEの文字もピンク色になっていますね。

ベゼルのフォントはマイナーチェンジくらいの差でしょうか。

ロリポップ秒針がハート秒針になっているのが1番のポイントでしょう。

搭載ムーブメントは同じキャリバー1150、防水性も同じ300m、スペックは基本同じみたいです。

価格の表示が無かったので不明ですが、レギュラーモデル5100-1127-W52Aの場合1,254,000円ですのでその辺りでしょう。

 

5100A 1127 W52A VALENTINE’S DAY 2023

Fifty Fathoms
VALENTINE’S DAY 2023
リミテッド・エディション
商品番号: 5100A 1127 W52A

 

ブランパン – フィフティ ファゾムス コレクション バレンタイン 2023
Ref. 5100A-1127-W52A
愛の色彩に彩られたフィフティ ファゾムス バチスカーフ
ブランパンは 20 年以上にわたってバレンタインを祝福してきましたが、フィフティファゾムスのモデルに捧げられたことは未だかつてありませんでした。2023年、それは愛のシンボルであるレッドカラーとハートが散りばめられたフィフティ ファゾムス バチスカーフ限定エディションをもって成し遂げられます。
ブランパンにおいて、フィフティ ファゾムスと愛は不可分なものです。このコレクションは、1950年代初頭よりブランパンが海中世界に寄せている情熱から誕生したダイバーズウォッチであり、フィフティ ファゾムス バチスカーフをバレンタインに捧げることには大きな意義があります。この度、2月14日を祝うためにブランパンが発表するモデルは、ダイビングに夢中だったブランパンのトップたちがそうであったように、恋に夢中で時間の概念を忘れてしまうすべての恋人たちに向けたものです。

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サテン仕上げのステンレススティール製で直径38mmのケースに収納され、30気圧(約300m)の防水性能を誇るフィフティ ファゾムス バチスカーフ「バレンタイン2023」は、波打つ気持ちを受け止めるべく誕生しました。セラミックインサートとリキッドメタル™の目盛表示を備えた逆回転防止ベゼルは、愛の深部にまで分け入るために不可欠なポイント。輝きを放つ無垢なホワイトは、文字盤にマッチし、ソフトピンクに彩られた3、6、9、12の目盛りや分目盛りとコントラストを描きます。この優美なソフトピンクは、秒針先端に配された蛍光性のハートの縁取りにも使われており、あたかもシグネチャーのようです。愛の普遍的なシンボルであるハートは自社製キャリバー1150にもあしらわれており、サファイアケースバックからその堅牢な構造と精緻な装飾を堪能することができます。
情熱的で甘美。この言葉は、フィフティ ファゾムス バチスカーフ「バレンタイン2023」の特徴を言い得ています。こうした愛の感情が限定エディションである99本の隅々にまで施され、まさに愛の本質を表現しているのです。

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